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目標達成させたい人が、絶対に最初から考えてはいけないこと

横山信弘経営コラムニスト

人生の大きな夢、企業の目標予算、資格受験の合格……どんなことでもいいですが、目標を何としても達成させたい、絶対に試験に合格したい、実現させたい願望がある人に、ぜひとも知ってもらいたいことがあります。それは、最初から「効率」を考えないことです。

夢や目標、願望を実現したい、という強い思いがあるのに、できる限り労力をかけたくない。お金もかけたくない。最短距離で実現させたい、と考える人がいます。そういう人が、次のような射幸心を煽るキャッチフレーズに騙されるのです。

「毎日10分、好きなことをやっているだけで年収1億円!」

「普通のOLだった私が、2週間後には200万円を手に入れるまでに! その秘訣とは?」

「スマホだけで同時に3つの国家資格を手に入れた成功物語とは?」

目標達成プロセスを、はじめからショートカットしようとするのはナンセンスです。特に、いまだ一度も達成していない目標であれば、なおさらです。

ところが現実には、それほど苦労もせず、短時間で素晴らしい成果を出す人がいます。大きく2種類に分けられるでしょう。

● 偶然、成功した人

● 試行錯誤を繰り返しながら「自分資産」を蓄えた人

当然のことながら、参考にすべきは後者です。100人とじゃんけんをして、勝ち残る人がいます。なぜ勝ち残ったのか? もちろん偶然です。たまたまじゃんけんに勝っただけなのに、実力だと勘違いする人がいます。偶然、短期間で結果を出した人が、「これだけやれば成功する!」という本を書いたり、セミナーを開催したりします。もちろん「再現性」がないため、どんなに真似をしてもうまくいきません。

高い目標を決めて、何度も挫折を味わいながら達成してきた人。いろいろな事業に手を出して、それなりの成功を掴んだ人と比べ「土台」が違います。その人が持っている「自分資産」は目に見えないものですが、この「資産」がない限り、効率的に結果を出すことなどできないと覚えておきましょう。

「自分資産」にはいろいろな種類のものがあります。人脈や知識、コミュニケーション能力、環境分析力……など。ビジネスであろうが、資格試験だろうが、就活だろうが、私が最も重要だと考えているのは「概算力」です。能動的なアプローチの量と期待リターンの量との組み合わせによってできた仮説を「概算力」と名付けています。仮説の有効性を測る「物差し」を持つ、ということです。(参照コラム:ビジネスで成功するために必要なスキル「概算力」

ビジネスのみならず、資格試験対策でも、何時間の勉強をすればどれぐらいの結果が出るかを推し量るのに、他人の「物差し」など役に立ちません。ダイエットでもそうです。英会話でも同じです。他人よりも不器用だろうが、要領が悪かろうが、話下手であろうが関係がありません。重要なことは、自分が何をどれぐらいすれば、どのくらいのリターンが戻ってくるか。そのコンバージョン率が「概算」できるか、ということだけなのです。そのコンバージョン率さえわかれば、そこから逆算して行動するのみです。

自分が「急行電車」なのか「新幹線」なのか「飛行機」なのかを、ざっくりと知ることです。これが「概算力」です。ある場所に、ある時刻までに到着したいと考えたとき、他人が「飛行機」で自分が「急行電車」だとわかっていたら、その分、はやく出発するだけです。「自分も飛行機だろう」と勘違いしてはいけませんし、「自分はなぜ飛行機じゃないんだ」と嘆いてもしょうがありません。はやく出発するだけで、同じような成果は手に入るのです。

自分が「飛行機」なのか、「新幹線」なのか、それとも「急行電車」なのか、というコンバージョン率を知るためには、それ相応の時間が必要です。「PDCAサイクル」をまわしながら、コンバージョン率の平均値を掴んでいきます。そして概して言えることは、繰り返すことによって自然とそのコンバージョン率はアップしていく、ということです。最初が「急行電車」でも、いずれ「新幹線」や「飛行機」になり得るのです。

英語を体得するのに、たとえ人より時間がかかったとしても、次に中国語、フランス語、スペイン語……と、他の語学を習得しようとするときに、同じような時間を費やすことはないでしょう。何をどれぐらい訓練すれば、どの程度までスキルアップするかという「概算力」を知っているからです。スポーツをマスターするときも、ビジネスで成功するときもそうです。最初は苦労しても、だんだんとスピーディに願望が実現していきます。

「お金の出ていくスピードは、そのお金を稼ぐために使った時間、労力に比例する」という「ガイアの法則」があります。お金を稼ぐのに苦労した人は、稼いだお金を大切に使おうと思うもの。ですからそう簡単にお金は減っていきません。反対に、ギャンブルや宝くじで手にしたお金はついつい散財してしまい、後に残らないものです。ビジネスで成功したいと考え、思いがけずすぐに成功を勝ち取ったら、そのビジネスを大切にしたいと思うでしょうか。「ガイアの法則」と同じです。苦労して苦労して、人に迷惑をかけながらも成功したからこそ、そのビジネスを好きになるし、ずっと続けていきたい、お客様を大切にしたいと考えるのではないでしょうか。すぐに体重を減らすと、リバウンドしやすいのと同じです。

自分の好きなことをやれば成功する。自分の楽しいと思うことをやりさえすれば結果が出る、という人がいます。しかし逆なのです。そういう人たちは、願望を実現させようと苦労している途中でその物事をいつの間にか好きになってしまったのです。渋々やり始めたことであっても、試行錯誤を繰り返すうちに楽しくなったのです。そのプロセスを忘れてしまったのでしょう。だから「好きなことをやれば成功する!」などと言ってしまうのです。

はじめから最短距離で成功したい等とは思わず、多少遠回りしたほうが「概算力」という大切な「自分資産」が増え、成功状態が持続するはずだ、と考えましょう。そのほうが楽しくなりますし、長きにわたって幸せを享受できると私は思います。

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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