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女性連続硫酸かけ事件の犯罪心理学:アシッド・アタック(酸攻撃)、性嗜好異常と女性のモノ化

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

■容疑者逮捕 背後から女性襲ったか… 連続“硫酸かけ”30歳男

北村宣晃容疑者は、高崎署で取り調べを受けているものとみられます。北村容疑者は2日、高崎市のショッピングセンターで買い物中の女性の後ろから近付き、硫酸をかけて左足にけがをさせた疑いなどが持たれています。~

高崎市内では、20代から40代の女性4人が同様の被害を訴えていて、警察は北村容疑者が関与したものとみて、自宅など関係先を捜索する方針です。

出典:背後から女性襲ったか… 連続“硫酸かけ”30歳男 テレビ朝日系(ANN) 4月7日

防犯カメラに写っていた男性が逮捕されました。

この男性は、以前にも女性に対する加害行為を行っています。

高崎駅で硫酸 容疑者男は先月“尿”で有罪:日本テレビ系(NNN) 4月7日

このときは、有罪ですが、執行猶予付きでした。

自分の体液や尿を入れた空き缶を女性のかばんに入れたとして、北村宣(のり)晃(あき)被告(30)=住居侵入罪で起訴=を再逮捕した。同署によると、「仕事でむしゃくしゃしていた」と容疑を認めている。~

北村容疑者は10月、自宅近くの路上でケーキシロップを女性の肩などにかけたとして暴行容疑で逮捕。11月には女性宅に侵入して下着を盗んだとして住居侵入と窃盗容疑で再逮捕されていた。

出典:自分の体液入り空き缶、女性のかばんに入れる 「仕事でむしゃくしゃ」容疑の男を逮捕:産経ニュース2014.12.17

■犯行動機

容疑が事実とすれば、犯行動機は何でしょうか。以前、自分の体液を使った犯罪を行った際には、「仕事でむしゃくしゃしていた」と供述しています。ストレス解消のための犯行といえるでしょう。

今回も、「ストレス解消」といった面はあるかもしれません。あるいは、このような行為に性的快感を感じる性嗜好異常があるのかもしれません。

女性を汚したり、困らせたり、傷つけることに性的快感を感じる男性達がいます。単に、仕事上のストレスがたまっていたことが犯行動機としては、大胆であり、連続しすぎているようにも思われます。

今回も「液体」を使っていますが、液体は体液を連想させるものなのかもしれません。前回までの犯罪行為と比較して、今回は一歩間違えれば、大きな被害が出ていた可能性もあります。犯行はエスカレートしたといえるでしょう。

女性を困らせたり、傷つけたりする行為で、何らかの心理的満足を得ていたのでしょうが、さらに大きく女性を傷つけたいと考えたのでしょう。前回逮捕されているのですから、普通なら反省し、再犯しないように努めるはずです。しかし、彼にとっては、そのときの快感が忘れられず、逮捕の危険性を冒してでも、もう一度女性を傷つけたいと考えてしまったのでしょう。

ただし、今回の犯行を見ると、重傷を負わせる意図はなかったのかもしれません。

もちろん、今回の被害女性のケガは、決して小さなことではありませんし、前回の犯行も、女性の心理的被害はとても大きなものでしょう。

■歪んだ欲望

このような行為は、普通の意味で得になること、利益になることはありません。彼の歪んだ欲望を満足させるだけです。ただ、「歪んだ欲望」を持っている人は、たくさんいます。けれども、ほとんどの人は実行しません。空想の中だけで楽しんだり、ビデオを見て満足したりします。

しかし、一部の人たちが、空想やビデオだけでは満足できず、歪んだ空想をふくらませすぎ、ついには犯行にいたってしまいます。

■女性への「アシッド・アタック」(酸攻撃)

とても卑劣な犯罪です。「アシッド・アタック」(酸攻撃)は、女性に硫酸や塩酸をかける犯罪です。非常に理不尽で些細な理由で、若く健康で美しい女性達の顔に硫酸などをかけます。インド、パキスタン、アフガニスタン、ネパール、カンボジア、バングラディシュ、イランなど、アジア各地で度々発生しています。被害者は、年間数百人いると言われています。

被害女性は、頭、顔、胸、背中に大きな被害を受けます。美しい容姿を失い、視覚や聴力を失う人もいます。その結果、仕事を失い、家族を失う人もいます。力強く立ち直る女性もいますが、自殺してしまう女性もいます。アシッド・アタックの目的は、女性の人生の破壊です。

事件の背景には、女性蔑視、女性のモノ化があるでしょう。

今回の犯行も、このようなアジアでのアシッド・アタック(酸攻撃)に関するニュースを見て、刺激を受けたのかもしれません。

今回は、被害者女性に個人的な恨みがあったわけではなさそうです。しかし、誰でも良いから女性を使って、非常に自己中心的な満足を得ようとするのは、女性のモノ化という点では同じだと言えるでしょう。

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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