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パドレスがファイヤーセールを実施中。先発投手陣も外野陣も残っているのは1人だけ

宇根夏樹ベースボール・ライター
デレク・ノリス(奥)とヤンガービス・ソラーテ Jul 25, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

サンディエゴ・パドレスが、主力選手を次々に放出している。シーズン最初の5試合に先発した投手のうち、残っているのはタイソン・ロスだけだ。外野のレギュラー2人とクローザーもいなくなり、正捕手のデレク・ノリスをはじめ、他の選手にもトレードの噂が出ている。ロスにしても、開幕戦に投げた直後からずっと故障者リストに入っていなければ、トレードされていてもおかしくなかった。パドレスは昨年11月にも、セットアッパーのホアキン・ベノワとクローザーのクレイグ・キンブレルを立て続けに放出している。

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振り返ってみると、パドレスは1992年のオフから1993年の夏にかけても、ファイヤーセールを実施した。この時は、内野陣からトニー・フェルナンデスゲリー・シェフィールドフレッド・マグリフを放出し、1993年8月の時点では、前年にレギュラーを務めた野手8人中、トニー・グウィンを除く7人がチームを去っていた。また、7月下旬のトレードでは、グレッグ・ハリスブルース・ハーストの先発2投手を同時に放出した。これは、今夏のアンドルー・キャッシュナーコリン・レイと共通している。

パドレスは1993年から3シーズン続けて負け越したが、1996年に地区優勝を果たし、1998年はリーグ優勝を飾った。ファイヤーセールで獲得した若手のうち、ハリスらのトレードで加入したアンディ・アシュビーはローテーションの一角を担い、シェフィールドの交換要員だったトレバー・ホフマンはクローザーを務めた。三塁手のケン・カミニティとセンターのスティーブ・フィンリーはファイヤーセールで加入した選手ではないが、1994年のオフに、彼らを含む6対6のトレードで入れ替わったなかには、ファイヤーセールでパドレスが手に入れたデレク・ベルフィル・プランティーアがいた。

パドレスが最後にポストシーズンへ駒を進めたのは、10年前のことだ。2011年以降は負け越しが続いている。今回のファイヤーセールで加入した選手たちは、パドレスが栄光を取り戻す礎になれるのだろうか。少なくとも、プロスペクト(有望株)はグッと増えた。ベースボール・アメリカが7月11日に発表した「ミッドシーズン・トップ100プロスぺクツ」のなかに、現時点でパドレスに在籍している選手は5人いる。パドレスはそのうちの4人を、昨年11月以降のトレードで獲得した。

なかでも、18歳のハードボーラーで、パドレスでは最高の15位に挙げられたアンダーソン・エスピノーザは、1対1のトレードにより、ドルー・ポメランツと入れ替わりにボストン・レッドソックスから移ってきた。また、昨年7月にプロ入りしたばかりなのでランキングには入っていないものの、パドレスはジェームズ・シールズをシカゴ・ホワイトソックスへ放出した際、17歳の遊撃手を手に入れた。この選手の名前はフェルナンド・タティース。そう、セントルイス・カーディナルスなどでプレーし、1999年に史上唯一の1イニング・グランドスラム2本を記録した、フェルナンド・タティースの息子だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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