Yahoo!ニュース

【ソチ2014パラリンピック】「今を全力で、諦めない」銅メダリスト久保恒造選手から若者へのメッセージ

矢萩邦彦アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

今回のパラリンピックで日本に最初のメダルを届けてくれた久保恒造選手。バイアスロン男子7.5kmスプリント座位での銅メダルに続き、12.5km、15km座位では6位に入賞しました。競技を終えたばかりの久保選手に学生や若者に伝えたいことを伺いました。

画像

◆どうしたらロシアに勝てるかばかり考えてきた

「やっぱりロシアは強かったですね。パーフェクトな状態でようやく戦える相手、自分を成長させてくれた良きライバルでした」と振り返った久保選手。しかし、「このままだともっともっと差が開いてしまう」と危惧します。自分に続く若手のシットスキー選手が育っていないことも心配だといいます。「ロシアがなぜこんなに強いのか現状では分からないですが、バンクーバー以来自分は4年間どうやったらロシアに勝てるかばかりを考えて来ました、日本選手は諦めずに前進することが大事」と力強く話してくれました。

画像

◆人生の大切さを胸に、次は陸上競技へ

「高3で事故に遭って、ただもう流れに沿って生きてきました」という久保選手、「事故を機に一回きりの人生の大切さを教わりました」とポジティヴに受け止めます。事故による脊髄損傷で下半身麻痺の障がいを持った久保選手は、車椅子マラソンと出会い選手として活躍、2008年からはシットスキー競技にも活動の場を広げていました。今後は所属する日立ソリューションズが2020年を目指して設立した「車いす陸上競技部」に席を移し、日本人男子初となる夏冬パラリンピック出場を目指します。

競技後、清々しい笑顔の久保選手
競技後、清々しい笑顔の久保選手

◆今を全力で、諦めない

若者にカッコイイ大人の話を伝えたいというと「俺、カッコイイかなあ、自分の子どもには存在感ないって言われたんですよね」と照れながら答えてくれた久保選手。「どんなことでもいいので、悔いのないように、何でもやってもらいたい。後から振り返って、あれをしておけば良かった、と思って欲しくない。とにかく今やっていることを全力でやること。僕も今シットスキーを全力でやっています。この大会が終われば車いすマラソンに全力を傾ける。悔いなく終わりたい。そのためには全力で臨み、諦めない」。久保選手の言葉が誰かの背を押し、火を点けることを願います。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE)

アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

1995年より教育・アート・ジャーナリズムの現場でパラレルキャリア×プレイングマネージャとしてのキャリアを積み、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究するアルスコンビネーター。2万人を超える直接指導経験を活かし「受験×探究」をコンセプトにした学習塾『知窓学舎』を運営。主宰する『教養の未来研究所』では企業や学校と連携し、これからの時代を豊かに生きるための「リベラルアーツ」と「日常と非日常の再編集」をテーマに、住まい・学校職場環境・サードプレイス・旅のトータルデザインに取り組んでいる。近著『正解のない教室』(朝日新聞出版)◆ご依頼はこちらまで:yahagi@aftermode.com

矢萩邦彦の最近の記事