火がついた怒りやイライラを一瞬だけ抑える「衝動コントロール」の方法
怒りやイライラの衝動をコントロールする方法
これまで、怒りやイライラの感情をコントロールする方法をいくつか紹介してきました。
とはいえ、「感情のコントロールができない人の特徴と対策」、「怒りやイライラをすぐに解消する「マトリックス図」の使い方」などは、中長期的に怒りやイライラを抑える考え方や方法でした。衝動的に沸騰した感情のコントロールには向いていません。そこで今回は、瞬間湯沸かし器のように火がついた怒りの感情をコントロールする方法を解説します。「グラウンディング」という技術です。
アンガーマネジメント「グラウンディング」
怒りやイライラの感情をコントロールする「アンガーマネジメント」では、「グラウンディング」という技術を紹介しています。「グラウンディング」とは、意識をある物事・事象にフォーカスさせ、怒りの感情を強制的に他へ向けることです。我を忘れそうな怒りを覚えたとき、とっさに身の回りにあるものに目を向け、細かいディテールに意識を焦点化させましょう。以下のような具体例があります。
● 携帯電話やスマホの傷を数える
● ボールペンの名称を一字一句黙読する
● 手のひらの皺の数や長さなどを観察する
……などなど。グラウンディングの目的は、怒ったとき、イラッとしたときに、衝動的な言動をしないよう、冷静さを取り戻すまで時間稼ぎをすることです。そして時間が経過したうえで、先述した「マトリックス図」などを頭に描いて論理的に怒りのコントロールをするのです。
怒りやイライラの感情を論理的にコントロールしようとしても、火がついて衝動的になっているときは、論理思考が正常に機能しないこともあります。自暴自棄になったりする前に、とにかく冷静になること。衝動を抑えることをお勧めします。
私の場合、カッとなったら、まず「グラウンディング」をしてから冷静さを取り戻す試みをします。そして少しでも火が沈静化したら、無言でその場を離れ、周辺を歩き回ったり、トイレへ行ったりして距離を置きます。時間や空間に「間」が入ることで、衝動的にこみ上げた感情を分解し、いま自分がどういう言動をすべきか論理的に判断することができます。
誰にでもある失敗体験。もう二度と繰り返さないために……
ちょっとした出来事で、怒りに火がつくことがあります。しかし衝動的にやってしまったこと、言ってしまったことで失敗した経験は誰にもあるでしょう。「グラウンディング」ですべてを解決できるわけではありません。しかし強引に「間」を作ることで、自分の感情を客観視できるチャンスが与えられます。腹が立ったときは、身近なものに視線を向け、細かい文字や傷、デザインなどに意識をフォーカスする「グラウンディング」を試してみてください。