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ツイッターやめて「本当に良かった」(品川庄司の庄司智春さん):ネットコミュニケーションの心理

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

■品川庄司・庄司智春、ツイッターやめて「本当に良かった」

「二ヶ月少し経って今思う事…Twitter辞めて本当に良かったなぁと」

突然休止を告げた6月12日には「SNSというものに若干疲れました。ツイッターはいろんな方とコミュニケーションが取れる最高の空間でしたが その最高の空間にもクソみたいな奴がまだ存在していて」とサイバー空間での「人間関係」に疲れ切ったことを打ち明けた。

そして今、「スッキリしていますよ。早めにTwitter依存、SNS依存から逃れられてスッキリしています」とすっかりリフレッシュした様子だ。

出典:品川庄司・庄司智春、ツイッターやめて「本当に良かった」 Y! デイリースポーツ 8月22日(木)12時27分配信

芸能ニュースですから、あまりまじめに扱いすぎてもいけませんが、まあ、ちょっと考えて見ましょう。

■ツイッターの魅力と罠:ネットコミュニケーションの特徴

ツイッターの魅力は、気軽につぶやける(ツイートできる)ことです。本当は、短文投稿サイトと表現されるように、自分のホームページ、ブログを持つことと変わりないのですが、心理的には、ずっと気軽に投稿できます。

公の場なのに個人的なおしゃべりのような気がするのが、インターネットコミュニケーションの特徴です。ツイッターは、さらにその特徴が強くなります。本音を話しても良い気がしてきます。

そこで、「ツイッターはバカ発見器」などと揶揄されるように、発言してはいけないことまで発言してしまう人が出てしまいます。「悪ふざけバイト店員はなぜ続出するのか?:若者の心理とネットコミュニケーションの罠」のように。

一方、ツイッターは堅苦しくない本音の発言ができることが魅力です。個人でも、組織でも、有効に使えれば、すばらしい道具になります。

■ツイッターでの本音とは

ツイートを読んでいる人が、よく話のわかる、同じ感覚を持つ仲間ならOKです。冗談が通じます。本音を理解してもらえます。喜びも悲しみも努力も、わかってもらえます。そんな共感してもらえる良い仲間との楽しい交流ができます。「いろんな方とコミュニケーションが取れる最高の空間」になるでしょう。

しかし、ネットは公の場。そんな「仲間」だけが読むのではありません。「その最高の空間にもクソみたいな奴がまだ存在していて」と言うことになってしまいます。

周りが匿名で、自分だけが実名、特に有名人となれば、危険がいっぱいです。グチや本音を受け止めてくれる人ばかりではありません。自分としては、正しいことを言っていたり、軽い冗談のつもりでも、厳しい反応は返ってくるものです。

ツイッターによってファンが増えたり、売り上げが伸びるのであれば、がんばってツイートする意味もあるでしょう。ツイッターで、癒されたり、励まされたりするなら、ツイートへの意欲もわきます。

しかし、すでに多くのファンがいる人なら、ツイッターの危険性の方が大きくなるでしょう。それでも良いネットコミュニケーションをしようと思うなら、「クソみたいな奴」が存在していることを覚悟の上で、本音に見えるが実は本音ではない配慮した発言が必要になります。

親しき仲にも礼儀ありですから、配慮は当然ですが、でもこれはなかなかエネルギーのいることです。そんな気の使い方は嫌いだと感じる人もいるでしょう。このエネルギーを別のことに使った方が生産的だと感じる人もいるでしょう。

時間と労力をどう使うかは、その人それぞれの自由です。

■より良いツイッター、ネットコミュニケーションのために

発言する人も、注意と覚悟は必要です。でも、芸能人や有名人の生の声が聞きたいと願うのであれば、私たちの側の配慮も必要かもしれません。

インターネットコミュニケーションも、ツイッターも、まだ始まったばかりです。私たちみんなが、使い方を学ばなければならないのかもしれません。危険もあるけれど、まだまだ大きな可能性もあるのですから。

*補足

お笑いコンビ品川庄司のお笑い芸を、いつも楽しく拝見しています。庄司智春さんのはっきりとした物言いも、私は好きです。今回の記事は、決して庄司さんを批判するわけではありません。

ただ、有名人の注目された言動をもとに、一般論としてのネットの問題を書いてみました。

ファンの思いの熱さを、書き手は忘れてはいけませんね(⌒-⌒)

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ネットの心理メカニズム:インターネットではなぜデマ(流言)が広がるのか:Yahoo!「心理学でお散歩」

悪ふざけバイト店員はなぜ続出するのか?:若者の心理とネットコミュニケーションの罠」:Yahoo!「心理学でお散歩」

インターネットの心理学:こころの散歩道

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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