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阪神とデトロイト、日米のタイガースでプレーした選手たち。マートンもそこに加わることができるか

宇根夏樹ベースボール・ライター
コメリカ・パーク April 7 2000(写真:ロイター/アフロ)

デトロイト・タイガース傘下のAAA、トレド・マッドヘンズのロースターには、マット・マートンの名前がある。マートンとタイガースは、2月20日にマイナーリーグ契約を交わした。

マートンは2010~15年に阪神タイガースでプレーしたが、デトロイトに本拠を置くタイガースは、在籍自体が初めてだ。阪神の前には、ボストン・レッドソックス、シカゴ・カブス、オークランド・アスレティックス、コロラド・ロッキーズに在籍し、レッドソックスを除く3チームの選手として、メジャーリーグの試合に出場した。昨シーズンはカブス傘下のAAA、アイオワ・カブスで過ごし、メジャーリーグ復帰は果たせなかった。

調べたところ、阪神とデトロイト、日米のタイガースでプレーした選手は14人いた。マートンがこのまま移籍せずにメジャーリーグへ昇格すれば、15人目となる。ただ、これまでの例を見ると、タイガースでプレーした順番は「デトロイト→阪神」が圧倒的に多く、「阪神→デトロイト」はセシル・フィルダーダグ・クリークの2人しかいない。

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フィルダーは25歳で来日して38本塁打を放ち、翌年からデトロイトで2年続けて本塁打王、3年続けて打点王を獲得した。クリークはデトロイトで投げた時に36歳となっていたが、阪神に在籍した当時は29歳で、こちらも翌年にメジャーリーグ復帰を果たした。一方、マートンはすでに35歳だ。

現在のデトロイトには、レフトにジャスティン・アップトン、ライトにJ.D.マルティネスがいて、センターはマイキー・マートックタイラー・コリンズの併用が予想される。そうなると、ロースターに外野手はあと1人だが、その候補は、スティーブン・モイアジャコビー・ジョーンズアンソニー・ゴースアレックス・プレスリーホアン・ぺレスといった具合に少なくない。マートンにとって、メジャーリーグ昇格はかなり険しい道のりだ。昨シーズンはAAAの76試合で、打率.314、出塁率.349、2本塁打、12二塁打という成績だった。

なお、日米のタイガースでプレーした14人には、デトロイト在籍中にメジャーリーグでプレーしなかった選手は含んでいない。例えば、ラファエル・ドリス(阪神/2016年~)は2015年にデトロイト傘下のAAAで投げた。トーマス・オマリー(阪神/1991~94年)やジーン・バッキー(阪神/1962~68年)もそうだ。オマリーは1985年のシーズン序盤に、デトロイト傘下のAAAで33試合に出場した。バッキーはメジャーリーグでの登板そのものが皆無ながら、プロ入りから数年間はデトロイトに在籍していた。

他にも、ラリー・パリッシュ(阪神/1990年)はデトロイトでコーチや監督を務めたものの、選手時代は在籍していない。ジム・パチョレック(阪神/1992~93年)はデトロイトで生まれ、ウィリー・カークランド(阪神/1968~73年)はデトロイトの高校に通っただけでなく、選手生活を終えた後はデトロイトのゼネラル・モーターズ社で働いたが、2人ともプロとしてプレーした「タイガース」は阪神だけだ。

また、今シーズンに関しては、スンファン・オ(呉昇桓:阪神/2014~15年)がセントルイス・カーディナルスから移籍し、デトロイトの投手として登板する可能性も低そうだ。デトロイトで投げ、母国に戻ってKIAタイガースでもプレーすれば「トラ・トラ・トラ」ならぬ「虎・虎・虎」となるのだが……。ちなみに、韓国時代のオは三星ライオンズ一筋だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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