Yahoo!ニュース

姉はなぜ弟の遺体を切断したのか

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)(写真:アフロ)

優しい人間が、残忍な行為をすることもある。

■遺体切断事件か

男性と同居する姉のアルバイト店員、竹内愛美容疑者(25)を死体損壊と死体遺棄の疑いで逮捕し、発表した。県警は、遺体が弟の職業不詳、諒(りょう)さん(21)とみて確認を進めている。

出典:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160913-00000069-asahi-soci

遺体は、ポリ袋に入れられていました。別の報道によると、頭部はあごの部分が切断されていたり、足は太ももの部分で切断されていたとされています。

死体損壊と死体遺棄の容疑で逮捕された女性は、評判の良い明るく優しい女性だったと報道されています。

■遺体切断、バラバラ事件の動機

遺体が切断されるような事件は、猟奇殺人事件に見えますが、遺体切断の最も多い動機は、遺体の処分目的です。一人では運ぶことができない遺体を小分けしして処分するために切断します。

それ以外の動機として、人間を解剖してみたかったと語った犯人もいますし、切断した遺体をまるで芸術作品でも作るように飾っていた事例もあります。遺体を損壊することに快楽を感じる、快楽殺人のケースもあります。

今回のようなケースでは、処分目的の切断が考えられますが、あごの部分の切断や太もも部分の切断などは、処分のためには必要以上の切断です(ただし、第一報による情報なので、このあたりは後に修正されるかもしれませんが)。

容疑が事実であり、伝えられる供述通りだとすれば、姉は2週間前に弟の遺体を切断したことになります。処分目的であれば、なぜ2週間も自宅に置いてあったのかが、わかりません。

呆然自失状態だったのかもしれませんし、良い処分方法が思いつかなかったのかもしれませんし、あるいは肉親だからこそゴミのように捨てることはできなかったのかもしれません。

■明るく優しい女性でも

遺体を切断するような残虐な行為は、残忍な人間が行うと考えがちですが、そうとは限りません。

目の前にある遺体をなんとかしなければという追い詰められた思いで、普段は優しい女性も、遺体を切断します。正常な人でも、異常な状況では異常な行動を取るのは、よく見られることなのです。

*現状は、まだ死体損壊と死体遺棄の疑いによる逮捕であり、詳しい情報もありません。続報が入れば、またページをアップしたいと思います。→記事をアップしました(9月15日)。

姉は弟の遺体を切断しトイレに流したのか:それは残忍な犯行で弱者の行為

社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

心理学であなたをアシスト!:人間関係がもっと良くなるすてきな方法

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

心理学の知識と技術を知れば、あなたの人間関係はもっと良くなります。ただの気休めではなく、心理学の研究による効果的方法を、心理学博士がわかりやすくご案内します。社会を理解し、自分を理解し、人間関係の問題を解決しましょう。心理学で、あなたが幸福になるお手伝いを。そしてあなた自身も、誰かを助けられます。恋愛、家庭、学校、職場で。あなたは、もっと自由に、もっと楽しく、優しく強く生きていけるのですから。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

碓井真史の最近の記事