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WBCのロースターにはデトロイト・タイガースの選手が15人。なかでも多い国は……

宇根夏樹ベースボール・ライター
ミゲル・カブレラ(左)とビクター・マルティネス May 28, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

気候が温暖か、そうでなくても球場に屋根があれば、WBCの決勝ラウンドはデトロイトで開催すべきかもしれない。

各国のロースターに入った選手のうち、15人はデトロイト・タイガースに所属している(1次ラウンドに出場しない予備登録の3投手を含む)。これは、メジャーリーグではどの球団よりも多い。もしかすると、メジャーリーグ以外の球団を含めても最多ではないだろうか。すべてを調べたわけではないが、少なくとも日本プロ野球の各球団は上回る(ちなみに、阪神タイガースの選手は、藤浪晋太郎と予備登録の岩貞祐太しかいない)。

今回のWBCにタイガースの選手が多い理由は、USAの監督を務めるジム・リーランドがタイガースの前監督だから、ではない。USAのロースターにタイガースの選手は3人いるが、彼らがタイガースに入団したのは2014年以降なので、リーランド監督の下ではプレーしていない。リーランドは2006~13年に、タイガースで采配を揮った。

タイガースからWBCのロースターに入った15人のうち、3分の1に当たる5人はベネズエランだ。ベネズエラのロースターに占める割合は、タイガースの選手が最も高い。しかも、10月に契約したマイナーリーガーのアルセニオ・レオンを除くと、4人ともタイガースの主力である。3・4番コンビのミゲル・カブレラビクター・マルティネス、クローザーのフランシスコ・ロドリゲス、そして、次のクローザーとも目されるブルースヘクター・ロンドンだ。

タイガースのベネズエランは彼らだけでなく、今回のWBCは不参加ながら、先発投手のアニバル・サンチェスや、12月にマイナーリーグ契約を交わしたオマー・インファンテもいる。11月にタイガースと契約し、WBCではコロンビアの選手として投げるウィリアム・クエイバスも、母国はベネズエラだ。また、WBCでベネズエラを率いるオマー・ビスケル監督は、2014年からタイガースの一塁コーチを務めている。

なお、タイガースとは逆に、30球団のなかでWBCのロースターに入った選手が最も少ないのは、サンフランシスコ・ジャイアンツだ。もっとも、こちらの3人も、主力という点ではタイガースに劣らない。USAにはバスター・ポージーブランドン・クロフォード、ドミニカ共和国――ここのロースターにタイガースの選手は一人もいない――にはジョニー・クエイトがいる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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