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向井理に見るイケメン俳優結婚の難しさ

山田美保子放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー

3月10日発売の『女性自身』の表紙に「ポスト向井理」という見出しがあるのを見つけ、あぁ、ついにそんなことになってしまったのかと長年、向井くんファンを公言していた私は、複雑な気持ちになった。

この半年ほど、向井くんの人気にやや翳(かげ)りが見えていることで、ついに“ポスト”と呼ばれる俳優の名前が取りざたされるに至ったのかと思ったのだが……、そうではなかった。

記事は、「SEKAI NO OWARI」の紅一点、Saoriさんと、向井くんと同じ事務所でマネジャーも同じだという俳優、池田大(いけだ・だい)くんが、すでに2年も交際しているというもの。池田くんは「セカオワ」がブレイクしたので自身の存在がSaoriさんの足を引っ張らないよう遠慮していたそうだが、いまは彼女の活躍が刺激になり、俳優業にもプラスになっているそうだ。

話を向井くんに戻そう。

先月のバレンタインデーに発表された『第8回 恋人にしたい男性有名人ランキング』(オリコンスタイル)ベスト5は、福山雅治、福士蒼汰、相葉雅紀(嵐)、斎藤工、西島秀俊(斎藤と西島は同率)という順位だった。

福山さんは返り咲きで、福士くん、斎藤くんはジャンプアップ、相葉くんは嵐のメンバーでトップとなり、結婚したのに西島さんは順位を上げた。

そんな中、大きな話題となったのが、西島さんと同じく新婚ホヤホヤの向井くんが圏外になったことだった。

同じ新婚ホヤホヤなのに…

西島さんと向井くんの違いは、結婚した相手が有名人か否か。“プロ彼女”とウワサされながらも、西島さんが出したと言われる「メールに返信がなくてもガマン」とか「映画は独りで行かせろ」をはじめ、恋人に対する厳しすぎる7条件をクリアしたと言われる一般女性には、西島ファンも「敵(かな)わない」と観念したのかもしれない。

やはり、向井くんが圏外になった理由は、結婚相手が、有名人の国仲涼子さんだからなのだろうか……。

しかし、ほぼ同時期に入籍を発表した永井大さんと中越典子さんは“セット”で祝福され、夫婦として好感度は上がっているように見える。共に、公の場で相手の話をするのもOKだ。

が、向井くんと国仲さんは、それぞれの話はもちろん、結婚生活の話もしていないし、一部報道ではまだ同居していないとも言われている。

マスコミ対応に変化?

私は嵐の松本潤くん主演の『バンビ~ノ!』(日本テレビ系)で向井くんを見つけて以来、何度かインタビューや対談をさせてもらっている。初めの頃こそ、彼は饒舌(じょうぜつ)だったし、「今度、飲みに行きましょう!」などとサービストークもしてくれた。

が、朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(NHK)でヒロインの松下奈緒さん以上にブレイクしてからというもの、彼はマスコミでは「しゃべってくれない人」「インタビューしづらい人」というレッテルを貼られてしまうのだ。

ワイドショーのスタッフからは「イケメンというくくりでの特集や、イケメン俳優という修飾がお気に召さないみたい」という声も聞かれた。「『イケメンですよね』と話しかけたら、いきなり不機嫌になってしまった」とリポーターさんがボヤいているのも耳にした。

ご存じのとおり、彼は大学卒業後、大学院に進む選択もあったのに、バーテンダーをしていたという変わった経歴の持ち主だ。初代の女性マネジャーが雑誌のスナップで彼を見つけ、バーに日参してスカウト。後に向井くんは、彼女(初代マネジャー)が別の仕事をしていたら、彼女と共に別の仕事をしていたかもしれない…と、いかにウマが合ったのかを幾度となく話している。

そんな彼女と、向井くんの大学の大先輩でもあり、かつて和田アキ子さんの名物マネジャーでもあった社長と3人4脚で芸能活動をスタート。同年代の俳優よりはるかに遅いスタートを必死で埋めるかのように9クール連続でドラマに出演したり、NHKと民放の掛け持ちをしたりして頑張っていたのである。

