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日本人選手のメジャーデビューは野茂英雄から22年途切れず。このストリークは他の国と比べて長い!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・ヒメネス Jul 10, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

最初の日本人メジャーリーガーから2人目の登場までには、長い空白があった。マッシー村上(村上雅則)は1964年、野茂英雄は31年後の1995年にデビューした。けれども、そこから昨年までの22年間は、毎年少なくとも1人の日本人選手がデビューしている。

過去2年は1人ずつだったが、2007年と2008年はそれぞれ5人がメジャーリーガーとなった。今シーズンは、元・千葉ロッテ・マリーンズの中後悠平(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)がデビューしそうだ。

アメリカを除くと、その国・地域で生まれた選手のデビューが20年以上続き、現在も継続しているのは、日本、ドミニカ共和国(1968年~)、ベネズエラ(1987年~)、プエルトリコ(1995年~)だ。メジャーリーガー20人以上の国・地域は13あるが、キューバは2004年に途切れており、オランダはキュラソーとアルバを合わせても、2014年以降にデビューした選手はいない。

あくまでも生まれた国・地域なので、両親はドミニカンながらニューヨーク生まれのアレックス・ロドリゲスは、ドミニカ共和国ではなくアメリカに入っている。メキシカンの両親を持ち、サンディエゴで生まれたエイドリアン・ゴンザレス(ロサンゼルス・ドジャース)と兄エドガーも同様だ。日本の場合、1994年にジム・ボウイという東京生まれの一塁手がデビューしており、彼を含めるとストリークは1年長くなる。ボウイはこの年の8月に6試合だけ、メジャーリーグでプレーした。ストライキに突入しなければ、その後も出場していたかもしれないが、メジャーリーグ2年目を迎えられたかどうかはわからない。

今シーズンも、ドミニカ共和国とベネズエラのデビューは続くだろう。1995年以降、ドミニカンのデビューは年15人を下回ったことがなく、過去8年はいずれも20人を超えている。ベネズエランのデビューも、21世紀に入ってからは16年続けて10人以上だ。

一方、プエルトリカンのデビューは、年10人未満が18年続いていて、昨年は4人だった。その間には、日本と同じくデビューが1人の年(2005年と2012年)もあった。ただ、こちらもストリークは継続しそうだ。少なくともジョー・ヒメネス(デトロイト・タイガース)は、メジャーリーグのマウンドに上がると思われる。

ヒメネスはプロ5年目の22歳だ。昨シーズンはA+、AA、AAAの3クラスで52試合に投げ、防御率1.51、奪三振率13.08、与四球率2.85、30セーブを記録した。本塁打は1本しか打たれなかった。右腕から投じる速球は最速100マイルに達し、そこにスライダーとチェンジアップを織り交ぜる。ヒメネスはWBCのロースターに入っており、エドウィン・ディアズ(シアトル・マリナーズ)につなぐセットアップを務めるはずだ。

ディアズも、3月下旬で23歳と若い。こちらは昨年6月にデビューし、8月以降はクローザーとして投げた。昨シーズンはメジャーリーグで49試合に投げ、防御率2.79、奪三振率15.33、与四球率2.61、18セーブを記録した。50イニング以上の326投手中、ディアズの奪三振率はデリン・ベタンセス(ヤンキース)の15.53に次いで2番目に高かった。

個人的には、プエルトリカンのデビューが続くかどうかよりも、ヒメネスがWBCでどんなピッチングをするかに興味をそそられる。ヒメネスとディアズが続けて登板し、2人で奪三振ショーを演じるかもしれない。デビューに関しては、ドミニカ共和国やベネズエラが皆無であれば、それは椿事だろうが、日本とプエルトリコは、キューバと同じように皆無の年がいつ巡ってきてもおかしくない。例えば、中後が昨シーズン終盤にAAAから昇格していれば、日本人選手のデビューは今シーズンで途切れていたに違いない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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