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小保方晴子氏反論記者会見:全質疑応答のコンパクトなまとめ

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

ここでは会見の全質疑応答を取り上げていますが、コンパクトにまとめてみました。

■最初のコメント

最初のコメントでは、小保方さんは、

自分の能力を超えていた、生物系の論文執筆について不勉強だったと謝罪。

STAP現象はたしかに存在する。私は、きちんと発表できるように毎日研究に取り組んできた。人類のために役立てたい。論文の不備によって、この現象自体が否定されることがないようにしたいと語ります。

(とても誠実な態度ですね。)

次に弁護士さんが説明します。疑惑が指摘されている3つのポイントについて説明した後、「捏造」(ねつぞう)について説明します。

「捏造」とは、存在しないものを存在したかのようにするもの。実験をしていないのにデータを作り出せば捏造。実験したが、存在しデータを作りだせば捏造。しかし、本研究、小保方論文は違う。

実験も行い、データもある。論文掲載時の単なる取り違い。ないものを作り出した捏造ではない。小保方さんは、自ら訂正している。調査委員会の「推論」は誤り。悪意はない。捏造ではない。

(こういう言葉へのこだわりは、法律屋さんですね。)

調査委員会の「重要な画像だから間違うはずはない。だから捏造」というのは、合理性がない。短時間の調査だったので、再調査をしてほしいというのが、今回の趣旨。

■質疑応答

司会:不服申し立てに関する質問をどうぞ。

Q:どの時点で間違いに気づいたか。テレトーマスライド画像の最初の説明は?

A:さまざまなストレスを与えると肝細胞化する一例。

Q:実験ノートに書かれているか。

A:不十分かもしれないが、書かれている。

Q:なぜ画像を取り違えたか。

A:何度も画像をバージョンアップしているうちに混乱した。反省している。元画像、元データに当たるべきだった。

Q:ミスであり、悪意はないという不服申し立てはわかるが、見栄えを良くしようとするのは、科学的に認められないのでは?

A:私が不勉強だった。申し訳ございません。写真がどこにいったかわからなくなり、探した。その結果、大変な取り違いをしてしまった。

ネイチャーにも、調査委員会にも、報告した。博士論文に関しては、調査委員会に報告する必要なないと思った。意図的に隠したのではない。

Q:何回、STAP細胞を作ったのか。

A:200回以上。

Q:公開実験は可能か?

A:研究室では毎日が公開実験。ただ実証するためには日数が必要。でも見たい方がいれば、どこにでも行きます(笑顔)。

Q:違うマウスをなぜ使ったか。

A:詳細はわかりかねます。

Q:実験ノート3年で2冊は少なすぎ。もっと詳細な記録は?

A:実際はもっとあります。提出したのが2冊。

Q:調査委員会への反論を。

A:急に提出しろといわれて、そのときにあったのが、2冊だった。

Q:なぜこんなことになったのか。

A:いろんな研究室を渡り歩いてきて、研究の仕方が自己流で未熟だった。

Q:協同研究者への思いは?

A:心から申し訳なく思う。

Q:研究、論文の問題はあるが、STAP細胞は実在するのか。再現への参加は?

A:私の未熟さのせいで、研究内容以外のところに関心が集まり、研究が遅れていることは、申し訳ない(涙ぐみながら)。再現実験に関しては何も聞いていない。

未熟な私にまだチャンスが与えられるなら、研究を続けたい(涙ぐむ)。

調査委員会への結果に、きちんと答えられなかった。今回の不服申し立ては、弁護士からのアドバイス。

Q:若山先生には?

A:画像取り違えを、若山先生はご存知だと誤解していた。二人のメールも電話もパンク状態で、第三者を通してしかわからなかった。

Q:科学に対しての考え方は変わったか。

A:自己流ではなく、きちんとかかわっていきたい。

(この質問は訳のわからない質問ですね。小保方さんよく回答しました)

Q:今後はどうしたい?

A:今の時点ではわからないが、私にできる社会貢献をしたい。

Q:200回もできているなら、この論文は撤回し、書き直したら?

A:撤回は、結論が間違いだと世界に発表することになるので、撤回はしません。

Q:これまで姿をあらわさなかったのは?

