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どうしてイノベーションを起こす組織は「新入社員」をうまく活躍させるのか?

横山信弘経営コラムニスト
常識を打ち破るには、まだ常識を知らない人をうまく活躍させることである(写真:アフロ)

「変革」「革新」などと日本語では訳される「イノベーション」という言葉を安易に使う人が増えています。単に「頑張る」「努力する」程度の意味合いで、「来年こそはイノベーションを生み出す」だとか、「みんなでイノベーションを生み出そう」などと声高に言う経営者や上司がいます。「これまでの殻をぶち破ろう」「常識を覆すことにチャレンジする」などと大仰な表現を使う人たちもいますが、同じ部類でしょう。

私は現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。目標の「絶対達成」というぐらいですから、本当に革新的なことを組織でしてもらいたいと思うのですが、ほとんどのケースが口だけ。自分や組織を鼓舞するためだけにそれらの表現を使っているのです。

組織でイノベーションを起こすために必要な、たった一つのことで書いたように、常識人が革新的なアイデアを出すには、天と地がひっくり返るぐらいの状況に追い込まれることです。「平時」ではなく「有事」でなければ、一般的な人がイノベーションなど起こせるはずがありません。ましてや複数人が集まって、合意形成をとりながら意思決定していけば、現状維持バイアスにかかった、これまでと同じような案しか出てこないのが普通です。

もっと簡単にイノベーションを起こすためには、以下のような人を集めてプロジェクトを託しましょう。

■ いつも常識を疑っているような人(協調性がない人、空気の読めない人)

■ 過去の経験がない人(新入社員、中途社員)

つまり、組織の大切なことを意思決定する際に、呼ばれないような人たちに依頼するのです。協調性がない、いつも常識を疑っている人を特定し、その人に任せるのは難しいのであれば、新入社員、中途社員を活用します。特に社会に出て間もない新入社員を登用すること、それ自体がイノベーションと言えるでしょう。過去を知らないのであれば、特殊な才能がなくとも大胆なアイデアを思いつきやすい。発想だけではなく、実行もしてもらいます。どこまで組織のリソース(人、物、金など)を使うかだけ周囲が介入すればよく、それ以外は全権を託すのです。

新入社員が考えたアイデアが実を結び、組織に大きな利益をもたらすかどうかは未知数です。おそらく、そうならないケースのほうが多いでしょう。しかし先述したとおり、このこと自体が組織にとって常識にとらわれない取り組みであるなら、組織に新鮮な空気をもたらすことは間違いありません。

常識にとらわれない人たちによって、組織が新しく生まれ変わっていくのか。それとも古参の組織人たちによって、新人たちの可能性に「常識という名の蓋」をしていくのか、考えてみましょう。その業界に精通していない、私たちのような外部コンサルタントがクライアント企業を改革させることができるのは、私たちに「そのクライアント企業独特の常識が通じない」からです。常識にとらわれない仕事をする人に、チャンスを与える組織でありたいですね。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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