Yahoo!ニュース

今年の干支にちなんだニックネームの選手でオールスター・チームを作ってみた(酉だけでなくいろんな鳥で)

宇根夏樹ベースボール・ライター
馬上のチキン・マン Oct 26, 1996(写真:ロイター/アフロ)

2017年の干支(十二支)である酉にちなみ、鳥にまつわるニックネームを持つ選手を集め、オールスター・チームを編成してみた。

画像

殿堂選手(HOF)は5人、オールスター・ゲーム選出(AS)は7人を揃えた。ロン・セイは三塁に入れるべきだが、ウェイド・ボッグスがいるため、DHとした。セイは1987年にオークランド・アスレティックスで33試合にスタメン出場し、そのうち25試合でDHを務めた。「ペンギン」のニックネームは、走る姿が似ていたためだ。名付け親はロサンゼルス・ドジャースのトミー・ラソーダ監督という説もあるが、本当のところは、大学時代にコーチが呼び始めたらしい。ボッグスの「チキン・マン」は、試合前にチキンを食べる習慣に由来する。

フランク・バードは19世紀にプレーした上、17試合に出場しただけなのではっきりしないが、ラストネームが「バード」なのに動きが鈍かったため、飛べない鳥の「ドードー」と呼ばれたのではないだろうか。だとすれば、ラルフ・ガーの「ロードランナー(ミチバシリ)」とは対照的だ。こちらはアトランタ・ブレーブスでプレーしていた当時、オーナーのテッド・ターナーに名付けられた。もっとも、このニックネームは、実際の鳥ではなくアニメのキャラクターから来ている。

同じく、マーク・フィドリッチの「ザ・バード」もキャラクターに由来する。セサミ・ストリートのビッグ・バードだ。フィドリッチは1974年にデトロイト・タイガースへ入団。その年にマイナーリーグのコーチが、ひょろっとした身体とブロンドのカーリーヘアーを見て命名した。フィドリッチとビッグ・バードは、1977年にスポーツ・イラストレイテッド誌の表紙で共演している。

福岡ダイエーホークスでも投げたリッチ・ゴセージは、捕手のサインを見る際の首の動きが「グース(ガチョウ)」に似ていた。トリス・スピーカーは、若くして灰色になった髪とセンターを支配する守備力から「グレイ・イーグル(灰色の鷲)」と呼ばれた。フランク・イズベルの「ボールド・イーグル(白頭鷲)」も頭髪が理由だが、実際の白頭鷲はボールド(ハゲ頭)ではない。いずれにせよ、イズベルはこのニックネームを嫌っていたという。

ジェイク・ベックリーの「イーグル・アイ(鷲の眼)」は、選球眼よりも動体視力だろう。ベックリーは3000本近いヒットを打ったが、四球率は6%に満たなかった。「ルースター(雄鶏)」ことリック・バールソンについては、ボストン・レッドソックス時代のチームメイト、ビル・リーがこう言っている。「負けるのが嫌いなヤツはいるけど、リックは同点でも怒っていた。感情の起伏がとても激しく、これまで見た内野手で最高の強肩だった」。すぐトサカに来るということだ。

なお、ニックネームということで、ヒューストン・アストロズのブラッド・ピーコック(孔雀)やシカゴ・カブスのジョン・ジェイ(カケス)は含まなかった。また、ニューヨーク・ヤンキースのグレッグ・バードは、名前だけでなく「バード・ドッグ(鳥猟犬)」のニックネームも持つが、今回は外した。ただ、2016年は右肩の手術を受けて全休したものの、今シーズンは正一塁手として期待されている。ということは、12年後の酉年を待たずとも、来年には……。そう、2018年の干支は戌だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事