東芝不正会計事件により、オリンパスは「とばっちり」を受け続ける
東芝不正会計事件は重大な局面を迎えつつあります。12月7日、「73億円」という過去最高の課徴金も科せられることとなりました。株主50人が、同社と旧経営陣に約3億円の損害賠償を求める訴訟も起こしています。今後の焦点は、旧経営陣に対する刑事告発。東芝問題は、2015年が終わっても、まだまだ終息する気配がありません。
それにしてもこのニュースが出るたびに、オリンパスはとんだ”とばっちり”を受け続けているな、と私は思います。東芝の不正問題が取り沙汰されるたびに、カネボウ、ライブドア、オリンパスといった、過去に会計不祥事を起こした有名企業は、東芝との比較をされ、ニュースソースに載るからです。
過去の不祥事をすでに忘れてしまった人も多いはず。にもかかわらず、東芝の事件が取り沙汰されるたびに「追体験」させられるため、その都度、企業ブランドは下落し続けることになります。
特に私はオリンパスに同情します。「飛ばし」という手法で巨額損失を10年以上に渡って隠し続けた、いわゆる「オリンパス事件」は2011年に発覚。株価も急落。旧経営陣は辞任・解任に追い込まれただけでなく、逮捕までされています。
これだけの大事件を起こしながら、オリンパスは復活を遂げつつあります。医療機器分野においては、実績も技術力もピカイチ。私自身もいろいろな医療分野の企業を支援しますが、「オリンパスが通った後には雑草も残らない」と言われるほど、中小企業では太刀打ちできない、すべてをかっさらっていくだけの力があります。ソニーとの提携も奏功し、11月に発表された今期の上期決算は絶好調。決算発表後は株価がストップ高になるほど上昇しました。
しかし、先述したとおり東芝の事件がニュースになるたび、オリンパスの汚名もまた白日の下にさらされます。おそらく経営陣たちは「いい加減、沈静化してくれ」と祈るような気持ちでしょう。
「同情します」と私は書きましたが、過去にあれだけの事件を起こしている以上「同情できない」と考える方もいることでしょう。しかしすでにオリンパスは罰則は受けています。罪のないほとんどの従業員の心に暗い影を落とし続けること、そして企業としての社会的責任を全うさせる力まで奪うことに意味はありません。こういった事件が起こるたびに、まだ5年先も10年先も、ことあるごとにニュースソースに載るのだろうなと思うと、やはり同情の念が先に立ちます。
東芝もまた同じです。いずれこの問題は終息を迎え、事件も風化する時期が来るでしょう。しかし、他企業による会計不祥事が発覚するたびに東芝の名前もまた世間の目にさらされるのだろうなと思います。事件が企業に与える大きさを、改めて思い知らされています。