普段から意識してますか? 小学生と考える「気を付けなければいけない誘拐の手口」
岡山県倉敷市の小5女児の監禁事件が記憶に新しいですが、今月に入って今度は横浜市中区の小2男児2人を誘拐したとして、未成年者誘拐の疑いで無職容疑者(76)を逮捕したという報道がありました。容疑者は前日に公園で遊ぶ2人を見つけ「明日、海に連れて行くから公園においで」と声を掛けており「誘拐ではない。一緒に海に行っただけだ」と否認しているといいます。監禁事件とは全く異なる事件で、ネット上では果たしてどこからが誘拐なのか、という疑問も上がっていますが、様々な可能性を意識しておくことが防犯に繋がると考え、横浜市の小学生200人と「気を付けなければいけない誘拐の手口」について考えてみました。
◆どんな手口なら誘拐されてしまう可能性があるか?
戦中戦後などは「お菓子を買ってあげるから」、その後「カブト虫をあげる」「ゲームを買ってあげる」など時代背景に伴って変化してきた誘拐の手口ですが、現代の小学生は「それほど欲しいものもない」「ものではつられないと思う」等の意見が多数出ました。
「家族が事故に遭った、一緒に病院に行こう」などと告げられた場合、ついて行ってしまいそうだという小学生は多数いましたが、家族同士で「そういうときはどうするのか決めておけばよい」等、大半はそういう手口があると知っていれば十分警戒できるという意見でした。
もっともどうしようもないという意見が多かったのが、脅されたり強引に連れ去られるというケースでした。警察庁の発表では「甘言・詐言を用いて」「いきなり(車に)引きずり込む」という順に手口が多く、「暴行・脅迫」はかなり少ない状態ですが、だまされる小学生が減っていけば、今後増加すると考えられます。
◆実現可能な対策は何か?
略取・誘拐・人身売買事件の認知件数は、年間100〜300件の間で推移していて、そのうちの70%以上が、20歳未満の子どもを対象とした事件です。かつてはその大半だった身代金目的だけでなく、わいせつ目的の略取・誘拐も毎年一定数が報告されるようになりました。警察庁が平成15年にまとめた『子どもを対象とする略取誘拐事案の発生状況の概要』によれば、発生時間は子どもの下校時にあたる「15時~18時」が、発生場所は「その他道路上(通学路などで、学校付近以外の道路上)」が圧倒的に多くなっています。警察庁は、子どもに対する防犯教育・指導事項として次の4点を徹底すべきとしています。
小学生の意見としては上記以外に次のようなものが上がりました。
中には「思いっきり蹴ってダッシュで逃げる」なんていう意見もありました。仕方のないことですが、危険について甘く見ている生徒も多いので注意が必要です。
◆普段から油断しすぎないように、話題に上げておく
先述の報告書では保護者、学校、教育委員会や地域住民に対しても以下の注意を促しています。
これら3点に加えて大事なのは、常に意識に上げておくことだと思います。大人でも同じですが、あらかじめどういう行動をとるべきか決めておくことで、焦って失敗することを防ぐことができます。事件があってから注意しても、被害児童にとっては手遅れです。今は、多くの先生が話題にしていますが、忘れているときこそ、危険だと言えます。普段から大人が先導して意識化していくことで、少しでも被害を減らすことが出来るのではないでしょうか。(矢萩邦彦/studio AFTERMODE)
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