どういうときに「やらされ感」を覚えるか？

最近「やらされ感」という言葉をよく耳にします。

上司から仕事を頼まれたとき、その仕事に対する気持ちが後ろ向きだからでしょうか。

「やらされ感たっぷり」

「やってあたり前みたいな態度がイヤ」

このような愚痴をこぼす人が増加しています。

さて「やらされ感」とは何か？　を考える前に、私自身がどういうときに「やらされ感」を覚えるか、まず考えてみました。

私は週末、妻に代わってよく料理をします。自分から進んでやっているにもかかわらず、慣れないせいか、片づけをしながら料理をすることがイマイチできません。

そういう私のやり方を見るに見かねて、妻が「どうせやるなら使った調理具を洗いながらやって」「せっかくやってくれるなら、台所をキレイに使ったほうが気持ちよくない？」などと言ってきます。しかし、気遣いもなく強い口調で言われると、

「俺が料理やってあたり前みたいな態度で言われると気分が悪くなる」とついつい私も言い返してしまいます。

善意でやっているのだから相手から感謝されて当たり前。「仕事で疲れているのに週末に料理までしてくれてありがとう」の一言ぐらいあっていいだろう、などと考えてしまうのです。

自ら買って出たことなのに、相手に感謝を求める私の態度もどうかしていますが、私が「やらされ感」を覚えるのはだいたいこういうときだということがわかりました。

つまり、もともと自分自身が「やる必要のないこと」を「やって当たり前だ」という態度で強制されたときに「やらされ感」を覚えてしまう、ということです。

まとめると、「やらされ感」を覚えるのは、

● 自分にとって「やる必要がないこと」にもかかわらず、

● 依頼者が強い態度でオーダーしてくるとき

です。

「やらされ感」を感じさせる風潮が……

昨今、上司が部下を動かすのに、相手を承認しなければならない。「褒めて、認めて、称えて」動かさなければならない、と過剰に思い込んでいる人が増えています。

その風潮が、部下側にも伝わるのでしょう。

「仕事をするのに褒められて当たり前」「自分を尊重してくれるのが普通」だと受け止めている人も多いように見受けられます。

そういった雰囲気が、「やらされ感」を覚えなくてもいい人にまで「やらされ感」を覚えさせている気がします。

本来やるべき仕事なのに、それを十分にせず、上司から指摘されると言い訳をしたり、「やらされ感」を覚えてしまうのは正しい姿とは言えないでしょう。

以前、「謙虚さとは何か？」という記事を書きました。

現時点で自分が「やってあたり前」のことが正しくできているのか？　もし現状できていないのであれば、そのギャップを正しく認識して受け止めるべきです。

「やらされ感」を覚えたとき、まず「やらされ感」を感じてしまう自分自身が、そのような感覚を覚えていて本当に正しいのか？　謙虚さに欠けているのではないかと自問自答してみることもいいかもしれません。

「やらされ感」から脱出するために、まずそこから考えてみることをお勧めします。