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絶対にブレない「軸」を作る4つのイメージ

横山信弘経営コラムニスト
「軸」には強靭な強さが必要である。(写真:アフロ)

「軸」という言葉があります。辞書で引くと、「回転運動の中心」とか「活動の中心となる人物や信念」のような定義です。何らかの夢や目標を持ち、実現に向かってまい進していくときに、この「軸」という言葉が登場していきます。

「リーダーシップを発揮するためには、ブレない軸を持て」

「就活するときは『自分軸』を持つべきだ」

……このように使います。「軸」とは、自分の中にある「信念」であったり「ポリシー」であったり「判断基準」のようなものを指します。私は「信念」や「基準」という言葉を使うのであれば「軸」という表現を使うようにしています。メタファー(暗喩)としてわかりやすいからです。

「軸」という表現は、以下4つの特徴があります。

●「回転の中心」

●「堅い」

●「動かない」

●「棒」

つまり「軸」とは、【堅くて動かない、回転の中心となる棒】のようなものである、ということです。ここで重要なことは2つで、「軸」とは「堅くて動かない棒」であるということと、「回転の中心となる棒」である、ということです。「信念」とか「価値基準」という、とらえどころのない「ふわっとしたもの」ではなく、「長さの概念がある棒」である、と考えるとイメージがつきやすいと考えます。

「棒」というのは「線」であり、「線」とは「点」と「点」とを結んだ直線です。つまり、現在と将来という2点間を結ぶ直線を「軸」にするとわかりやすくなるのです。

たとえば、

「グローバルで活躍する人材になる」

と言うと聞こえはいいですが、いろいろな視点で解釈できてしまうため、「軸」がぶれやすくなります。

「地域密着型の建材の会社に入社したけど、輸入建材を扱っているからグローバルな会社といえば、グローバルか……」

「広告代理店に入社しようと思う。営業をしていると、けっこう外国人の方との交渉もあるようだから」

……などと、「後付け」で意味の偽造をしてしまうことが容易にできてしまいます。しかし、

「5年以内に、日本以外の国で、英語をメインに使った仕事に従事しているようなグローバルで活躍する人材になる」

というように、将来の「あるべき姿」「ありたい姿」がハッキリしていると、強い「軸」となります。なぜなら「期限」や「将来の姿」が明確であれば明確であるほど「点」になりやすいからです。単なる「グローバルで活躍する人材」だと「点」にならないため、現在の「点」と直線で結ぶことができなくなるのです。

企業経営者でも同じで、

「地域社会に貢献する。そのためには何でもやる。それが私の揺るぎない信念だ」

と言っておきながら、

「東京に本社を移す。まずは東京市場で儲けてから地域活性化を考える」

「ベトナムに工場を建設しようと思う。地域への貢献? この地域で採用した人をベトナムに送り込めば、それも立派な地域貢献と言えるだろう」

などと、「揺るぎない信念」であったはずなのに、都合よく解釈してしまう人もいます。「ぶれない軸」と言うのは、こういう「曲解」できないものにすべきです。したがって、

「地域社会に貢献するため、5年以内に地元の学生を50人、新卒で採用する」

……と、このようにすると未来の「点」が明確になるため現在と直線で結ぶことができます。

また「ぶれない軸」を作るために覚えておくべきいくつかのキーワードがあります。

■「頑固」「理不尽」「不条理」「冷徹」「残酷」

「軸」は「堅くて動かない棒」です。そしてその「軸」を中心に物事が回転するわけです。「ぶれない軸」を持っている人は、頑固で人を振りまわすことになるため、「理不尽」であったり「冷徹」な決断をするときがあるのです。「柔軟」とは真逆の発想です。たとえば、「軸」が定まっていない人は必ず、以下のようなことを言い出します。

「日本以外の国で、英語をメインに使った仕事に従事していることが、グローバルで活躍する人材になることとは限らないよね? しかも5年以内にしなくちゃならない根拠は何なの?」

とか、

「地元の学生を50人、新卒で採用することが、本当に地域社会に貢献することなんだろうか? それにどうして5年という期限を区切るのだろうか。もっと柔軟に考えてもよいでしょう」

いったん「軸」を決めたのであれば、他人からアレコレ指摘されても「冷徹」に峻拒すべきです。それが「ぶれない軸」というものだからです。「直線」になっていなくても、動かぬ数字表現を使って「軸」にすることはできます。

「会議は5分前集合だ。5分前に来なかったヤツは、会議室に入らなくていい」

このように営業部長が言ったとします。それでも集合時間ギリギリに会議室に入ってきた部下がいたら、

「会議室に入ってくるな。5分前集合と言っただろう」

と突き放すべきです。「不条理」「残酷」と受け止める人もいるでしょうが、これが「ぶれない軸」というものです。

「なんだかんだ言って」あの人は折れてくれる、「なんだかんだ言って」あの人は許してくれる、というレッテルを貼られている人は決して「ぶれない軸」を持っているなどとは言われません。

「あの人がやる、と言ったら、絶対にやる。あの人はそういう人だ」

……このような人が「ぶれない軸」を持っている人です。ですから「冷徹さ」「不条理さ」とは隣り合わせなのです。

「地元の学生を50人雇ったからといって地域社会に貢献するかどうかはわからないだと? 多くの人と相談して、何か月も悩んで決めたことだ。そのことも知らないのに、妙な茶々を入れてくるな。もう絶対に私はぶれない。いったん決めたことはやり切るんだ」

こう言い切ることができる人が「ぶれない軸」を持っている、と言うのです。他人の適当な助言やアドバイスにいちいち心を動かされる人は「軸」を持っているとはいいがたく、その人を中心にものごとが周ることもないのです。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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