Appleがリワード広告(ブースト)取り締まりに本腰を入れたらしい件

山本一郎です。長い時間飛行機に乗っても退屈しないだけの思い出し笑いができる記憶力が強みです。飛んでいる間中、「フフフ」と笑っております。

ところで、スマホアプリ商売界隈で近年大きな話題となっているものの一つがリワード広告です。ご存じの方には今さら説明するまでもありませんが、「リワード広告」という単語を聞かされてもそれ何?という方は少なくないかもしれません。

リワード広告(マネー用語辞典)

インターネットのアフィリエイト広告のひとつで、広告を通じて商品を購入したり、会員登録をしたりといったアクションを起こした閲覧者に広告収入の一部が還元される広告のこと。

出典:マネー用語辞典

これだけじゃ分かりにくいですね。具体的な例としては、たとえばゲーム内でアイテムを手に入れるためにはコインを集める必要があるとします。なかなかコインを集めるのが大変なんですが、そのゲーム内で広告表示されている他のアプリをダウンロードしたりビデオを見たりすると、その見返りとしてコインをもらえるという事例なら多くの人が体験したことがあるのではないでしょうか。このような広告に従って何か行動すると見返り(リワード)があるものがリワード広告です。

このリワード広告を上手に利用することで、瞬間的にアプリのダウンロード数を稼いだ結果、アプリストア内ランキングで順位を上げ、さらに上昇したストア内ランキングを見た他のユーザーがまたアプリをダウンロードしてくれるといった正の循環作用が起きることを狙う手法を「ブースト」などと呼びます。こうした効果を狙った広告はそのままブースト広告とも称しています。

ブースト広告は、ポイントアプリを使うユーザーにキャッシュバックをすることでアプリを短期間のうちに多数ダウンロードさせることでApp Storeなどのランキング上位に上げることで露出を増やし、ランキングを見たユーザーにダウンロードしてもらうことを目的としています。 この方法だと、通常のリワード広告のように獲得したユーザーに対しての費用しかかからないにも関わらず、ランキングという外部の機能を利用して集客をすることができます。そのため、他方法に比べると圧倒的に費用対効果がいいのです。

出典:リワード広告.com

ブースト広告は、個人ホームページが流行った時代に「相互リンク」をたくさん貼ることによってアクセス数を増やそうとした行為に似てなくもありません。私もそういう微妙な技術で頑張っていたSEO会社に投資していた時期もありまして、一時期は検索エンジンのアルゴリズムが未熟な時代には相互リンクがたくさんあるだけで価値の高いサイトと評価されることもありました。しかし、もはやそういう手法は検索エンジン側で無視されるようになり、ほとんど意味のない旧弊となりつつあります。

で、どうやらリワード広告/ブースト広告もまた相互リンクと同じように意味のない不毛な過去の遺物として廃れる運命がやって来たようです。少なくともAppleは廃れることを願っており、リワード広告業者らによるApp Storeランキング操作をやめさせようと声をあげた模様です。

Apple、アプリDLを推奨する目的でゲーム内アイテムの提供を禁止する規約を厳密に運用し始める。広告を使用する多くのアプリに影響する模様(訂正あり)(ゲームキャスト 2014/6/10)

Appleのアプリ内広告などに関する規約厳格化の続報。すでにリワード付き広告のリジェクトを実施中。(ゲームキャスト 2014/6/10)

Apple は広告に関する規約を厳密に運用し始めたようだ。 以前から「アプリダウンロードを促進するために、ゲーム内アイテムの提供を行う行為の禁止」という規則があったが、これを理由にリジェクトされたアプリが出現し、話題を集めている。

出典:ゲームキャスト

事の経緯は上記のブログ記事2つを読むとだいだい分かりますが、今のところAppleが公式に何か新たな発表をしたというわけではなく、リワード広告にまつわる規制を厳格に運用しだしたと解釈できます。本来が禁止されていた行為ですし、これまである程度お目こぼし状態であったところが、アドテク業者によるブースト広告最適化のあまりの横行ぶりにAppleも堪忍袋の緒が切れたという感じなのかもしれません。

ちょっと面白いのは、以下の記事などを読むとAppleのApp StoreはGoogle Playに比べてリワード広告を使ってのランキング操作で効果を出しやすい環境であったとも読み取れます。つまりそれだけリワード広告によるランキング操作が横行していたということなのでしょう。

Google Playのリワード広告をするときはお金と覚悟が必要!(D2Cスマイル 2013/12/12)

単純にエンドユーザーとしてはリワード広告ウザイという感じでありましたし、アプリストアのランキングがより実態に即したものになるのであれば、今回のAppleの対応は歓迎したいところです。一方で、アプリ開発者にとっては効果的なマネタイズはどうすれば良いかということでまた色々と頭を悩まさなければならない状況がやってきたというお話でもありますね。リワード広告という手法は決して筋の良いものではなかったのでここはきれいさっぱり忘れて、純粋にアプリとして面白いから金になるという方向を目指して頑張っていただきたいと思う次第です。

まあ、そういう広告手法の有利な方法をつまんで稼いでいただけなのに、これからはアジア市場だ、と息巻いていた経営者もいないわけではありませんが、そういう目ざとさも経営者には必要なことなのだろう、と好意的に解釈してこの項は終わりたいと思います。