A:(少し沈黙)何度も自分で話したいといったのだが、理化学研究所が止めました(丁寧な表情と表現で)。

Q:ノートと写真の枚数は?

A:写真は何百枚というすごい数。ノートは、4~5冊ある。

Q:理研は、小保方さんが論文撤回に同意したと言っていたが。それは嘘か間違いか。

A:私は理研の下にありますので・・・。その方向には同意したが、撤回には同意していない。

Q:小保方さんにとっての「悪意」とは?

A:弁護士の先生におききしました。

司会:「法律問題にかかわるので」と質疑応答をさえぎる。

Q:博士論文の取り下げについては?

A:本人が判断するものではないと、関係者からアドバイスされた。

Q:割烹着(かっぽうぎ)報道については?

A:予想外だったので、正直言えば、(大報道が)恐ろしかったです。

Q:割烹着やピンクの研究室は理研のヤラセか?

A:割烹着は3年前から着ています。ピンクの研究室は、私がユニットリーダーになってから。

Q:小保方さんの行為は、懲戒処分に当たらないとお考えか。

A(弁護士):論文不正と認定されれば、当たるだろう。だが、研究不正ではないと考えている。形式上不正だとされても、処分が重すぎると主張したい。間違いがあったからといって「有罪」とは認定できない。

Q:刑法の推定無罪か。しかし、彼女のコメントは矛盾している!

司会:「質問に限定を」と発言をさえぎる。

(参加者の記者らからは特に異論なし)

Q:画像の切り貼りなどについて、共同研究者に相談、報告しなかったのか。

A:その時点では、していません。

Q:公開実験、ノートの公開は?

A:公開実験に関しては、私だけでは判断できない。時間もかかる、場所もいる。ノートも秘密の部分もあるので、すべてを公開はできない。理研は第三者による再現が必要と言っている。

Q:STAP細胞はあるのですか。

A:STAP細胞はあります!

わかってもらうために、新たな研究や論文が必要

Q:独自の方法でやったのは悪いことか。だからこそ、画期的なことができたのでは?

A:たくさんの先生に支えられてきた。未熟な点はあったが、だからこそSTAPにたどり着いたと考えたいが、今そう言うのは謙虚さにかける。

Q:理研はトカゲの尻尾切りか?

A:(言葉を選びながら)私自身のミスなので、他の人のことをコメントできない。いろんな人に助けられたが、私の力不足。

Q:iPS細胞より優れていると発表されたが、どうか。

A:STAP細胞は期待してもらっていたが、私の気持ちと、広報活動とには、違いがあった。

Q:下世話な質問を。特定財団に認定される前の打ち上げ花火だったのでは?

A:そんなことはなかったと思います。

Q:科学論文の「不正」は、法律や一般常識とは違う。文科相の基準でも。立証責任は、小保方さんに。これで立証できると思うか。科学界は納得するか。

A(弁護士):文科相の基準は、不正が故意であると認定されなければならない。もっと強い証拠はこれから。立証責任は協同。

Q:これでアカデミア(科学の世界)は納得するか。

A:今日は、調査が不十分であるという不服申したての話。研究のことは、今後の問題。

Q:細胞は保存されているのか。それを見せれば。

A:保存はされている。だが、調査委員会はそれだけでは不十分だと。

Q:STAP細胞ではない別の細胞の混入では?

A:それは作っていなかったので、考えられない。

Q:真正のデータ(画像)があるなら、なぜそれを提出しない。

A:実験ノートを第三者的視点から記述していなかったのは、反省している。真正なデータは、報告済み。

Q:真正だとなぜわかる。

A:ノートの記述による。

(2時間近くたったが、小保方さんに大きな疲労の色はあまり見られず)

司会:一般的な質問をどうぞ

Q:調査委員会に望むことは?

A:弁明の機会を与えて欲しい。

体調が思わしくない中で、十分に答えられなかった。

Q:共同執筆者へ。

A:申し訳ない。

Q:これまでの体調変化は?

