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【ソチ2014パラリンピック】ウクライナに喝采!冬季史上最多の45カ国でソチパラリンピック開幕

矢萩邦彦アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授
笑顔で入場した日本選手団は選手16名、役員24名の計40名。

3月7日、2014年にかけて20時14分に開幕したソチパラリンピック。“氷を割って”をテーマにクリオネ風のダンサーが飛び交う壮大な式典は、会場に詰めかけた4万人を魅了しました。

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◆日本選手団笑顔の入場

今回はトルコ・ブラジル・ウズベキスタンが初参加、冬期史上最多の45カ国。日本の入場で旗手を務めたのは太田渉子選手。「入場行進を目前にしてフラッグを実際に持ったが、選手団のテンションが上がるのを感じると共に、責任の重み も感じた。スクリーンに映し出される自分自身の姿を見て、清々しさと背筋が伸びる思い。しっかりと準備はしてきたので、全力で諦めずに走り抜けたい」とコメント。続いた森井大樹主将は「盛大な開会式の中、ロシアの方々から「GOOD LUCK!」と声援をいただき身の引き締まる思いです。明日から選手一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、チーム一丸となって戦っていきます」と代表として決意を表明しました。日本選手が挑むのは、アルペンスキー・クロスカントリースキー・バイアスロンの3競技。

バイアスロンのミハイロ・トカチェンコ選手、たった一人での入場に場内が湧いた
バイアスロンのミハイロ・トカチェンコ選手、たった一人での入場に場内が湧いた

◆ウクライナの入場に喝采

日本よりちょっと早く、36番目にウクライナが入場すると、会場は割れんばかりの喝采! 米軍の誘導ミサイル搭載駆逐艦“トラクストン”が黒海に入るなど緊迫する情勢の中での参加決断に、ロシアのボランティアもスタンディングオベーションで迎えました。入場したのは代表選手23人のうちの1人トカチェンコ選手。開会式前に記者会見を開いたウクライナ・パラリンピック委員会のスシュケビッチ会長は「いい成績を期待しているが、恐ろしいことが起こればすぐに撤退する。開会式ではメッセージを込めた行動を行う」と話していました。

会見に応じるウクライナ・パラリンピック委員会のスシュケビッチ会長
会見に応じるウクライナ・パラリンピック委員会のスシュケビッチ会長

◆日本メディアの扱い

NHKでは開会式の模様を地上波で初めて生中継をしました。また、スカパー!では、専門チャンネルを設けて全競技の中継することが決まっていおり、TwitterなどのSNSでもロンドンパラリンピックに比べて盛り上がりがありましたが、“パラリンピック”に対して“どうでもいい”という検索ワードが関連上位に上がるなど、まだまだ2020年に向けて啓蒙活動の必要性が感じられます。

入場国の国旗とテーマ曲が盛り上がる会場の空間を埋めた
入場国の国旗とテーマ曲が盛り上がる会場の空間を埋めた

パラリンピックを精力的に取材している記者は「オリンピックとは違った極限の感動がある」といいます。しかし、その感動を現地にいない人に伝えるためには、まだまだ情報の質と量に不足があるのではないかと思います。無関心を関心に。このソチが下地作りに貢献出来ることを願いつつ、取材を続けます。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE)

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アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

1995年より教育・アート・ジャーナリズムの現場でパラレルキャリア×プレイングマネージャとしてのキャリアを積み、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究するアルスコンビネーター。2万人を超える直接指導経験を活かし「受験×探究」をコンセプトにした学習塾『知窓学舎』を運営。主宰する『教養の未来研究所』では企業や学校と連携し、これからの時代を豊かに生きるための「リベラルアーツ」と「日常と非日常の再編集」をテーマに、住まい・学校職場環境・サードプレイス・旅のトータルデザインに取り組んでいる。近著『正解のない教室』(朝日新聞出版)◆ご依頼はこちらまで:yahagi@aftermode.com

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