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一冊の「プライベート手帳」で残業をゼロにし、人生を豊かにする

横山信弘経営コラムニスト
プライベートの予定だけを管理する手帳を持つ(写真:アフロ)

●なぜ時間管理術を駆使しても残業が減らないのか?

私は企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタントです。絶対達成コンサルティングを10年以上続けてわかったことは、労働時間を短くするほど成果が出やすくなることです。時間の制約があることで「ストレス耐性」や「考える力」がアップするからでしょう。

残業をゼロにするためにやることは、強制的に退社させる環境を作ること、ただ一つです。作業スピードを速めても、退社時間が固定されていたら、スピードが速くなった分だけ仕事量が増えて逆効果です。また、緻密な時間管理術は多くの人が長続きしないこともわかっています。つまり、小手先のテクニックで30分、1時間の残業を減らすことはできても、ドラスティックな労働時間削減には繋がりません。

●なぜ飲み会の日は残業がゼロになるのか?

緻密な時間管理術を学んでも残業がなくならないのに、なぜか「飲み会」がある日は、誰でも残業をせず退社することができます。それは、飲み会によって「積極的に退社する理由」ができたからです。

残業の理由は、ほとんどのケース、仕事が多いからではなく、退社時間がオフィスの雰囲気や、個人の習慣によって知らず知らずのうちに固定されているから。「残業は文化」と言われて久しいですが、まさにその通りで、文化を変えるぐらいの気持ちがないとゼロになることはありません。

(本当に仕事が多いから残業が多いのであれば、時間管理術で削減できます)

ということは時間外に「積極的に退社する理由」を作れば、残業ゼロになる日が増えます。その結果、総労働時間を削減できるのです。

「毎週火曜日は、19時からスポーツジムがある。火曜日は定時に退社できるよう、今から準備しておこう」

「土曜日は朝からゴルフがある。休日出勤しないよう、金曜日までに仕事を片付けないと」

「来週月曜の夜は、家族と豪華なディナーを予約している。絶対に行かないと」

……このようにプライベート時間にどんどんスケジュールを入れることで、「積極的に退社する理由」ができます。このことで、逆算思考が鍛えられていき、結果的に前述した緻密な時間管理術が生きてくるのです。

●なぜスポーツジムは長続きしないのか?

しかし、多くの人がこのように想像することでしょう。「スポーツジムに入会しても、結局は仕事を理由に行かなくなる。過去に経験があるんだ」「家族との約束をしても行けないときもある。行けないなら、最初から約束しないほうがいい」……このように。

飲み会がある日は残業をゼロにできるのに、なんて意志力の弱いこと! と思うなかれ、実際にそうだと思います。現場に入っていれば、どの企業でも同じです。コンサルタントの私との懇親会がある日などは、社長号令などで、残業全面禁止になったりして居酒屋へ繰り出したりします。夜に研修があれば、全員参加してきます。そうなのです。やればできるのです。しかし、仕事以外の都合だと、なぜか意志力が弱くなる人が大半です。

強制的に意志力をアップするには、支払うコストを高くすればいいのです。コストは「経済的コスト」「時間的コスト」「精神的コスト」の3つ。飲み会や研修には参加するのは、社内の圧力があるからでしょう。ここで支払っているのは「精神的コスト」です。

スポーツジムが長続きしないのは、そこで支払うコストが安いという認識があるからでしょう。それならライザップに入会するように、パーソナルトレーナーを雇ってみてはどうでしょうか。そのトレーナーが厳しい人であれば「経済的コスト」「精神的コスト」の2つを支払うことになります。

家族との外食も、高級レストランを予約し、前払いしてしまえばいいのです。週末のゴルフも、取引先の社長や、学生時代の恩師などと約束すればいいのです。中途半端な予定を入れるから、弱い意志力ではどうにもならないのです。

永遠に高コストな予定を入れ続けることは難しいですが、残業を圧縮する習慣が身に着くまでは、強引にでも高いコストを支払ってプライベートな予定を入れ続けることをお勧めします。

●「プライベート手帳」を持とう!

私が強くお勧めするのは、プライベート時間のみを管理する「プライベート手帳」を持つことです。仕事の予定やタスクをいっさい書かない手帳です。「医者に行く」とか「市役所で手続き」とか「お金をおろす」などの日常的な雑事も書きません。

読書したり、運動したり、睡眠したり、レジャー施設で遊んだり、セミナーに出て勉強したり……自分に貢献するための時間を手帳に書き込みます。家族と食事をしたり、友人と出かけたり、異業種交流会に参加したりして、他の誰かに貢献する時間も手帳に書き込みます。

「自分資産」「関係資産」「金融資産」の3つの資産を積み上げる予定だけを、この「プライベート手帳」に記していきます。

●「プライベート手帳」の選び方

「プライベート手帳」を選ぶとき、ビジネスライクな手帳を選ぶのはやめましょう。特に、週末の予定がしっかり書きこめるタイプを選ぶのが重要です。

また、安っぽい手帳だと、安っぽいプライベートな時間になりがちなので、プライベートを充実させたいなら高価な手帳を選ぶべきでしょう。青やピンクなど、見ているだけでワクワクするようなカラーにすることも大事です。

また、たとえ仕事の予定が入っていなくても、仕事中に何度もチェックする必要があるため、オフィスには持参します。そのためセキュリティ対策が重要。万が一、手帳を落として中身が誰かに見られたら恥ずかしいですから、ボタンやファスナータイプの手帳をお勧めします。写真やチケットが入るポケットは必須でしょう!

使い方は簡単。普段、仕事をしている時間帯は空白にしておき、そこにプライベートなタスクを書きこんでいきます。予定は早朝と、夕方以降、そして週末にしか書けないので、あとのスペース(このスペースが一番面積が広いのだが)にタスクやメモをどんどん書いていくのです。

● 仕事のスケジュール管理は「クラウド」で

いまや大企業の84.9%はグループウェアが導入されています。中小企業でも半分は導入されているため、携帯電話やスマホで連携させれば、仕事の予定やタスク管理はとても便利になります。この便利さを体験すると、アナログの手帳での二重管理はかなりの手間。

したがって、仕事は「クラウド」プライベートは「手帳」と使い分ければ、手帳を複数持つ必要はなくなります。

●余った暇な時間「余暇」という表現はやめよう!

「余暇」という言葉は、労働が生活の中心、働く時間が人生の中心だと考えている人が使う表現です。しかし私たちのプライベートの時間は、1日から労働時間を差し引いた余った時間ではありません。もっと積極的に予定を組み入れ、管理すべきなのです。

そのほうが確実に人生が豊かにできます。半年に1回でも、「プライベート手帳」を見返せば、どれぐらい自分のプライベート時間が充実していたかわかることでしょう。そこには、自分や周囲の人、社会に貢献した予定やタスクだけが書かれているからです。

仕事を管理するだけの手帳をすて、人生を豊かにする「プライベート手帳」を持ちましょう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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