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最も多くのチームでホームランを打った選手は? 今夏に移籍したベルトランは新天地の一打で7チームに

宇根夏樹ベースボール・ライター
カルロス・ベルトラン(テキサス・レンジャーズ)Aug 3, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

8月3日の試合で、カルロス・ベルトラン(テキサス・レンジャーズ)がシーズン23本目、通算415本目のホームランを放った。2日前にニューヨーク・ヤンキースから移籍したばかりのベルトランにとって、この一打はレンジャーズで打った最初のホームランとなった。

ベルトランはレンジャーズの前に6チームでプレーし、そのいずれでもホームランを記録している。イライアス・スポーツ・ビューローによると、400本塁打クラブのなかで、ベルトランの他に7チーム以上でホームランを打っているのは、ゲリー・シェフィールド(8チーム)、ホゼ・カンセコ(7チーム)、デーブ・キングマン(7チーム)の3人しかいないという。

「400本塁打クラブのなかで」ということは、400本塁打未満には、もっと多くのチームでホームランを打った選手がいるに違いない。では、最も多くのチームで打っているのは誰なのか。気になったので、調べてみた。

答えはこうだった。マット・ステアーズは野手最多の12チームでプレーし、そのうちの11チームでホームランを打った。また、11チームでプレーした野手7人のうち、トッド・ジールはどのチームでもホームランを放った(11チーム以上で投げた投手は12人いるが、通算本塁打は最多でも3本にとどまっている)。ステアーズの通算本塁打は265本、ジールは253本だ。11チーム目のホームランはジールの方が早く、2003年に記録している。ステアーズはその7年後だ。

ステアーズがホームランを打てなかったのは、キャリアの最初と最後を過ごしたチームだった。1992~93年のモントリオール・エクスポズ(19試合)と2011年のワシントン・ナショナルズ(56試合)だ。エクスポズは2004年を最後にモントリオールからワシントンDCへ移転し、ナショナルズとなった。ちなみに、ステアーズは1993年に中日ドラゴンズでも60試合に出場し、6本のホームランを放った。

ベルトランは今オフにFAだが、来年4月に40歳を迎える。今後、まだ在籍したことのない4チームでそれぞれホームランを放ち、11チームとしてステアーズとジールに並ぶ可能性は低そうだ。現役選手では、通算159本塁打のマーロン・バード(クリーブランド・インディアンス)が10チームで打っていて、こちらもシーズン終了後にFAとなるが、6月に2度目の薬物陽性反応で162試合の出場停止を科されており、8月で39歳ということも併せて考えると、このまま引退してもおかしくない。

なお、400本塁打以上の55人は、平均3.27チームでプレーし、3.20チームでホームランを打っている。550本塁打以上の15人のなかに、キャリアを1チームだけで過ごした選手はいない。例えば、ハンク・アーロンはミルウォーキー・ブレーブス/アトランタ・ブレーブスで733本塁打を放っていて、これは1チームで打ったホームランとしては最多だが、その後、ミルウォーキー・ブルワーズで22本を打った。ジム・トーミーは6チームでプレーし、ロサンゼルス・ドジャースを除く5チームで計612本のホームランを放った。一度も移籍しなかった選手では、マイク・シュミットの548本塁打が最も多い。シュミットは1972年から1989年まで、フィラデルフィア・フィリーズ一筋にプレーした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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