「母の日」に、親子関係の回復を。
◇母の日とは◇
母の日は、20世紀の初め、アメリカのキリスト教会で始まりました。この「お母さん」は、とても素敵な人で、みんなに慕われていました。教会に集う子どもたちのために、日曜学校の先生もしていました。
けれども、このお母さんは病気で亡くなります。そこでこのお母さんを偲んで、1908年5月10日、娘さんと日曜学校の生徒さんたちによる記念の会が開かれ、お母さんが好きだった白いカーネーションが配られました。
この話が広く伝わり、1914年にアメリカ議会で5月の第二日曜日が「母の日」と制定されました。
日本にも大正時代に「母の日」は伝わってきましたが、一般的になるのは、昭和12年(1937年)に森永製菓が提唱してからといわれています。(森永製菓の創始者森永太一郎さん(1865-1937)はクリスチャンでした。森永のマスコットは天使「エンゼル」ですね。)。
◇汝の父と母を敬え:十戒◇
旧約聖書の十戒には、「あなたの父と母を敬いなさい」とあります。この言葉を、そうしなければならない道徳律と考えると、辛い人もいるでしょう。でも、聖書は言います。
「君が、幸せになるコツを教えよう。それはね、君のお父さんとお母さんを愛することだよ。」
そうすることが、幸せになる秘訣だというのです。
心理学者、スクールカウンセラーとして感じるのは、「お母さん大好き、お父さん大好き」と言える子は、何がどうであれ、みんな幸せだということです。
◇人間関係の基本、親子関係◇
親子関係は、人間関係の基礎です。おぎゃあと生まれて、はじめて持つ人間関係が親子の関係です。人は、親子関係を通して、多くのことを学びます。親に愛され、親を愛することを通して、自分自身を愛すること、人を愛することを学びます。
子どもは次第に親から離れていきますが、なにかあれば親の元に帰れるという「安全基地として親」がいてはじめて、外の世界、子どもにとっては未知の世界に出て行く勇気がわくのです。
両親を愛することができる子供は、幸せです。
◇大人になってからの親子関係◇
大人になってもなお、心理学的に言えば父母の存在、特に母親の存在は小さくありません。様々な人生の苦しみの元を見るとき、ああやっぱり親子関係って大切だと、つくづく思います。
大人になっても、親から愛されなかった、親を愛することができないと悩んでいる人は数多くいます。場合によっては、自分と親との心理的な関係の悪さが、自分と子供との関係にも影響を与えることがあります。自分の親から愛されていると感じ、自分の親を愛することが、自分と子供の幸せにつながります。
しかし、誰が見ても尊敬できる両親なら良いのですが、そうではない親もいます。親を大切にしなさい、愛しなさいといわれても、とうしてもできないことがあります。親を憎んでいる人も、たくさんいるでしょう。
憎んでいるとはいっても、憎しみは愛情の裏返しともいえます。親に愛されたい、親を愛したいと思いながらその思いが満たされないとき、激しい憎しみの感情を抱くことがあります。
◇親を愛せないあなたのために◇
さて、聖書の言葉も心理学者の言葉も同様なのですが、父と母を愛せよといっても、できないあなたを責めているのではありません。
ただ、親を愛することが、あなたの心の健康と幸せのためには効果的だということです。
大人になってからでも、自分と親の関係を修復することができるでしょう。当時の「小さな子どもと強い親」という関係ではなく、今の「大人になったあなたと年老いた親」だからこそできる修復があるでしょう。
私の知り合いは、ひどい両親に育てられ、中学卒業後に家を出て、ひとり暮らしをしながら夜間高校に通いました。懸命に勉強し、公務員試験に合格し、結婚もしました。そうして、今ようやく、少しずつ母親との関係を回復しつつあります。
◇亡くなった親とも◇
母親が亡くなってしまえば、もう仲直りはできません。文句も言えない、感謝の言葉も、お詫びの言葉もいえない。親に質問することもできません。
「私を好きじゃなかったの?」「どうしてもっと目を向けてくれなかったの?」「どうして私をおいて家を出たの?」
それでは、もう遅すぎるのでしょうか。そうではありません。親が亡くなっていても、あなたの心の中で、親との関係を修復することはできるのです。
たしかにあなたは辛かった、傷ついた。でも、同時に、あなたの親の苦しみや事情が少しずつ理解できはじめると、嵐のような感情は次第に静まり、親子関係は修復に向かいます。それはとても難しいのですが、でも、もし親を許し、親を愛することができるようになれば、それはとてもすばらしいことです。親が亡くなっていたとしても、遅すぎることはないのです。
母の日は、もともと亡くなったお母さんのための日だったのですから。
◇愛される親に。母の日のプレゼント◇
私たちの子どもにとって、「お母さん大好き」と思えることは、子どもの幸せにつながります。大好きと言ってもらえるお母さんになりたいものです。そうなれるように、家族や社会は、母と子を支えたいと思います。
小さな子どもが作った、母の日の工作。小遣いを貯めて買ったハンカチ。一本のカーネーション。子どもが何をプレゼントしてくれても、心から嬉しくて、笑顔で受け取るお母さん。
お母さんに喜んでもらえた子どもは、ますますお母さんが大好きになるでしょう。
5月12日(日)。今年の母の日が、すてきな母の日になりますように。
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