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男子バスケ「Bリーグ」は、プロスポーツビジネスに新しい風を吹かせることができるか?

横山信弘経営コラムニスト
いよいよ「Bリーグ」が2016年秋に開幕する(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

男子バスケ「Bリーグ」の新たな取り組み

2016年10月から、NBL(ナショナルリーグ)とTKbjリーグが統合して『Bリーグ』が誕生します。サッカー「Jリーグ」のように覚えやすい名称となり、親しみを感じる人も増えるのではないかと期待します。

Bリーグは3部構成となっており、1部と2部のリーグが完全プロ。3部リーグがプロ・アマの混合チーム。当然のことながらプロスポーツである以上、クラブ運営が大きな課題となってきます。

そこで「Bリーグ」は、1部と2部全クラブの顧客データベースを開発し、導入すると発表しました。クラブごとの顧客管理はプロ野球でも導入が進むようですが、リーグ全体で一元管理するのは初の試み。私は営業マーケティングのコンサルタントとして、この取組は非常に重要であり、プロスポーツビジネスにおいて大きな革新をもたらすのではないかと期待しています。

「マス広告」はリーグの体力を奪っていく

スポーツビジネスにおける収入の基礎は、試合観戦する観客によってもたらせます。観客が増えることにより、チケットやグッズ販売に寄与しますし、スポンサーによる広告収入も増えていきます。何はともあれ、一定数の観客を確保しなければ、プロスポーツビジネスは成り立ちません。

それでは、どのようにすれば多くの人が試合を観に足を運んでくれ、テレビやネット中継で観戦してくれるのか? 一般的なのは「マスコミュニケーション」によって広告宣伝する取り組みです。いわゆる新聞、雑誌、テレビ、ラジオの「四大メディア」にネットを加えたマス広告。ただし、いずれもお金がかかります。

「Bリーグ」の認知度をアップさせるためには、それなりのプロモーション活動をすべきでしょう。しかし、あまりにコストをかけてしまうと、リーグやそれぞれのクラブ経営の収益を圧迫しかねません。認知度をアップし、競技人口やファンの裾野を広げていくうえで、マス広告はてっとり早い方法ですが、プロ野球やJリーグのように体力がないと、いずれ破綻していきます。

競技人口がとても多いバスケットボール

ちなみに競技人口で比較すると、約750万人のサッカー、約730万人の野球に比べ、バスケットボールは約570万人と、国内における競技人口は決して少なくありません。(2012年におけるスポーツ財団の調査)ちなみに世界全体では、約4億5,000万人もいるバスケットボールの競技人口が最も多いと言われており、約2億5,000万人のサッカーを大きく引き離しています。

「顧客管理」が有効な理由

したがって、多大なコストを支払い、マス広告によってプロモーション活動をするのではなく、学校や団体と協力し合い、バスケットボール競技者たちのデータベースをリーグで一元管理して、地道にプロモーション活動をするほうが「コストパフォーマンス」は極めて高くなります。

「Bリーグ」を一度でも観戦したお客様の住む場所、好きなチーム、好きな選手、過去の観戦履歴、アンケート、要望……などを項目ごとに管理し、属性に合わせた顧客接点をとり続けることで、クラブ収入を安定化させることができます。

派手な広告を繰り返すのではなく、ひとりひとりのお客様と正しく向き合った、このような地道な取り組みが、今後のスポーツビジネスには必要なのです。そのための「顧客データベース」です。体力のない競技がプロスポーツとして発展させていくために、重要な取り組みだと私は考えます。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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