アストロズの外野2017――青木宣親は残ったが、センターの丘は消える
MLB.comの記事の見出しが、「ノンテンダー・デッドライン注目の8選手」から、いつのまにか「注目の7選手」に変わっていた。ヒューストン・アストロズと青木宣親の契約交渉がまとまり、1年550万ドルで合意に達したためだ。記事が変更されるまで、青木は8選手の冒頭に挙げられていた。
これにより、来シーズンのアストロズの外野陣はほぼ確定した。右打者と左打者が2人ずつ、右はジョージ・スプリンガーとジェイク・マリズニック、左はオフに加入した青木とジョシュ・レディックだ。スプリンガーとレディックはレギュラーとしてプレーし、マリズニックと青木はプラトーン起用されるだろう。
ただ、スプリンガー、レディック、青木(あるいはマリズニック)の3人を同時に出場させるには、ポジションを考える必要がある。スプリンガーとレディックは2人とも、これまで主にライトを守ってきた。青木はライトとレフト、マリズニックはセンターをメインとしてきた。
可能性が高いのは、レフトが青木/マリズニック、センターがスプリンガー、ライトがレディックという布陣だ。
本拠地とするミニッツメイド・パークのセンターフィールドは、来シーズンから姿を変える。フェンスに向かって上へ傾斜していた「タルズ・ヒルズ(タルの丘)」――写真のバックに見えるフェンスの位置に注目してほしい――とそこ(フェンスの手前)に立っていたフラッグ・ポールがなくなる。さらに、フェンスは少し前に出され、ホームに近づく。簡単に言うなら、普通の平坦なフィールドになり、外野手がカバーする範囲も狭まる。
マイナーリーグ時代のスプリンガーは、センターを定位置としていた。だが、丘のあるセンターの守備は難しく、怪我のリスクも高まる。アストロズとしては、どの選手もそうだろうが、特にスプリンガーが離脱する事態は避けたい。カルロス・コレイアとホゼ・アルトゥーベとともに、若きフランチャイズ・プレーヤーとしてチームを牽引する前から、スプリンガーは大きな期待をかけられてきた。2014年6月にスポーツ・イラストレイテッド誌が「2017年のワールドシリーズ・チャンピオン」というアストロズの記事を掲載した時、表紙を飾ったのはメジャーデビューしたばかりのスプリンガーだった。
一方、丘が消えて守りやすくなったことで、マリズニックの価値は下がった。ここ2年と同じような打撃の低空飛行が続けば――そして、青木が左投手に対して結果を残せば――マリズニックは青木と併用されるのではなく、試合終盤に守備要員として起用されるかもしれない。
実は、ミニッツメイド・パークの丘は1年前に消えるはずだった。ところが、それまで6シーズン続けて負け越していたアストロズがポストシーズンに進出したため、工事を行う日程が足りなくなり、先送りとされた。スポーツ・イラストレイテッド誌に謳われているアストロズのワールドシリーズ優勝は2017年だ。こちらは先送りすることなく、実現できるだろうか。
ちなみに、マリズニックとスプリンガーだけでなく、レディックと青木もミニッツメイド・パークでセンターを守ったことがある。マリズニックは2011年7月1日と2014年7月29日、青木は2012年5月17日と7月7日に、センターの守備についた。