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新卒ならともかく「第二新卒」で成功させるためには「じぶん営業」を徹底せよ! 

横山信弘経営コラムニスト
「じぶん」という商品をどう営業するのか?を考える(写真:アフロ)

一生を決める就職活動

高校受験や大学受験でどんなに成功しても、もし就職活動で失敗したら、その後の人生もまた残念なことになるでしょう。反対に、高校受験や大学受験でうまくいかなくても、就職活動を成功させれば、その後の人生を大きな幸福感で包み込むことができます。

たとえ一生同じ会社で働かないだろうと思っても、入社した会社で、どんな仕事をし、どんな体験をするかで、その後の人生を決定づけるのです。それほど就活は大切なものです。運任せにするのではなく、自助努力で、自分の大切な一生を決めていきましょう。

私は企業の組織営業力をアップさせ、目標予算を絶対達成させるコンサルタントです。クライアント企業の営業個人のスキルアップはもちろんのこと、組織改編まで携わることもあります。社長に助言し、マネジャーの人事に口を出すこともあります。新入社員を採用するときに面接に立ち会うこともあります。組織営業力をアップさせるうえで、質の低い営業パーソンが入社してきたら大きなダメージを受けるからです。

就活コンサルタントではなく、営業コンサルタントの視点で見たとき、転職活動で採用面接に来る99%の人に失望させられます。「この人はできる! 他社にとられないよう、すぐに採用通知を出そう!」と思える人に会えるのは、まさに100人に1人の割合です。まだ一度も社会に出ていないのならともかく、一度でも社会人になったのなら「努力不足だ!」「全力でやってない!」と面接官に思われるようではダメ。

就職活動、転職活動を「営業活動」「マーケティング活動」と考えればわかりやすいでしょう。一番わかりやすいのは、マーケティングミックス。プロダクト(商品)、プレイス(お客様)、プライス(価格)、プロモーションの「4P」でマーケティング戦略を考える、という概念です。

募集要項だけを見る人は「底」が浅い

まずプロモーションから考えてみましょう。「自己PR」です。

履歴書は、いわゆる「チラシ」「パンフレット」のようなものと考えます。まず、この「履歴書」で相手に興味を持たれなければ、話になりません。ウソはいけませんが、どのように装飾するかを研究するのは当然のことです。受ける会社をお客様(プレイス)ととらえ、その会社がどんな業界に所属し、どんな事業を柱にし、どんな収益構造で事業を成り立たせているのかを調べます。募集要項だけを見て、履歴書を書く人はすぐに「底」がわかります。つまり「底が浅い」のです。面接をしていても、話がまったく広がりません。(コミュニケーション能力の問題ではないのです)

営業活動でいえば、「新しい事務所に移転するついでにパソコンを10台購入する」とお客様に言われ、そのまま「パソコン10台」の見積りを持っていく人と同じ。その仕事に何ひとつ付加価値がないため「できない人」と呼ばれます。単なる「御用聞き」だからです。

相手(プレイス)を研究したうえで、逆算してプロモーションを考えます。

プロモーションを考えるうえで、不可欠なのは商品(プロダクト)です。商品はもちろん「自分自身」。自分の棚卸しをします。新卒であれば、過去にどんな勉強をしたのか、どんな資格を持っているのか、どんなバイトをして経験を積んだのか……。第二新卒など、すでに社会経験がある人なら、前職での経験も盛り込みます。今現在手にしている「自分資産」を明らかにしていく作業です。

当然ですが、これらをすべて披露するのはダメ。「ハイブリッドカーが欲しい」と言っているお客様に対し、車の販売員が、取り扱い車種を全部紹介しはじめたら、お客様はどう思うでしょうか? 「ハイブリッドカーが欲しいと言っているのだから、御社が扱っているハイブリッドカーだけを紹介してくれよ」とお客様は言いたくなります。

履歴書のフォーマットに沿って書く内容ならともかく、「自己PR」の箇所は、相手目線に立って内容をブラッシュアップする必要があります。募集要項に書いてあることのみならず、相手を研究して、逆算して自分の何をアピールするのかを取捨選択していきます。受ける会社が異なるのに、どこに出す履歴書もほぼ同じ。「自己PR」をコピー&ペーストする人は最悪ですね。すぐにバレます。

自分のバリューはお得感

最後はプライス(価格)。自分自身がどれぐらいリーズナブルか。お手頃価格なのかを明らかにします。期待した機能のみならず、お客様が他にもいろいろと使えそうだと思えたら、誰でもその商品に魅力を感じますよね。この商品はこんなことにも使える。値段の割にお得だ、と受けとります。

自分のスペック(自分資産)はこれだけで、できることに限りはある。しかし、経験のないことでも挑戦する、やりたいことに固執することはない、とアピールすれば「いろいろと小回りがきく人材だな」という印象を与えられるでしょう。これがお得感です。

準備プロセスにこそ価値がある

就職活動、転職活動は「営業活動」と同じです。自分という商品を営業・マーケティングするという発想がとても大切です。特に「第二新卒」はいったん社会人になっているので、しっかりと「自分棚卸し」をしましょう。本当に自分がやりたい仕事は何か? 自分の人生にどんな意味があるのか? という「自分探し」は堂々巡りになるだけですから、やるべきは「自分棚卸し」です。

最後に、なぜ「自分営業」とせず「じぶん営業」と、ひらがなにしたのかを書きます。ゆうちょ銀行、かんぽ生命、さいたま市……などと同じように、過去のイメージを払しょくしたかったから、堅苦しく考えて欲しくなかったから、です。「営業」という言葉を聞くと、多くの人は「売込み」「押し付け」「ノルマ」「プレッシャー」……という表現を連想します。私も社会人になる前は、「営業=接待」「営業=お世辞」「営業=頭を下げる」というイメージがありました。このイメージを払しょくし、もっと身近なものとして捉えてもらいたくて、このようにネーミングしました。

営業は「業を営む」と書きます。事業を営むうえでは、セールスパーソン以外の人もすべて「営業マインド」がなければダメ。ですから、就活するときにこの「営業マインド」を磨いておくことは重要です。会社に入って営業職に就くかどうかは別にして。

面接を受ける前に準備したことが、実際の面接で生かされるかどうかは別です。しかし、準備したすべての労苦はとても価値のあるプロセスです。このことも、本来の営業活動とよく似ている部分です。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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