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WBCはメジャーリーグへの扉!? 出場した日本人選手の5人に1人はメジャーリーガーに

宇根夏樹ベースボール・ライター
前田健太(左)と田中将大 February 26, 2013(写真:アフロスポーツ)

日本代表としてWBCの試合に出場した選手は、67人を数える。ここから、最初の出場時にメジャーリーグの球団に所属していた3人、イチロー大塚晶則(晶文)、城島健司と、メジャーリーグから日本プロ野球へ戻ってきてWBCに出場した松井稼頭央を除くと、63人となる。そのうち、WBC出場後にメジャーリーガーとなった選手は14人いる。パーセンテージにすれば、22.2%(14/63)だ。

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この他に、メジャーリーグをめざしたということでは、中島裕之もいる。中島はオークランド・アスレティックスと契約したが、マイナーリーグでプレーしただけでメジャーデビューはできず、日本プロ野球に復帰した。

日本と同じくキューバも、WBCに出場後――こちらは亡命を経て――メジャーリーガーとなった選手は多く、出場63人中12人(19.0%)を数える。この他、マイナーリーガーは現役選手を含めて5人。さらに、今年1月には、ホゼ・ミゲル・フェルナンデスがロサンゼルス・ドジャースに入団した。

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今回、キューバの出場選手で話題を呼んでいるのは、ヨエニス・セスペデス(ニューヨーク・メッツ)の異母弟、ヨエルキス・セスペデスだ。MLB.comのジェシー・サンチェスが2月に報じた記事によると、ヨエルキスは母国を離れる気はまったくないと語ったそうが、まだ19歳と若く、時間はたっぷりある。兄がWBCに出場したのは23歳、亡命したのは26歳の時だった。

弟は兄と同じく、右投げ右打ちの外野手だ。成績を見る限り、現時点では兄ほどのパワーはないようだが、スピードは上だろう。サンチェスの記事には「周囲からは5ツール・プレーヤーだと言われる」という、ヨエルキスのコメントが紹介されている。この冬のカリビアン・ワールドシリーズでは、ライトを守ってライナーをダイビング・キャッチし、一回転した後、一塁へ送球して併殺を完成させた。

また、日本とキューバだけでなく、メジャーリーグに向かう韓国人選手も少なくない。WBC出場後にメジャーリーガーとなった選手は、日本プロ野球の経験者を含めて6人おり、他にも3人がメジャーリーグをめざした。その3人のうち、1人はマイナーリーグで1年プレーしただけで韓国へ戻り、2人はポスティング・システムを利用したものの、一方は期限までに交渉がまとまらず、もう一方は入札がなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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