ブログでファンと交流していたのに…

そのころ、ファンと彼を結ぶ大きな存在だったのはブログ。専任スタッフに支えられていたとはいえ、画像を含めたブログを頻繁にアップしていた向井くんは、ファンと共に「コメント100突破」「500突破」「ついに1000」…と喜び、どれだけ増えてもコメントには全て目を通すことをブログ上で明かし、ファンを喜ばせていた。

新しい仕事の台本やロケ先の画像、雑誌撮影の衣裳などなど、マスコミは苦手だが、気の置けないスタッフとは和気藹々と仕事を進める向井くんを「彼らしい」と認め、「私たちだけが向井くんを理解している」「そういうところが大好き」と支持するファンはどんどん増えていったのである。

が、2012年1月期の主演ドラマ『ハングリー!』(フジテレビ系)で国仲涼子さんと恋人役を演じた向井くんは『女性セブン』に交際をスクープされる。

そのとき彼は「根も葉もないこと」と全否定。その後も同誌にデート写真を撮られるも、彼は否定したままだったのである。ファンは悶々(もんもん)とした日々を過ごしながらも、「根も葉もないこと」に一縷(いちる)の望みを託していたようにも思う。

果たして、昨年10月、向井くんは件のブログから“卒業”してしまう。しかも、これまでアップした記事やコメントを閲覧すらできないようにしてしまったのである。

向井くんと国仲さんが「結婚へ」とスポーツ紙2紙にスクープされたのは、ブログ閉鎖の翌月のこと。その直後には『週刊女性』の直撃を受け、戸惑いつつも結婚することを認め、「(子供を)授かることができたらうれしいですけどね」ともコメントした。

ファン…、特に無名時代から彼を応援してきたファンには「根も葉もないこと」と言われたきり、唯一、自分たちの声を届けるための術(すべ)だったブログでの交流も失い、「いきなり女性週刊誌の直撃に答えるなんて…」と落胆している人たちが少なくないのだ。

ちなみに、このブログ閉鎖→結婚という流れは、福山雅治さんが『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティーを卒業する際、「すわ、結婚か?」と騒がれる“きっかけ”をも作ることとなった。

一度、じっくり語ってほしい

さて、結婚しても人気が落ちないどころか、新たな女性ファンを獲得するイケメン俳優は少なくない。が、その人たちの多くはキチンと会見を行っている。

向井くんは、ホリプロ系列のホリ・エージェンシー所属。ホリプロのタレントさんは、会見や囲み取材に応じてくれる人が多いと芸能マスコミからはすこぶる評判がいい。そして、向井くんの所属事務所の社長さんは、“芸能界の御意見番”和田アキ子さんの元マネジャー。アッコさんは、「いいときばかりマスコミを呼んで、そうじゃないときはしゃべらないっていうのは違うと思うんだよね」と、おっしゃり、何かにつけて囲みに応じてくれる方でもある。

向井くんがマスコミが苦手なのは分かった。ならば、こういうのはどうだろう。たとえば独身時代、仲良しの既婚俳優と度々出演し、結婚トークを繰り広げていた『ボクらの時代』(フジテレビ系)。あるいは、『ホタルノヒカリ2』(日本テレビ系)で共演し気心が知れている藤木直人がMCをしている『おしゃれイズム』(同)のような番組で、一度、結婚について語ってみるというのは。一度だけでいいのだ。ファンのために、ぜひ……。

放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー

1957年、東京生まれ。初等部から16年間、青山学院に学ぶ。青山学院大学文学部日本文学科卒業後、TBSラジオ954キャスタードライバー、リポーターを経て、放送作家・コラムニストになる。日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」、フジテレビ系「ノンストップ!」などの構成のほか、「女性セブン」「サンデー毎日」「デイリースポーツ」「日経MJ」「sippo」「25ans」などでコラムを連載。「アップ!」(名古屋テレビ)などに、コメンテーターとしてレギュラー出演している。

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