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第一印象が悪い人は、「第三印象」をよくしよう!

横山信弘経営コラムニスト

私は営業コンサルタントです。営業は「第一印象」がとても大切ですから、身だしなみや表情、姿勢、明瞭でわかりやすい話し方等、「第一印象」を良くするために心がけることはたくさんあります。新刊「空気で人を動かす」に書いたとおり、その人が放つ空気感によって相手を効果的に動かすことができるようになるからです。

とはいえ「第一印象」を良くしたい、と思いながらも、なかなかできない人がいます。一番わかりやすいのが「笑顔」。コミュニケーションの研修をしているとき、何度も何度も「笑顔を意識して話してください」「演技でいいですから、笑顔をしながら話しましょう」と言っても、そう簡単にはいきません。表情や姿勢、態度は「習慣」の集積です。習慣は、過去の体験の「インパクト×回数」でできていますから、意識する「回数」がとても重要です。自然と「笑顔」ができるようになる「インパクトのある体験」など存在しないからです。

身だしなみや声の出し方も「習慣」です。日ごろから強く意識していないと、身につかないものですね。「場数」が重要です。

パッと見の「第一印象」に比べ、「第二印象」とは、少しの時間、触れあってから抱く相手の印象のことです。たまに接触するときに抱く印象も含まれます。就活のときなどの「面接」では重要視される項目です。

「パッと見はいいんだけど、話しはじめたら全然ダメだった」

「笑顔は素敵だし、ファッションセンスもよく好感をもったけれど、すぐに自己中心的な人だとわかった」

「最初は暗い感じの印象を受けたけれど、コミュニケーションをとってみると、冷静で、かつ論理的な受け答えができる。判断能力に優れている印象を受けた」

つまり「第二印象」とは、

「最初は~だという印象を持ったけれど、すぐに別の印象を感じた」

というものです。前述したとおり、人の思考プログラム(習慣)は「インパクト×回数」でできています。インパクトは「ギャップ」によっても創出されるものです。「見た感じより、すごくいい感じの人」「挨拶するまでは良かったけど、挨拶だけだった」等……。良くも悪くも「第二印象」とは「第一印象」とのギャップによって創り上げられるものですから、印象として強く残ります。「素」の部分が垣間見えるからでしょう。プレゼンや接客なら「第一印象」のみでも、かなり好感度をアップできますが、「面接」や「合コン」等では、「第二印象」を最重視したいですね。

しかし「第二印象」を良くしようにも、それも苦手、という人もいるでしょう。自分は誠心誠意アピールしているのだけれど、なぜか伝わらない。なぜか誤解される。「覇気がなさそう」「積極的に見えない」等、本当はそうでもないのに、そのように思われてしまい損をしている。どうしても好感度を上げられない。こういう人もいるでしょう。

しかし接客業や、製品のデモンストレーションを担うような仕事をされるならともかく、そうでなければ、それほど悩む必要はありません。私は現場に入って、企業の目標を「絶対達成」させるコンサルタントです。現在も、多くの企業に入り込んでいますから、一般企業の「できる人」「できない人」を日常的にたくさん見ています。はっきり言って、所詮「第一印象」「第二印象」などは「点」の情報。「第一印象」「第二印象」が良くても悪くても、「できる人」はできるし、「できない人」はできない。これは断言できます。

見た目も喋り方もイマイチなのに、企業の屋台骨を支えるぐらいに結果を出すトップセールスはゴロゴロいます。メディアに露出している人は「見た目」や「プレゼン能力」も凄いかもしれませんが、普通の仕事をしている限り、ほとんど関係がありません。

「誤解されやすい人」にならない2つのポイントに書いたように、「点」ではなく「線」で考えることが重要です。「第一印象」「第二印象」が良くても悪くても、日ごろから正しい行動をとっているか。愚痴をこぼさず、不安や不満を口にせず、淡々と組織に貢献する行動ができるか。お客様の要望にスピーディに応じることができるか。……これらの行動習慣によって形作られる印象が「第三印象」です。

「第三印象」は、その人自身が自分を装飾・デコレートしなくとも、代わりに周囲がアピールしてくれます。その人と「点」ではなく「線」の付き合いがある人、行動習慣や日ごろの考え方までわかっている人が、その「印象」を周囲に伝えてくれるのです。第三者を介した情報、噂話のほうが、直接伝えられるよりも印象が強まることを「ウィンザー効果」と呼びます。まさにこちらのほうが「インパクト」が強いと言えるでしょう。

しかも前述したとおり、インパクトは「ギャップ」によって創出されます。「第一印象」「第二印象」がイマイチのほうが、「第三印象」は高まってしまうという逆説的な考え方もできます。

それでは「第一印象」「第二印象」「第三印象」の、いろいろな組み合わせを考えてみましょう。

●「第一印象」が良い。「第二印象」が悪い。「第三印象」が良い。

「あの人、最初に会ったとき、すごく感じが良かったんだけど、すぐに自己中心的だとわかった。でも、この1年近くで仕事をしていて思ったんだけど、やることは速いし、問題意識がすごくある。誤解されやすいだろうけど、実はすごくポテンシャルがある人だと思う」

●「第一印象」が良い。「第二印象」が良い。「第三印象」が悪い。

「うちのスタッフで、凄く可愛いし、接客態度も良くて、お客様から気に入られている女性がいるんだけど、とにかく遅刻が多い。厨房に対する理不尽な不満も多く、手を焼いている。すごく厄介な存在だ……」

●「第一印象」が悪い。「第二印象」が悪い。「第三印象」が良い。

「最初会ったとき、とても地味で、話しても、なんかマイナス思考な感じの印象を受けたんだけど、実はあの人、全然違う。アピールしないだけで、裏でとても努力してるし、がんばり屋だ。仕事を覚えるのが人よりも時間かかるようだけど、愚痴もこぼさずコツコツ継続している姿勢は私も見習いたい」

「第一印象」も「第二印象」も、どちらも所詮は「点」の印象です。「第一印象」「第二印象」のスコアが高得点なほど、「第三印象」が悪い場合、ギャップが激しくなります。「あの人、真面目そうだけど、全然ダメ」と思われてしまうのです。気を付けたいですね。しかし、だからといって「第三印象」のスコアを上げるために、あえて「第一印象」「第二印象」を悪くする必要はありません。

なかなか初対面の人に好感を持ってもらえない人だけ、後で挽回する楽しみが増えていい、というぐらいの気持ちを持つことが大切です。「そのうちわかる」「いつかは報われる」と考えることです。

中には「第三印象」が良いのに、いつまでも「第一印象」「第二印象」を引きずる人もいることでしょう。しかし、それはその人の認知能力の問題です。人を表面(うわっつら)でしか評価しないような人なので、その人本人の「第三印象」が悪いと言えるでしょう。「第三印象」の悪い人に、良い印象を持たれなくても気にする必要はありません。

【参考図書】

「空気」で人を動かす

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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