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ロッキーズに現れたもう一人のルーキー。デビューからの連続安打試合で75年前の史上最長記録に並ぶ

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレバー・ストーリー(左)とデビッド・ダール Jul 28, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

今シーズンのコロラド・ロッキーズは、23歳のトレバー・ストーリーによる「アメイジング・ストーリー」で幕を開けた(それについては「スピードスターの不在がもたらした、まさに驚異のストーリー。新人がデビューから3試合連発の計4本塁打」で書いた)。

ストーリーは7月下旬に左手親指を痛め、故障者リストに入ったが、ロッキーズのルーキー・センセーションは終わっていない。ストーリーの怪我と前後しつつ、まるで入れ替わるかのように、デビッド・ダールが台頭してきた。

ダールはストーリーより1歳若い。ドラフト指名は、ストーリーが2011年の全体45位、ダールは翌年の全体12位だ。2人は、昨シーズンの序盤戦にAAでチームメイトとしてプレーした。また、ダールがメジャーデビューした7月25日のスターティング・ラインナップには、ストーリーとダールが「5番・遊撃」と「6番・レフト」で並んだ。

そこから、ダールは17試合続けてヒットを打った。ストリークは8月12日に止まったが、2000年にホアン・ピエールが作ったデビューからの16試合連続安打を抜き、球団記録を塗り替えるとともに、1941年にチャック・アレノが樹立したメジャーリーグ最長記録に追いついた。ピエールはツイッターでダールを祝福した。

ロッキーズは変わろうとしている。昨年の夏には、トロイ・トゥロウィツキをトロント・ブルージェイズへ放出した。トゥロと打線を支えてきたカルロス・ゴンザレスは、来シーズンが終わるとFAとなる。カーゴには今年の夏もトレードの噂が出ており、今オフや来年の夏にはもっと本格化しそうだ。

ダールとストーリー、25歳のノーラン・アレナード――奇しくも、3人の背番号は「26」「27」「28」の連番だ――を除けば、他のレギュラー野手は誰を放出しても惜しくない気がする。交換に手に入れたいのは、打者天国の本拠地、クアーズ・フィールドでも通用する若い投手だ。ロッキーズには有望な2人の右腕、ジョン・グレイ(24歳/2013年ドラフト全体3位)とジェフ・ホフマン(23歳/2014年ドラフト全体9位)がいるが、それだけで十分とは言えない。グレイはすでにローテーション入りしているものの、覚醒には至っておらず、トゥロのトレードで獲得したホフマンは、まだメジャーデビューしていない。

ちなみに、ダールがデビューからの連続安打試合で並んだアレノは、通算4年間で計118試合にしか出場できなかったが、ダールが追い越したピエールは、シーズン200安打以上を4度記録し、盗塁王を3度獲得した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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