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何もかもうまくいかない時に気を付けたい「ショートカット思考」

横山信弘経営コラムニスト
何もかもうまくいかない。どうして私だけ……

何もかもうまくいかない時は「数字」で客観視する

「何もかもうまくいかない時」「ドツボにはまっている時」は、自分自身を客観的に見つめることができないときです。自分を客観視できないと、泥沼にはまっていきますので、定量的に物事をとらえるように工夫しましょう。物事を分解して整理することで、道は開けてくるものです。

「何もかもうまくいかない」「何をやってもうまくいかない」

ということは、何か能動的に行動した結果、期待した通りのリターンがなかった、ということです。

「最近、運がない」「ついていない」

とは別の意味です。「運がない」「ついていない」ということは、偶発的な体験、受動的の体験も含まれるからです。

ですから、最近「何もかもうまくいかない」と思ったら、期間を限定して、自分がどんな能動的な行動をどれぐらいとり、「期待通りになったこと」「期待通りにならなかったこと」を定量的にとらえます。

たとえば、

「今年の1月から2ヵ月間、上司に対して7回、職場における改善提案を出した。そのうち1回は受け入れられたが、6回は却下された」

「家族のことも同じ。1月に入ってから13回、子どもに宿題のやり方を説明したが、一度もその通りにしてくれず、遊んでばかり」

「そのことを夫に相談している。1月から6回、職場のことも育児のことも相談してはみるものの、1回は真剣に耳を傾けてくれたが、5回はまるで相手にしてくれなかった」

「友達3人に2回ずつ、職場や家庭の悩みを打ち明けたが、Aという友人が1回、まともに話を聞いてくれただけで、後の5回は『人生そんなもの』と言われてしまった」

「昔お世話になった中学校の先生と3月に会い、1度、自分の悩みを打ち明けてみたが、虫の居所が良くなかったのか、先生から『甘えていないで、そんなこと自分で考えなさい』と怒られてしまった」

……ということであるなら「何もかもうまくいかない」と言えるでしょう。まとめると、

● 能動的な行動の結果が、期待通りではなかった数が、期待通りだった数よりも圧倒的に多い。

● 1方向のみならず、ほぼ全方向で「期待に満たない結果」が同時偶発的に起こっている。

の2つだと思います。家庭、職場、趣味の場など、自分の周りのほぼすべてのことにおいて、能動的な行動が裏目に出ていると、「何もかもうまくいかない」と言えるでしょう。

本当に、何もかもうまくいってないのか?

しかし、本当にそうなのでしょうか? 多くの場合、分解してみると、以下の3つの勘違いがあると私は思います。

(1)全方位ではない(実は職場だけ、家庭だけ等)

(2)能動的な行動のみならず、偶発的な行動も含めている

(3)実は期待通りの結果も少なくはない

特に(2)と(3)です。(2)は、結局のところ、自分自身で能動的に事態を打開しようと積極的に行動していないのに「うまくいかない」と愚痴をこぼしているということです。1度や2度、能動的に何かを働きかけてもうまくいくかどうかはわかりません。ある程度の回数、いろいろな人に相談しながら問題を解決しようと試行錯誤を繰り返したにもかかわらず、期待通りにいかないことばかりなら「何もかもうまくいかない」といった感想になるでしょう。しかし、そこまでトライしていないのなら、もう少し自分を客観視したほうがいいと思います。

(3)は、記憶の引き出しの問題です。「10回、何かをチャレンジして、4回は期待通りだったが、6回期待通りではなかった」というのであれば、「何もかもうまくいかない」という意味にはなりません。「10回のうち、4回成功して6回失敗だった」という事実があるだけです。

「ショートカット思考」の罠

「何をやってもうまくいかない」と愚痴をこぼす人のほとんどは「ショートカット思考」に陥っています。「ショートカット思考」とは、ごく少ないチャレンジで成功したい。うまくいかせたい、という思考です。「試行錯誤」を重ねることを避け、最短距離でゴールを狙いたいという発想です。

高度情報化時代となり、「効率化」「合理化」の精神が広まりました。「失敗の数をいかにして減らすか」ばかりにフォーカスした考えが浸透しすぎたきらいがあります。1回や2回、何かをしても、すぐにうまくいくものではないと捉えましょう。

「成功は消去法でしか導かれない」

私の好きな言葉です。うまくいったこと、うまくいかなかったこと、両方を自ら体験します。「試行錯誤」を繰り返した結果、うまくいかなかったことのみを、自分の手で消去していく。その歴史があればあるほど「ショートカット」できるようになります。その歴史、過去がないのに、いきなり「ショートカット」しようと考えないほうがいいですよね。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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