ネット通販が量販店を潰す日

やまもといちろうです。そろそろ株価も天井かなあと思い悩む日々です。

このところ、米国で販売大手が苦戦しているというニュアンスの報道を目にします。まあ、苦戦自体は数年前からでありまして、その改善が見られないことからリストラが始まったという文脈ですね。

家電販売大手ベスト・バイ、本社で約400人の人員削減(ウォールストリートジャーナル 2013/2/27)

米ウォルマート幹部、売り場の欠品状態の悪化を警告―議事録(ブルームバーグ 2013/2/28)

このような状況に陥る理由には様々な要素が複合的に絡んでいるのは当然のことでしょうが、その大きな要因の1つとして、ネット通販の台頭が考えられるようです。

現実店舗の「ショールーム」化のリスクは家電以外のあらゆる量販店に及ぶ―Pacedが詳細レポートを発表(TechCrunch Japan 2013/2/28)

上記の記事では、現在の量販店は商品の現物を確かめるためのショールームと化していて、実際の購買はより価格が安いネット通販に流れている可能性があると分析されています。

このような傾向はなにも米国に限ったことではなく、我が国でも同様で、各量販店はネット通販に対抗するためのリアル店舗施策を色々と打ち出していますが、やはり課題は大きいようです。つーか私も量販店行って実物見ながらスマホ片手に値段チェックしてその場でアマゾンで買う、とかやりますからね。みんなやっとることでしょう。

ヨドバシ社長が語るネット対抗の意外な“限界” ~消費者に何を委ねるか(日経ビジネス 2013/3/1)

「店頭の一番の問題は、値札だよ」。藤沢社長はそう言った。  「価格ということですか?」  「違う、違う。値札そのもの。店舗は一つひとつ、値を書くか、作るかしなきゃいけないだろう。それが電子ならすぐだ。ネットでどれだけ安く売られているかというのは、調べれば本部で把握できる。それ以下の値段で対抗もできる。だけどそれを店に来たお客さんに伝えるためには、全部の店で値札を付け直さなきゃならない」

値札一つをとっても、デジタル上でなら簡単にできることが、リアル店舗ではそうはいかないわけですね。こうなってくると、リアル店舗でもコストをかけるべき対象は、「接客」ではなく「値段表示の迅速な変更」ということになってしまいそうです。以前、某スーパーで値札をすべてデジタルにするという荒業をやってのけようとして見事失敗、数千万の損失を出したという事例があったようで、それだけむつかしいということでありましょう。

日経ビジネスでは、このリアル店舗とネット通販の販売価格競争に関する取材記事を継続して掲載していますが、前回12月での記事では、このような過熱する安売りの応酬は「価格への信頼性」を揺るがすことになり、結果としてメーカーの収益モデルを壊し、最終的には製品開発能力を削いでしまう可能性もあるのではないかと考察しています。

こんなに安く!? アマゾン価格で値切ってみた ~迫る家電収益モデルの限界(日経ビジネス 2012/12/7)

もっとも、価格への信頼性を破壊してきたのは、仕入れで勝りメーカーをアゴで使ってきた量販店のあり方そのものであり、これらが通販に脅かされたからといって価格への信頼性の危機を騒ぐことは自業自得としかいいようがないわけです。大手スーパーや量販店が町の小売店を潰したと揶揄されたこともありましたが、今度はネット通販が大手量販店を潰すという話になるのでしょうか。

しかし、その一方で消費者は、デジタルな情報サービスのメリットを最大限に利用して、安さや手軽さの追求を止めることはありません。まあ、同じ品物を買うのに、例えばヨドバシカメラにロイヤリティがあるので何千円か高く買おうとする消費者がどれだけの割合おるのかいな、という話になるわけですね。ヨドバシですらこうなのですから、コジマやヤマダ電機など単に安いことを売り物にしてきた量販店は商売の根幹の考え方を変えなければならない時期に差し掛かったといえるでしょう。

デジタル分野での集客を考えて、ヤマダ電機が「ヤマダゲーム」などとしてソーシャルゲーム業界に参入したりしてましたが、どうにかして客を呼ばなければならないなかでどういう手でも打っていこうという姿勢になるわけですね。

アマゾン、昨年の日本売上高は7300億円規模に 通販業界トップと判明(産経新聞 2013/2/19)

Amazonの商品が安くなったらメールで教えてくれる無料アプリ「Prices Drop Monitor」に惚れた| MacでもWindowsでも使える(Last Day.jp 2013/2/28)

同時にamazonとヤフオクを検索して価格比較できる『twinSearchay』(ライフハッカー 2013/2/25)

なかなかに業が深い話でもあります。

この大きな流れというのは一般的なコンシューマーの世界よりも先に細分化された市場で先に発生していて、一時期はオタクの街となった秋葉原がオタク商材のコモディティ化によって通販に客を奪われ、聖地なのに先鋭化しすぎて過疎り始めている状況というのもまた興味の対象であります。

極論を言えば、安く、品物が自宅に届いてしまうのであれば、店舗でモノを買う必要はなくなります。趣味でショッピングを楽しむ、服飾や生鮮食料品のようにじかで見たい商品以外は、ネット通販にすべて置き換わる可能性は高いでしょうという話です。当たり前ですけど。

何しろ、人の集まる商業地で高い賃料を払って店を出して店員を配置するだけで、当然そのコストはどれだけ売っても商品代に乗っかってくるわけです。ロードサイド店といっても、一店あたりの出店コストが何億で、その回収が何年で、と計算するためには利幅の取れる商品の扱いにどうやって顧客を誘導していくのかという業者側の事情があるのは分かります。でもそれはお客様には関係のないことですからね。

その商売する側の理屈が「顧客による価格チェックがケータイですることの一般化」によって崩れるというのは必然です。もはや、流通自体がネットに乗っかる時代に入ったんじゃないでしょうか。

正直言って、量販店がネット通販に勝てる要素がないんですよね。

時間をかけて滅んでいってもらうしか方法はないのでしょうか。