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テレビで頂上対決!「残業代ゼロ」法案を巡る佐々木・八代論争

渡辺輝人弁護士(京都弁護士会所属)

政府が今国会への法案提出をする方針で、ここのところYahoo!個人記事でも次々と論考が出されているホワイトカラーエグゼンプション制度(政府は「高度プロフェッショナル制度」といい、反対派は「残業代ゼロ法案」「過労死促進法案」と呼んでいます)ですが、ネット上では、先日来、八代尚宏・国際基督教大学教授(賛成派)の論考に対して、佐々木亮弁護士(反対派)が対決する論考を投稿しています。

八代尚宏「「残業代ゼロ」法案=過労死法案の誤解を解く

佐々木亮「過労死を促進させる「残業代ゼロ」法案を「過労死防止法案」と呼ぶべきとする珍論について」

実は筆者も反対派の立場から自分のブログに記事を書き(コチラ)、そこで八代氏との公開討論を求めていたんですが、そのことと関係あるのか、ないのか、全く分かりませんが、テレビでの公開討論が実現したようです。といってもBSですが。BS11「報道ライブ21 INsideOUT」で下記の通り、明日(3月3日)夜9時から両氏がディベートを行います。

「残業代ゼロ これで何が変わる?!」(3月3日放送)

ゲスト:八代 尚宏(国際基督教大学 教授)、佐々木 亮(弁護士)

安倍政権は2015年通常国会で成立を目指している、通称「残業代ゼロ法案」。年収1075万円以上の人を対象に残業時間に関わらず賃金を定額にするというものだが、推進派と賛成派の間では大きな議論となっている。果たして、どんなメリットとデメリットがあるのか?番組では、推進派と反対派の識者をスタジオに招き、ディベートすることで「残業代ゼロ法案」とは何かを浮き彫りにしていく。

出典:BS11

これは見逃せませんね。とくに、反対派の立場から見ると、この法案は政府が「結果でなく成果」とか「労働時間を短縮できる」とか、法案上も根拠があるとは思えない美辞麗句を垂れ流しているのに、誰も説明責任を果たしていないように見えます。八代氏は政府の立場ではありませんが、元経産官僚で、政府の各種審議会にも所属しています。中身の濃い議論を期待します。また、BS11は、是非、番組終了後に動画をYouTubeか自社サイトに無料でアップするなど、ご配慮を願いたいものです。

弁護士(京都弁護士会所属)

1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なので何でもこなせるゼネラリストを目指しています。著作に『新版 残業代請求の理論と実務』(2021年 旬報社)。

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