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口下手をマジメに克服・直す方法 「基本的なコミュニケーション」について考える

横山信弘経営コラムニスト
ネットでの会話だと誰とでもフレンドリーに話せるのに……

口下手を克服・直すためには、本当の問題に気付くべき

コミュニケーション能力をアップさせるため、書籍を購入したり、セミナーに参加したりして勉強している人は大勢います。人間関係の改善に期待できるからでしょう。私は「営業コンサルタント」ですから、コミュニケーションの重要性はよく理解できます。お客様とのコミュニケーションのみならず、社内における上司や部下とのコミュニケーションの仕方によって営業成績が左右されるからです。それほど「コミュニケーション能力」は重要なものです。

しかし多くの人が勘違いしていることもまた気になるところです。私がコミュニケーション研修を実施すると、受講者の多くが、「口下手」なのを克服したい。話し方、トーク技術を変えたいと望んでいるからです。

特に「口下手」を直したいという人が意外に多い。その克服方法として、

「失敗してはいけない、と思えば思うほど緊張するものです。友だちや家族と話すように、リラックスして話せばいいのです」

「口下手だと思われてもいいじゃないですか。上手に話そうとせず、ありのままの自分を相手に見せましょう」

……などとアドバイスする人がいるせいもあるでしょう。このような助言を聞いて「そうか! そうですよね!」「もっと落ち着いて話せばいいんだ! ありがとう!」などと手放しで喜ぶ能天気な人などいません。そんな能天気な人であれば、そもそも「口下手」で悩まないものです。口下手で悩んでいる人たちは、本当に口下手を直したいのです。「そのままでいいんだ」と言われても、納得できないものです。

ただ、口下手の人が「話し方」や「トーク術」を知ることで口下手を克服できるわけではありません。問題の対象を間違えているため、その視点を変え(リフレーミング)ない限り、根本的な解決はしません。手順を変えれば「口下手」は克服できます。

重要な「非言語コミュニケーション」

コミュニケーション手段を大きく分けて、「面談」「電話」「メール」と3つに分けたとしましょう。「面談」のときは顔を見て話をするため、「非言語化」されたデータまでも私たちは入手します。それには相手の「目つき」「表情の変化」「息遣い」「態度」「手や体の動かし方」すべてが含まれます。意識していなくても、それら非言語データをすべて感知したうえで、私たちはレスポンスしようとしているのです。ですから誰かと面と向かって話をする際が、一番「口下手」である自分を意識することとなります。「電話」の場合も、多少なりとも「非言語データ」が耳に届きます。相手の「声色」だったり「ため息」だったり「会話と会話の間」であったりです。たとえ知らない相手でも、それらの「非言語データ」を感知して緊張したり、言いたいことも言えなかったりすることがあります。

しかし「メール」ではどうでしょうか? 知らない相手とネット上で「チャット」のやり取りをする場合はどうでしょう? 自分が「口下手」であることを忘れ、雄弁に語ったり、理路整然と自己主張することができたりします。なぜか? それは相手から「非言語データ」をほとんど受け取らないからです。

つまり「口下手」な人がフォーカスしなければならないのは、自分の話し方や、トーク技術ではなく、非言語化された情報に自分がどう反応しているか、ということなのです。

「話し方」「トーク技術」よりも大切なこと

ところで、コミュニケーションは大きく2種類に分かれることをご存知でしょうか? 「バーバル(言語的)コミュニケーション」と「ノンバーバル(非言語的)コミュニケーション」の2つです。テレビキャスターやイベントの司会業をしているのならともかく、職場や友人との人間関係、営業、恋愛などに役立てたいと考えるのであれば、言語化できるコミュニケーション能力よりも、非言語コミュニケーションのほうが圧倒的に重要です。

非言語コミュニケーションは「表情」「態度」「相槌」など、いろいろとありますが、私が強く意識して欲しいのが「行動」です。「行動」もひとつのコミュニケーション手段だということを忘れてはいけません。

口下手の人というのは、世の中すべての人に対して「口下手」というわけではないでしょう。ある特定の人に限られるはずです。苦手な上司だったり、恋心を抱く異性に対してだったり、初対面の人だったり。そこに、ある特定の法則があることを見抜くべきです。

すべてにおいて共通しているのは、おそらく「自信」です。自分に「自信」がないから、口下手になってしまうことが多いのです。この問題を解消させるために前述した「行動」を変えることを強くお勧めします。

誰かと面と向かって話すときに「口下手」になってしまうことを「点」でとらえてはいけません。その人と話すまでの過去・歴史を変えるのです。行動の積み重ねによる「成果」が、間違いなく自信をつけさせてくれます。

こうすれば「口下手」は本当に克服できる!

口下手を直すことよりも、自分がいまやらなければならないことをやる。先送りせずにキッチリやる。仕事の成果を出す。学業で期待通りの結果を上げる。……それらのことのほうが、口下手を克服するより実は簡単なのです。

ですから、成果を出している人は、それほどトーク技術があるわけでもないのに、口下手だとは言いません。話すネタが豊富にあるわけでもないのに、気にすることなく誰ともでも談笑できたりします。自分に自信があるからです。

自分のことを口下手だと考えている人は、そのままでは直りません。行動を積み重ねていくことで何らかの成果を手に入れましょう。「あの人は行動力がある」「何をやらせても速い」と周囲の人から思われることも大事です。そうすることで、ご自身の「表情」や「姿勢」に自信という名の非言語データが刻まれていきます。話している相手は、あなたのその非言語データを感知して、あなたに対して懐疑的な眼差しを向けたり、過小評価するような態度をとったりはしなくなるものです。こうして口下手は克服していくのです。

口下手は、技術を知らないからではなく、精神的な問題が深く絡んでいるからです。決して「成果も出してもいないのに口下手ではない人」を参考にしてはいけません。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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