「ブラック営業」とは? 「ホワイト営業」「レッド営業」に「ブルー営業」も一緒に考える。
本日は「ブラック営業」「ホワイト営業」「レッド営業」に「ブルー営業」を定義づけ、お客様側の目線、企業側の目線それぞれで、どのような種類の営業が好ましいのか、好ましくないのかについてを書きます。
さて「ブラック企業」「ブラック社員」……等、巷では、「ブラック」を冠した呼び名が広まりつつあります。世間での認知度が高まるほど、この「ブラック」の意味は幅の広い解釈をされることとなり、ちょっとしたことで、
「わが社ってブラックじゃない?」
等と、この名称が使用されるようになりました。そもそも「ブラック」とは何かを考えると、共通しているのは、法令を順守しなかったり、常識からは逸脱した「理不尽さ」「不誠実さ」を感じさせる何かを伴っていることと言えます。要するに、単なるワガママや、ちょっとした無理難題を言ってくるぐらいでは「ブラック」と呼べません。ある一線を越えている状態が「ブラック」であり、それは企業であろうが社員であろうが同じ物差しで考えるべきです。
私は営業コンサルタントですから、常日ごろから営業職に携わる人たちとお会いしています。そこで「ブラック営業」という言葉を作るなら、どういう定義となるか考えてみました。「ブラック営業」という表現があるなら、自社商品の購入を著しく不誠実にお客様に売りつける営業、と定義するのが自然でしょう。あの手この手でお客様の弱みを握り、買わないと「どうなるかわかってるな?」と脅すような営業です。
何度も頭を下げたり、強くごり押しするぐらいで「ブラック営業」とは言えません。お客様の精神状態が悪くなるほどの態度で、執拗に売り込み行為をする人が「ブラック営業」です。代表的な例は、訪問販売による悪徳商法が挙げられます。高齢者を狙った布団や判子の販売、住宅リフォーム、水道浄水器販売等で、ブラックな営業手法をとる人がごく一部見られます。
このように定義すると、一般企業に所属する営業職が「ブラック化」することは、ほぼあり得ないと言えます。それどころか、日本の営業は「総草食化」しているのではないかと思えるほど、総じて「押し」が弱くなっています。現場でのコンサルティング経験はもちろんのこと、年100回以上、全国でセミナーや講演を6年以上も続け、日に日に感じていることです。
「ブラック営業」という名称があるなら「ホワイト営業」という言葉があってもいいでしょう。「ホワイト営業」を定義するなら、お客様に驚きと感動を与える営業です。お客様自身が、大切な友人・知人に紹介したくなるような営業を「ホワイト営業」と定義できます。
「ブラック営業」と「ホワイト営業」を私なりに定義してみました。しかしこれらはお客様目線での印象が元となっています。企業側の目線で考えたら、「ブラック営業」と「ホワイト営業」という表現はしっくりきません。それでは、企業目線でとらえた場合、どのように定義できるでしょうか。私はすぐに「レッド営業」という言葉が頭に浮かびました。「赤」から連想できる言葉は、何と言っても「赤字」。要するに結果を出せない営業のことを「レッド営業」と呼ぶことができるでしょう。
売上目標を達成できないどころか、収益を度外視した不採算な仕事をとってくる、お客様の言いなりになって勝手に値引きするといった行為を「レッド営業」はします。企業側としては、非情に悩ましい存在です。
反対に、成績の良い営業は一般的に「トップセールス」などと呼ばれます。「黒字社員」という表現もありますが、今回は「レッド営業」を反転させて「ブルー営業」と名付けましょう。結果を出し続ける真のトップセールスは、焦りも悲壮感もなく、常に冷静で、企業側に、青く澄み割った空のような平穏さをもたらしてくれます。長時間労働もせず、コスト意識も高く、もちろん結果も出すような営業を「ブルー営業」と名付けましょう。かなり強引なネーミングではありますが、「ブルー営業」は企業側にとって非情にありがたい存在と言えます。
ここまでをまとめると、「ブラック&レッド営業」が最悪な存在と言えます。法に触れるほどお客様に迷惑をかける割に、結果も出せず赤字を垂れ流すような営業は、お客様にも企業にも困った存在です。理想は「ホワイト&ブルー営業」。お客様から信頼されているため、他のお客様をもたくさん紹介されます。営業・マーケティングコストもかからず、価格交渉でお客様を惹きつけようとする必要もないため、企業側に大きな利益をもたらしてくれます。「ホワイト&ブルー営業」は企業の将来を明るく照らしてくれることでしょう。