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「口うるさい上司」と、どう付き合うか。 その対処方法とは?

横山信弘経営コラムニスト
「口うるさい上司」が問題なのか、それとも……

「口うるさい上司」を黙らせ、撃退する?

どこの会社にも「口うるさい上司」はいるものです。「あれはやったのか?」「これはやったのか?」「すぐやりたまえ」「いい加減、それぐらいできないのか?」……粗雑な言い方で接し、部下に強いストレスを与える上司たちのことです。

このような「口うるさい上司」とどのように付き合っていくとよいのか? ネット上で調べていくと、「こう言い返して黙らせる」「このようなメールを打って撃退する」など、物騒な言葉が並びます。

仕事ができる人とできない人、それぞれいろいろな特徴があります。とはいえ、やはり「計画的」「場当たり的」かという要素は大きいと言えます。物事が発生してから対処しようとするのは疲れますし、そもそもスキルが必要です。「口うるさい上司に、こう言われたらこう言い返せ」とアドバイスされて、本当にできる人は多くありません。そんな応酬話法ができるほどスキルがあるなら、おそらくそのような上司に口うるさくされないのではないか、とも思います。

「口うるさい上司」が問題なのか?

そもそも「口うるさい上司」は、すべての部下に口うるさいのではありません。特定の部下に限られています。つまり、上司に口うるさく対応されないよう計画的に仕事をすればよい、ということです。普段からキチンと計画的に仕事をしていれば、あれやこれやとうるさく指摘はされないでしょう。正しい関係ができていれば、たまにサボっていたり、手を抜いたとしても、それほど口うるさく言われないものです。

反対に、普段からやるべきことをすぐにやらなかったり、愚痴をこぼしながら不満そうに仕事をしたりしていると、ガミガミ言われることになります。そういう人がたまにキチンと仕事をしても、「また遅れないように早めに準備しておけよ」とか「どうせ適当にやってるんだろう」などと嫌味っぽいことを言われるはめとなり、気分が悪くなってやり返したいという気持ちが芽生えるのです。

「口うるさい上司」とうまく付き合う方法は、日ごろから上司の言うとおりに仕事をすることです。これが基本ベース。いったんレッテルを貼られると、簡単にその「レッテル」を剥がすことはできません。ですから、それなりの時間をかけてラポール(信頼関係)を構築しておいてから、自分の言いたいことを言えるようにしていきましょう。

「面倒くさがりや」の人を動かす究極の方法にも書いたとおり、「口うるさい上司」「面倒くさい上司」がいるから、部下も面倒なことをやろうとするものです。そして最初は面倒でも、それを続ければいずれ習慣化していくわけですから、その人の成長の手助けにもなります。

何事も新しいことをスタートさせるためには、ストレスがかかるもの。部下はそのストレスから逃げたくなるものですが、「口うるさい上司」がいるおかげで渋々やるのです。結果的に、それでいいのです。私たちコンサルタントは、クライアント企業に「口うるさい上司」がいるかどうかで、支援の成果が異なる、とまで考えています。

本当に問題の上司は?

私は現場に入って直接支援をするコンサルタントです。実際に現場でコンサルティングをしていると、よくわかるのですが、一番困るのは「口うるさくない上司」です。ストレス耐性が低いのか、部下と対峙することを避けます。書籍などでにわか仕込みの「コーチング」をしよう、などと考え、泥沼にはまっていく人です。「口うるさくない上司」は、

「あまり口うるさいことを言うと、今の若い人は萎縮しますから」

などとよく言います。しかし萎縮しているのはこの上司本人です。私がその人の部下と直接話をし、「こういうことをキッチリやっていきませんか? そのほうがあなたも、そして周りも気持ちよく仕事ができますよ」とアドバイスをすると、ほとんどの人は「確かにそうですね。わかりました」と言ってくれます。多少の言い訳をする人もいるでしょうが、粘り強く対話を重ねれば、よほどのことがない限り大丈夫です。私のトーク技術に特徴があるとか、私の人間性が優れているとか、そんなことは一切ありません。普通に面と向かって話すだけです。誰でもできることを、この「口うるさくない上司」はやらないのです。

今後、問題になってくるのが、このような「口うるさくない」草食系の上司です。自分の中に答えを持っておらず、やたらと部下に質問を繰り返したりします。やるべきこともやらない部下に「どうすればうまくできるんだろうね?」「そもそも君はどうしたいんだい?」と聞いてきます。

「コーチング」がビジネスの現場で機能しづらい2つの理由で書いたとおり、答えを持っていない部下にはコーチングではなく、ティーチングをするべきです。やるべきことをやっていない部下や、新しい仕事をできれば避けようとしている部下とはキチンと向き合い、「ちゃんとやろう」と言うべきなのです。

「まずは君がどうしたいか、だよね」

などと、その場しのぎのフレーズを言うのはやめましょう。部下を混乱させるだけです。当たり前のことを当たり前にやったり、新しいことをチャレンジしようとするときのために、組織には一人や二人「口うるさい上司」が必要なのです。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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