ソシャゲバブル崩壊の余波で

山本一郎です。金銭的にはもう働かなくてもいいんでしょうが、生きている感覚が欲しくて毎日頑張って働いております。

やりたいことが、いっぱいあるのです。

で、抱えている事業にコンテンツ開発事業というのがありまして、いまゲーム開発シーンでメジャーになりつつあるUnityをはじめ、コンテンツの制作環境やフレームワーク、プロトタイプ制作などの仕事をお請けしています。完全に制作技術に特化した事業なもんで、独自の企画はほとんどやらないです。

一時期、ブラウザベースのソーシャルゲーム開発が花盛りとなりまして、多くのゲーム会社やネット関連企業が参入をしました。一時期は、せいぜい2,000万程度の予算で月売り上げが1億超えとかざらにあるということで、多くの会社がゴールドラッシュを目指してソーシャルゲーム開発に突撃していったわけですね。

私どもも、子会社や投資先総動員でサーバー周りの仕事や、ブラウザでの表現に特化したフレームワークなどを各社にご提供するなどして、そこそこ恩恵に預かっておったわけですが、去年ぐらいから雲行きが怪しくなり始め、コンテンツ開発費用も高騰して、いまではプロモーション予算込みで2億3億当たり前の時代になってきました。当然、リリースされる「まともなタイトル」数が減少し始め、お金をかけた独自コンテンツか、ワンピースみたいな化け物版権を使ったゲームが跋扈するようになると、目立たない作品は売り上げが上がらなくなりました。

打つ博打の掛け金が上がりましたので、自社で展開する次回作が外れると、その次を作る体力が無くなりかねません。しかも、作品が外れると、人が辞めてしまいます。当たらないと受託に転落する危険と隣り合わせで、しかも当たらないことのほうが多くなってきました。これでは脱落して身売りしたり、受託開発に切り替える会社が出るのも当然です。

そうなると、ソーシャルゲーム開発に一攫千金を夢見た開発会社は、受注の減少や自前タイトルの売り上げ低下がもろに制作能力減退に直結して、身売りを余儀なくされます。身売り先はたいてい大手で、いまごろになって「ソーシャルゲームは儲かるから、これから進出しよう」とか言っている会社ばかりです。当然、うまくいかないわけですよ。

さらに、ブラウザベースで技術を蓄積してきた会社は、そのブラウザでの開発費高騰に耐えられなくなって、ネイティブアプリ界隈に進出するケースが増えてきました。私たちからするとお客さんなんですが、怖いことに結構平気で「うちはObjective-Cはやりません」とか「RubyMotionは採用しません」などと言います。それはお前らが使ったことないだけなんじゃないかと。いつまで殿様商売をやっているつもりなんだ。開発期間4ヶ月で月商5,000万以上とかいう時代はもう二度と来ないって言ってんだろ。ええい、ブラウザしか経験のないイット業界出身のCTOは辞任しろ。いますぐにだ。綺麗なオフィスに金かけやがって。何が上海スタジオ開設だ。韓国子会社だ。単にプラットフォーマーにぶら下がって商品の安定供給の駒にされてるだけだと何故気づかないんだタコどもが。身売りしろ。いますぐ全員mixiに入って一から出直せよ馬鹿が。

すみません、少し興奮してしまいました。上のパラグラフは忘れてください。

そんで、気がつくと売り上げを維持するために必要なコンテンツのポートフォリオが足りないとかで、安易な企画をもってくる。それも、お前大手としてのプライドはないんかと思うような、露骨な他社製品のパクリばかりが企画案に挙がってきて、これで見積もりを作ってくれとかいうわけです。これ、パクリですよね。ゲームもサービスも、全部元ネタがすぐに分かっちゃうような案件ばかりが相談されます。発想力の絶望的な貧困。そこに書いてある日本語は良く分からないけど、参考で流用されている絵柄が全部パズドラだったりするわけなんですよ。パズドラのクローンを作りたいんですか。カードゲームがあたったら、各社みんなでカードゲームを作る人たちが作ってきた業界ですから、独自性なんてまるでないのは仕方ないわけですけど。

そんな奴らが、イノベーションとか言うなよって話です。新しいエンターテイメントを創造するとかどの口で言うんだ。ギャルゲーさえもパクっておいて、他社サービスに比べてKPIがこれこれ優れているとか、他社で請けた村ゲーのソースそのまま持ってって絵師に高いギャラ払って良質絵かき集めて迫力のバトルとか壮大なストーリーなんて、よく平気で言えるよなあ。いい加減、まずいと思うんです。コンテンツって本来、そういうものじゃないでしょ。パチンコ屋さんだって、有り余るお金があってもきちんと企画を仕込んで、将来絵図をきちんと考えて計画的にコンテンツ開発をしています。まあ、問題は別のところにあるんだろうけど、コンテンツを育てるという点では仁義なき版権の奪い合いを経て、業界標準が出来上がってサイクルが見えてきたというのは偉大なことだと思っています。

結局、ブラウザ系カードゲームというでっかい旬は終わり、ソーシャルゲーム全体は伸びなくなったという現実を前に、有効な次の一手が打てなくなったというだけの話ですよ。あんな馬鹿みたいな利益率の仕事が、十年以上も続くはずがないじゃないですか。日本市場は飽和したから次は海外市場を狙っていくぞとか、プラットフォームとして海外と戦える体制を作るとかいって東南アジアに打って出た大手が惨敗して帰ってくるのはちゃんとした理由がそこにあるでしょう。AppleやGoogleの垂直統合モデルに日本のプラットフォーム会社は負けたんですよ。中国や東南アジアに進出したのも、iTunesやGooglePlayが普及し市場が浸透してしまう前に攻めなきゃいけないってことだったようですが、そもそも市場のないところにコンテンツだけもってP/F事業を展開したって利益が出るはずがないじゃないですか。お前らの収益の根源はそこにはないって気づいてなかったんでしょうか、ただの日本人見込み客の名簿屋だっていう自覚がないんです。それが、ネイティブでパズドラのヒットと、コミュニケーションツールでLINEの圧倒的勝利があると、相対的に地盤沈下するところは分かりますよね。いまになって、広げすぎた手をしまおうというのは分かりますが、それは最初から理解していたことでしょう。だから、彼らがブラウザに回帰するというのは分かります。ただし、ボリュームが増え、開発単価は下がるという中で、革新的なブラウザベースのコンテンツがどこまで作れるのかというと、それはもう以下略であります。

真の意味で、継続的に高い利益率を維持したいとコンテンツ業界で考えるのであれば、ソーシャルゲーム業界が全社挙げてあれだけ馬鹿にした任天堂以外、手本になる会社はないんじゃないでしょうか。それは、ユーザーに喜ばれる、ちゃんとしたコンテンツ作りに向き合うという意味です。パクリじゃ続かないってことですよ。先人の遺産はいずれ食い尽くされるんです。実際、食い尽くしたから、ゲーム性やノウハウのところで、いまや開発会社同士が食い合ってる状況でしょう。蟲毒か何かですか、これは。

現状で、製作現場で起きていることは、発注単価の下落です。これはもうね、しょうがないと思います。エロソーシャルをブラウザで手がけて糊口を凌いで上場を諦める会社も出ているようです。どことは書きませんが、あれだけゲーム業界の古い体質を打破したいと言ってた人たちなんですけどね。

要するに、ゲームを作ってプレイヤーに楽しんでもらいたいという気持ちのない人が、儲かるってんで業界に参入して、わずかな期間あぶく銭を取れて良かったね、って話にしかなってなくて残念です。もう次いこ次、ってことでいいんじゃないですか。