Yahoo!ニュース

悲報!選挙後初の会見でわかったトランプはやはりただの「オレさま」大統領に過ぎなかった!

山田順作家、ジャーナリスト
トランプタワーで行われた記者会見で記者を指名するトランプ次期大統領(写真:ロイター/アフロ)

大統領選後初めての記者会見というので、チャンネルをCNNにして、本当に驚いた。眠気が吹き飛んだ。まず、開始時間が遅れた。次に、会見というよりメディア攻撃、オレさま発言のオンパレードなのに驚いた。

これがアメリカ大統領なのか?こんな大統領でアメリカ、いや世界は大丈夫なのだろうか? 本当に心配というか、やけくそな気持ちになってきた。

これでは、真面目に政治、経済、世界情勢を語れない。大統領になれば少しは変わるかと思ったが、やはりトランプはトランプでしかなかった。

前々から思ってきたが、トランプは「オレさま」大統領である。トランプは自分こそがイデオロギーだと思っている。つまり、オレさまは偉い。神がつくった最高の雇用の大統領になるということは、自分は神がつくった最高の人間だと言うことだ。

ロシアのハッキングがあったことは認めたが、CNNとバズフィードが報道したロシアに弱みを握られていること(モスクワの夜の出来事:売春婦との行為)に関しては、当然だが認めず、キレまくった。

ツイッターでも、情報機関が「フェイクニュース」として意図的にメディアに流したとし、「われわれはナチス・ドイツに住んでいるのか?」と言っていたが、CNNのジョン・アコスタ記者の質問は認めなかった。というより、指差して彼を指名しながら拒否して恥をかかせた。さらに、バズフィードを「ゴミの山」と呼んだ。信じがたいことだ。

まあ、これがトランプだと言えば楽しめるが、これはドラマではない。エンタメでもない。人々の税金が注ぎ込まれ、紛争や戦争を引き起こしかねない政治闘争の現場だ。もういい加減、ラストベルトのトランプに投票した有権者たちも、トランプのペテン師ぶりに気がつくべきだろう。

日本の識者、メディアのなかには、トランプが対中国で強硬路線なので歓迎する向きがあるが、トランプの頭のなかは、じつは中国も日本もいっしょだ。

それは、ロシア、中国、日本、メキシコなどを同列に並べ、自らが大統領になれば、「(これらの国は)アメリカに対してはるかに敬意を払うようになる」と、オレさま自慢したことで明らかだ。トランプは、どの国だろうと自分の利益にならない国は相手にしないのだ。日本が忠実な下僕でない限り、守りもしないだろう。

最悪なのは、利益相反に関して女性弁護士に15分も語らせたことだ。自分で言えばいいものを、大統領職はほかの政府高官とは違い、利益相反が適用される法律がないと強調したうえ、ビジネスは全部2人の息子に任せるとしたことだ。第三者による「ブラインド・トラスト」(白紙委任信託)ではなく、身内である。つまり、彼はここでも1度手に入れたものはオレのもの、「オレさま主義」のカタマリなのだった。

この後は、いよいよ20日の大統領就任式である。ここで、歴代大統領たちは「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽して合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う」と、神に誓ってきた。トランプもこれをやることになるが、このままではなにか白々しい。

就任式で大逆転のサプライズが用意されているとは、とても思えない。

アメリカ人は、子供のころから学校に行けば、毎朝、教室にある星条旗の前で、片手を胸に当て、アメリカという共和国に、「忠誠の誓約」(The Pledge of Allegiance)を唱える。これが日課だ。

I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands : one Nation under God, indivisible, With Liberty and Justice for all.

(私は、わがアメリカ合衆国の国旗、すべての人々に自由と正義が存する、分かつことのできない、神の下での一つの国家である共和国に忠誠を誓う)

この誓いの言葉を、トランプは本当に暗記しているのだろうか? 彼の頭のなかには、アメリカをアメリカたらしめている「自由」「平等」「人権」などはひとかけらもなく、「オレさま」しかないように思えて仕方がない。

作家、ジャーナリスト

1952年横浜生まれ。1976年光文社入社。2002年『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長。2010年からフリーランス。作家、ジャーナリストとして、主に国際政治・経済で、取材・執筆活動をしながら、出版プロデュースも手掛ける。主な著書は『出版大崩壊』『資産フライト』(ともに文春新書)『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)『日本が2度勝っていた大東亜・太平洋戦争』(ヒカルランド)『日本人はなぜ世界での存在感を失っているのか』(ソフトバンク新書)『地方創生の罠』(青春新書)『永久属国論』(さくら舎)『コロナ敗戦後の世界』(MdN新書)。最新刊は『地球温暖化敗戦』(ベストブック )。

山田順の最近の記事