A:もう、ぜっ不調でした。

Q:家にいたか。

A:みなさんもお仕事なので仕方がないのでしょうが、大勢のマスコミの人がいたので、家にいるしかなかった。

(マスコミにも配慮ある言葉です)

Q:小保方さんだけが実験担当だったのか。

A:さかい先生には、コントロール(統制群)に使う実験を一緒にしていただきました。

Q:第三者による再現は成功するか。

A:必ずできると信じている。細かなコツをすべてクリアできれば。私以外にもできます。細かいことも、公表したいと願っている。

Q:200回確認しているというが、誰が一緒に見たか。

A:私の周りの方々、かなりの方が見ています。

Q:論文投稿前に、不正と言われる部分を訂正できなかったか。

A:私が、もっと周りの方に公開し頼んでいたら、防げていたと思う。

Q:先輩から後輩への問題改善のためのアドバイスはなかったのか。

A:難しい質問です。少なくとも・・・(沈黙)、問題改善の余地があったかどうかはわかりません

Q:法的な不服申し立ての前に、科学者として、証明すべきではないか。ちょっとしたコツとは何か。

A:いろいろなことがあって、今日までできなかった。詳細なプロトコルをこれからでも発表したい。

Q:再現しようとした世界の研究者には?

A:質問があれば答えていきたい。

(これは、質問者はお詫びの言葉が聞きたかったのでは)

Q:理研に裏切られたと思っているか。

A:(しばらく沈黙)そのような気持ちは持つべきではないと思っております。

(配慮あるお言葉)

Q:発見したときには、自分も驚いたか、疑問はあったか。

A:最初からは確信はなかった。STAP現象が起こりうると気づいたときには、どう証明しようかと思ったワクワクした気持ちは、今も覚えている。

Q:自分から再現を頼んだことはなかったのか。

A:多くの人と一緒にやっています。他の人も成功しています。個人名は出せません。

(こういう質問は、科学の世界がわかっていない気がする)

Q:4~5冊のノートは、なぜ提出しなかったのか。

A:全て出す必要があると思わなかった。いくつかの研究室を渡り歩いているので。他のノートの内容など、もっと詳しく説明していれば、わかってもらえたかと。

Q:不服申し立て。理研以外の、別のメンバーによる調査をとの要望。理研の規定では原則同様のメンバーとなっているが。

A:調査に参加していただいた先生方には、本当に申し訳なく思っております。しかし、一度出た判決が同じ人では覆りにくいと思っています。

(これも配慮ある言葉ですね)

Q:日本を代表する理研が、論文捏造によって科学への信頼を損なったと語っている。

A:ご迷惑をおかけして申し訳ない。言葉は、重く受け止めています(冷静な表情のまま)。

(これにも配慮を感じます)

Q:期待していた難病患者さんへは?

A:研究が続けられるなら、患者さんの思いに応えたい。

Q:週刊誌報道。上司とのプライベート関係は。

A:そんなことはありませんし、戸惑っています(冷静な表情で)。

Q:給料だけでは考えられない生活かと。

A:ホテルに滞在していたころは、ハーバード大学からの出張だったので。

Q:「大きな力」といったコメントもあったが、今日はお詫び?心境の変化?

A:そのときは、落ち込んでいたので、弁護士の先生と一緒に強い発言をした。いろいろなことがあって、大きな力に翻弄された毎日だった。その気持ちが出たと思う。動揺していた。

A(弁護士):これまでの強いコメントと今日の謝罪は、矛盾していない。

Q:この2ヶ月、何をしていたか。今は、大丈夫に見えるが、体調は。

A:めまぐるしく状況が変わり、体調が徐々に悪化した。最後は、家で静養している状態。心身ともに憔悴しきって、日常生活に支障が出る状態。3月末には医師に入院を勧められた。

Q:ヒアリングの回数は?1回?3回?

A:十分な聞き取りをしていただいた感じはしていない。質問に対する回答しかできず、十分な弁明ができなかった。

司会:2時間半たったので、これで終了。次の会見の予定は、ありません。体調がありますので、お約束できません。ご配慮を。

小保方さん:丁寧なおじぎ「申し訳ありません」と会場を去る。

フラッシュの嵐。

■会見を聞いて

すごいです。小保方さんの落ち着き。配慮された発言。

記者からもあまり辛らつな質問は少なかったとはいえ、

小保方晴子さんは、みごとに会見を乗り越えました。

それと、論文の問題は、別ですが。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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