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ヤンキース新時代の幕開けか。メジャーデビューした2人が揃って初打席にホームラン(しかも2者連続!)

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・オースティン(左)とアーロン・ジャッジ Aug 13, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)がシーズン9勝目を挙げた試合で、2人のチームメイトが球史にその名を刻んだ。

2回裏、7番打者のタイラー・オースティンがライトポールの左へ本塁打を放つと、8番打者のアーロン・ジャッジもセンターフェンスの向こう、モニュメント・パークの上にかかっているネットまで打球を運んだ。2者連続ホームランだ。彼らはどちらもこの試合でメジャーデビューし、最初の打席でホームランを打った。

ヤンキースが試合後にリリースしたゲーム・ノーツには、同じ試合でチームメイトがメジャーリーグ1打数目にそれぞれホームランを打ったのは史上初、と記してある(2者連続でなくても初だったということだ)。その続きによれば、同じ試合で2人は過去に1度あるが、1938年4月19日に記録したアーニー・コイエメット・ミューラーはチームメイトではなく、初回の表と裏に打った。

オースティンとジャッジの連続アーチは、ヤンキースが新たな時代を迎えたことを告げるかのようだ。前日の8月12日は、アレックス・ロドリゲスのラストゲームだった。8月5日にはマーク・テシェーラが記者会見を開き、今シーズン限りの引退を発表している。ヤンキースはこの夏のトレードで、アロルディス・チャップマンアンドルー・ミラーカルロス・ベルトランイバン・ノバを立て続けに放出した。

また、オースティンとジャッジがデビューした試合の前には、1996年のワールドチャンピオン・メンバーを称えるセレモニーが催された。そこには、後に「コア・フォー」と呼ばれる、デレク・ジーターマリアーノ・リベラホルヘ・ポサダアンディ・ペティットの4人も出席した(もちろん、バーニー・ウィリアムズもいた。個人的には、彼も含めて「コア・ファイブ」とする方がしっくりくる)。

オースティンもジャッジも、「コア・フォー」あるいは「コア・ファイブ」と同じく、ヤンキースの生え抜きだ。今シーズンは、オースティンがAAとAAAの計107試合で.294/.392/.524、17本塁打、ジャッジはAAAの93試合で.270/.366/.489、19本塁打を記録した。ともに24歳の彼らは、これから「コア」としてヤンキースに黄金時代をもたらせるのだろうか。その答えはまだわからないが、ジャッジは翌日の試合でもホームランを放ち、オースティンはホームランこそなかったものの、デビューから2試合続けてヒットを打った。

なお、2人はAAAでも、6月24日にアベック・アーチを記録している。この試合は打順が離れていたため、彼らによる2者連続ホームランの可能性はなかったが、オースティンは3打席続けて本塁打を放ち、ジャッジの本塁打の直後には次の打者も続いた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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