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「クリぼっち」は幸せか:今や常識?若者が一人で過ごすクリスマス

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

「クリスマスは恋人と一緒」は、もう昔話。今は、「一人」が標準。お一人様ビジネスも盛ん。でも、彼らの幸せはとこにある?

■「ぼっち」とは

「ぼっち」とは、ひとりぼっちの略。一人でいるのは良いですが、「ひとりぼっち」は寂しそうですね。現代の若者は、「ぼっち」を恐れていると言われてきました。

中学生が、理科室や音楽室に一緒に行く人がいないと悩み、大学生が一人でお昼を食べるのが嫌だと、トイレで食べる「便所飯」なんていうのも、話題になりました。どちらも、一人が嫌というよりも、一人でいるところを見られるのが嫌、一人だと思われるのが嫌なわけです。

ところが、最近は「ぼっち」でも良いと感じる人が出てきています。

■「クリぼっち」とは

いろいろな場面の「ぼっち」があるわけですが、「クリぼっち」は、クリスマスを一人で過ごすこと。「クリスマス一人ぼっち」。

12月23日(火)朝のニッポン放送「垣花正:あなたとハッピー!」で、このテーマが取り上げられ、私も電話で出演しました。

『クリぼっちは幸せか?!』

首都圏に住む20歳代から30歳代の独身男女を対象にアンケートを実施したところ・・・

クリスマスは「自宅でのんびり過ごしたい」が47・1%〜

そこで今日は、新潟青陵大学大学院教授、心理学博士の碓井真史先生に電話をつなぎ、「一人ぼっちを好む若者たち」についてお話しを伺いました!

碓井さん曰く...

一人で過ごす人が増えたことで、それが多数派になり、社会がそれに合わせようとしている。

ネットなどの普及により、簡単に本音で話せる世の中になってしまい、弱い人間を作り出してしまっている。

一人ぼっちは、考え方によっては幸せだけれどもっと幸せな事もあると言いたい。

出典:垣花正:あなたとハッピー!:2014/12/23

■クリスマスの過ごし方

クリスマス=“カップルイベント”という世間のイメージとは裏腹に、今の日本では恋人とクリスマスを過ごす人のほうが珍しいのである。〜

出典:いまや“クリぼっち”が新スタンダード? おひとり様に捧げるクリスマスプラン:ダイヤモンドオンライン2014/12/22

ダイヤモンドオンラインが現在行っているネット世論調査「今年のクリスマスイブの過ごし方は?」によると、今年2014年のクリスマス、クリボッチは41.5%、家族と過ごすは30.2%、そして恋人と過ごすは3.8%でした。

■ぼっちビジネス、ぼっちが標準

一人で鍋料理。一人でケーキ。一人でカラオケ。そしてクリスマスも、一人でも入りやすいレストランなど、ぼっちでも過ごしやすい場所が次々作られていきます。

ドラえもん」ののび太は、怖いジャイアンに怒鳴られながら、みんなで遊んでいます。みんなで野球をするためには、かなりがんばったり、ガマンしたししなくてはいけません。でも、ネットでならもっと楽に遊べますね。一人で遊べる道具が、次々と売り出されています。

昔なら、25歳過ぎの独身女性は「クリスマスケーキ」にたとえられて(25過ぎたら大売り出し)、結婚への社会的プレッシャーを受けました。昭和45年(1970年)の平均初婚年齢は女性24.2歳、男性26.9歳。それが平成23年(2013年)には女性29.0歳、男性30.7歳。生涯未婚率も高まり、独身が珍しくなくなりました。そうなれば、お一人様ビジネスも盛んになります。

異性の交際相手も友人もいない割合は、男性で約6割、女性で約5割という調査もあります。

リクルートの「恋愛観調査2014」によれば、20~40代未婚者全体で、恋人がいる人は26.5%。今まで付き合ったことがない人は28.9%。

20代男性の「今まで付き合ったことがない」割合が41.6%でした。

多くの若者に恋人がいて、クリスマスは恋人と過ごすということが、なくなってきています。いろいろな場面で、一人でもたのしく過ごせるようになってきています。

■クリぼっちは幸せか

独身とか、恋人がいないことが、恥ずかしいとかプレッシャーを感じるようなことは、間違っているでしょう。恋人がいてもいなくても、家族がいてもいなくても、みんなが幸せな時を過ごせればと思います。

アメリカでは、通称「クリスマスうつ」と呼ばれる現象がるそうです。欧米のクリスマスは、日本のお正月のように、家族みんなが集まり温かい時を過ごします。そんなとき、一人ぼっちの人は、強く孤独感を感じて、うつ状態になってしまうという現象です。

(「クリスマスうつの人は、季節性うつによる脳の疲れと、心理的孤独感と、年末の心身の疲れが絡まって生じるのかもしれません。」:冬のうつうつ吹き飛ばせ!:季節性うつ(季節性感情障害・冬季うつ)対処法:Yahoo!ニュース個人有料)補足12/24

社会がクリぼっちを責めるような目で見ないで、一人でも生きやすい世の中を作りたいものです。

でも、若者たちとゆっくり話すと、彼らも「親友」を求めています。すばらしい恋愛を求めています(現在恋人がいない人の「恋人が欲しい」割合は64.5%)。深い心の交流を求めて入るけれど、傷つくこと傷つけられることが怖くて、互いに本心を表して近づけない若者たちを多く見ます。

一人でも幸せに生きていけるけれども、本心では二人でもっと幸せになりたいと願っている若者たちを、私達みんなで支援できればと思います。

☆クリスマスは、みんなで心いやす日:「クリスマスはイエスキリストの「誕生日」ではありません:クリスマスの起源から

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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