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東芝が整理すべき事業は「家電」以外に考えられない

横山信弘経営コラムニスト
(写真:ロイター/アフロ)

不正会計問題で決算発表が大幅に遅れた東芝。赤字額は、税引き後利益で378億円にのぼることが明らかになりました。大規模な構造改革は避けられない状態です。それでは、どの事業を「整理」するのか?「家電」事業以外に考えられません。

世間を揺るがすスキャンダラスな事件によって、壊滅的な打撃を被る企業はほとんどのケースで「B2C」事業を収益の柱としている企業です。お客様の属性が「一般消費者」であるということ。「マクドナルド」や「すき家」などが代表格です。しかしメインのお客様が「一般企業」であると、お客様はそこまで感情的にならないし、極端な拒絶反応も見せないものです。いわゆる「B2B」の事業であれば。

多くの企業の幹部、管理者が私のオープンセミナーにいらっしゃいます。スキャンダラスな事件を起こして、世間のバッシングをもろに受けている企業幹部、マネジャーが出席することもあります。しかし、意外に現場の管理者は、

「世間ではいろいろと言われていますが、そんなに風当たりが強いわけではありません。私たちは現場で精一杯やるだけです」

と仰います。企業同士の付き合いは「大人の付き合い」ができるため、連日ニュースで取り沙汰されていても、現場にまで嵐が吹き荒れているかというと、案外そうではありません。

日立製作所の好業績を牽引するのは、社会・産業システム部門。鉄道やエレベーターといった建設設備事業などで、三菱電機はFA、自動車機器事業が業績を押し上げています。いずれも「B2B」の事業です。東芝も確かな技術力に下支えされた事業が複数あるわけですから、そこに社内リソースを再配分すべきでしょう。

東芝の家電製品は魅力的なものが多い。しかし一般消費者はスキャンダラスな事件に敏感です。シャープもソニーも、コンシューマー向けの事業で苦戦しています。「B2C」の事業は、企業ブランドの価値が揺らぐと、さらに収益悪化に見舞われる事業構造をしています。したがって、東芝が事業を整理するのであれば「家電」事業以外に考えられません。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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