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WBCのシンデレラ・ストーリーは閉幕。イスラエルの選手が次にめざすのはメジャーリーグ

宇根夏樹ベースボール・ライター
イスラエルの選手たち(手前はネイト・フライマン)MARCH 15, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

イスラエルのWBCは、4連勝後の2連敗で幕を閉じた。これは、大健闘と言っていい。予選を勝ち抜いた他の3チーム、オーストラリア、メキシコ、コロンビアはいずれも1勝しかできず、1次ラウンドで敗退した。イスラエルには、メジャーリーグでプレーした経験を持つ選手が10人いたが、昨シーズンに限れば、タイ・ケリーアイク・デービスの計47試合に過ぎなかった。

イスラエルの出場29選手中19人はメジャーリーグの球団に所属しており、彼らはそれぞれの球団の(メジャーリーグもしくはマイナーリーグの)スプリング・トレーニングに戻る。もっとも、彼らのうち、今シーズンの開幕をメジャーリーグで迎えることが確定している選手はおらず、場合によっては皆無ということもあり得る。

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9人はこれまでにAA以上のクラスでプレーしたことがなく、メジャーデビューするにしても、来シーズン以降だろう。他の10人も、今シーズンの開幕ロースターに入る可能性は低く、当落線上にケリーがいるのが目につく程度だ。

ニューヨーク・メッツでは、デビッド・ライトが肩を故障しており、代わってホゼ・レイエスが三塁を守るため、控え内野手の枠が空く。その筆頭候補は、プエルトリコ代表としてWBCに出場中のT.J.リベラだが、ケリーの名前も挙がっている。

ケリーをはじめとする10人は、開幕ロースターに入れなくとも、シーズン途中にメジャーリーグへ昇格してもおかしくない。特に、リリーバーは需要が高く、ブラッド・ゴールドバーグジャレッド・レイキンドはチャンスがありそうだ。あるいは、10人とも25歳以上であることを考えると、メジャーリーグではなく、活躍の場を海外のプロリーグに求めるかもしれない。この途中昇格と海外移籍は、現時点ではどの球団にも所属していない選手にも当てはまる。

タンパベイ・タイムズのマーク・トプキンによれば、サム・フォルドに対しては、タンパベイ・レイズを含む数球団が興味を示しているという。フォルドは外野の守備に優れ、スピードも備える。2015年はオークランド・アスレティックスで120試合に出場した。昨シーズンは肩の故障で全休したものの、WBCでは6試合とも1番センターとして先発出場した。

彼らにとって、今回のWBCはベースボールのキャリアにおけるハイライトの一つだろう。イスラエルは素晴らしかった。ただ、どの選手も、これが最後のハイライトとならないことを願いたい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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