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オランダはWBCで再び旋風を起こせるか。キーマンは福岡ソフトバンクのバンデンハーク!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
リック・バンデンハーク MARCH 15, 2009(写真:ロイター/アフロ)

4年前のWBCで、オランダはキューバを2度破り、決勝ラウンドへ進出した。今回、その番狂わせを再現するためには、リック・バンデンハーク(福岡ソフトバンク・ホークス)の投球が重要になりそうだ。

オランダにはウラディミール・バレンティン(東京ヤクルト・スワローズ)もいるが、彼を抜きにしても、打線はなかなかの顔ぶれが揃う。ザンダー・ボガーツ(ボストン・レッドソックス)、ディーディー・グレゴリアス(ニューヨーク・ヤンキース)、ジョナサン・スコープ(ボルティモア・オリオールズ)の3人は、昨シーズン、メジャーリーグで20本塁打&30二塁打以上を記録した。50長打以上のメジャーリーガーを3人以上擁するのは、アメリカ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、そして、オランダの4ヵ国だ。

遊撃の名手であるアンドレルトン・シモンズ(ロサンゼルス・エンジェルス)を含め、年齢は4人とも27歳以下だ。また、彼らよりさらに若いジュリクソン・プロファー(テキサス・レンジャーズ)は、故障などでまだ開花はしていないものの、2013年の開幕前には、MLB.com、ベースボール・アメリカ、ベースボール・プロスペクタスから、揃ってプロスペクト・ランキングの全体1位に選ばれた。これは、2014年のバイロン・バクストン(ミネソタ・ツインズ)や昨年のコリー・シーガー(ロサンゼルス・ドジャース)と同じである。

一方、過去2年にメジャーリーグのマウンドに立った投手は、ドジャースのクローザー、ケンリー・ジャンセン(DP=入れ替え可能な投手)しかおらず、トップ・プロスペクトも見当たらない。中心になるのは、バンデンハークとジャイア・ジャージェンスの2人だと思われる。ジャージェンスのメジャーリーグにおける実績は、バンデンハークを凌ぐ。2009年には、215.0回を投げて防御率2.60を記録した。だが、過去5年は振るわず、昨シーズンは台湾の統一ライオンズで投げ、8月に解雇された。

オランダは、韓国、台湾、イスラエルと同じプールAにいる。2次ラウンドに進んだ場合は、韓国、日本、キューバと対戦する可能性が高い。バンデンハークが日本戦に登板するかどうかはわからないが、ジャージェンスは昨年11月の侍ジャパン強化試合で先発し、4.2回を投げて自責点4という結果だった。

今回の侍ジャパンに、過去2年のレギュラーシーズンかポストシーズンでバンデンハークが対戦した打者は8人いる。バンデンハークはそのうちの3人、田中広輔(広島東洋カープ)、秋山翔吾(埼玉西武ライオンズ)、嶋基宏(東北楽天ゴールデンイーグルス)にを1本塁打ずつ打たれているが、特に苦手とする打者はいないようだ。被打率3割以上の5人は、いずれも3打席以下しか対戦していない。10打席以上の中田翔(北海道日本ハム・ファイターズ)と秋山に対しては、それぞれ被打率.182(22打数4安打)と.267(15打数4安打)。昨年に限れば、中田には12打数で1安打しか許さず、秋山からは3打席とも三振を奪った。

バンデンハークのWBC出場は、今回が2度目となる。2009年は2試合に先発し、プエルトリコ戦は3.1回を無失点、アメリカ戦は2.0回で4失点ながら、自責点は1だった。当時は制球にやや難があったが、今はその面影はない。ちなみに、WBCではないものの、バンデンハークは同じく短期決戦のポストシーズンで好投している。2014年の韓国シリーズを含め、過去3年とも先発マウンドに2度ずつ上がり、6試合とも6イニング以上を投げて2失点以下に抑えた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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