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風評被害の心理学:被災地を支えるために

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

被災地の苦しみは続いています。

【シリーズ復興】福島以外でも続く、風評被害との戦い:「震災の風化と風評という2つの「逆風」と、被災地は戦っています。」Yahooニュース

■風評被害とは

風評被害とは、「ある事件・事故・環境汚染・災害が大々的に報道されることによって、本来「安全」とされる食品・商品・土地を人々が危険視し、消費や観光をやめることによって引き起こされる経済的被害」である。(関谷直也先生の定義)

政府の指示によって規制されたものではなく、それ以外の本当は安全なものまで、購入者が減ってしまうのが、「風評被害」でです。

「人は本当に『安全でない』」から買わないのではなく『安全でなさそう』だから買わないのだ」(三輪宏子先生)。

■風評被害発生のメカニズム

関谷先生による社会心理学的研究によると、風評被害は、次のような段階をへて発生します。

「人々は安全かどうかの判断がつかないのだらか、危険そうなものは買わないだろう」と、卸売業差など市場関係者が考える(想像する)→取引量減少、価格低下。

→これらの様子が大きく報道される。→「やっぱり怖い」などといった街頭インタビューが流される。→人々は、「風評被害」が起きていると感じる。

こうなると、心配性の人(敏感な人)がまず動き始めます。

→報道が広がるにつれて、人々の「危険視」は大きくなり、市場関係者の「想像上の風評被害」と実際の消費者の行動が近づき、「実際の風評被害」が発生する。

■風評被害を悪化させるもの

  • 膨大な報道

  • 情報の不足

  • 不安をあおる掲示物など(「○○産の作物はすべて撤去しました」など」)

■風評被害と闘うために:イメージ戦略

風評被害を悪化させるような内容をさんざん流しておいて、最後に、政府や科学者の言葉として「安全です」などと結論づけても、逆効果です(そういった報道をよく見かけます。心配や不安をあおるような内容の法が、視聴率が取れるのでしょう)。

風評被害が起きていることが事実であれば、報道は必要ですが、気にせずに買っている食べている多数の人々の様子を報道すべきでしょう。有名人が、明るく元気に買っている食べている様子も効果的でしょう。心ある人々の冷静な行動と、支援の態度が、風評被害と闘う武器になります。

ふくしまと共に歩むために、みんなで東日本大震災の被災地を支えるために、風評被害と闘いましょう。私たちは、絆で結ばれた同じチームだったはずですから。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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