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これからの新入社員は、エビアンのような「ミネラルウォーター型」になれ!

横山信弘経営コラムニスト
ミネラルを豊富に含んだ水のような存在に!(写真:アフロ)

私は年間、100回以上のセミナーや講演を6年以上続けています。対象は経営者やミドルマネジャー(部課長)層が中心で、年間5000~6000名の前でお話をさせていただいています。本業は現場に入って目標を絶対達成させるコンサルティング。管理者層とコミュニケーションをとりながら組織改革を進めるのが基本的な仕事の内容です。

このような研修講師として、またコンサルタントとしての体験を12年ほど踏まえて言えることは、

「世の中のほとんどの中間管理者は、組織マネジメントをよくわかっていない」

ということです。

仕事のノウハウ、技術的なことはプロでも、組織マネジメントについて正しく学んでいるマネジャーはほとんどいません。1日や2日の管理者研修を受けたぐらいで問題なく「部下育成」できるようなリーダーに生まれ変われるかというと、そうではないのです。

会社に新入社員として入った方(これから入社する方)は、必ずこの視点を持っていただきたいと思います。技術的なことはプロであっても、あなたの上司となる人は、「マネジメント」や「部下育成」という観点では素人なのです。

学生から社会人になったばかりの人は、全員「ピュア」です。これは新入社員研修の講師をしていればわかります。穿(うが)った観方をしないかぎり、新入社員の皆さんは不純物のない、透明な「水」のような存在です。この「純水」である新入社員たちが、すでに不純な色に染まった上司のもとに送りこまれたり、淀んだ沼のような組織に入れられると、どうなるかと思うと私は心配になります。「純水」はいつまでも「純水」のままでいてもらいたいと思っています。

私が新入社員の皆さんに意識してほしいのは「ミネラルウォーター」です。

できればミネラル(カルシウムやマグネシウム)の多く含んだ硬水になってほしい。硬度が高いミネラルウォーターで有名なのは「エビアン」。「コントレックス」なども有名ですが、コンビニやスーパーで手軽に変える硬水といえば「エビアン」でしょう。

会社に入ってしばらくすると、得るものと、失うものの両方があります。会社の方針や、上司の指示は基本的に絶対だと受け止め、よほど法に触れること、生理的に受け付けないことである限り従います。それが社会人として基本姿勢だからです。しかし「思考パターン」まで染まる必要はありません。

「目標はあくまでも目標だから。達成できなくても仕方がない」とネガティブな発言をする先輩。「一所懸命やっても給料増えるわけじゃないから適当でいいよ」と指南する上司がいたら、受け流しましょう。彼ら彼女らに合わせる(ペーシング)する必要はありますが、思考のクセまで似せる必要はありません。

(そうだよな、いつも目標を絶対達成できるだなんてあり得ないし)

(頑張っても給料増えるわけじゃないんだから、やるだけ損だよ)

という脳内のつぶやきは「不純物」です。こういう不純物が増えると、あなたの「純水」度合は落ち、市場で売れるミネラルウォーターではなくなります。つまり人材としての「市場価値(マーケットバリュー)」が落ちる、ということです。想像してほしいのです。ネガティブ発言を繰り返す人を、誰が雇いたいと思いますか。繰り返しますが、上司や先輩が言っていることは従う(ペーシングする)のですが、思考まで合わせる必要はありません。

入社当時、「軟水」だったあなたは積極的に自己投資をし、社内外で素敵な人材と知り合い、栄養価の高いミネラルを手に入れていきましょう。社会人として成功するためにはどうすればいいのか。市場価値を高めるにはどうすればいいか。前向きに頑張っている人と積極的に付き合い、そういう人の思考パターンを吸収していくのです。液体としては無色透明のまま。必要なミネラルを取り込み、「軟水」から「硬水」へと変化させていきます。

あまりにミネラルを取り込むと、硬度が高くなりすぎてクセが強くなりすぎます。組織の中で浮いた存在になってしまうかもしれません。ですから「エビアン」ぐらいの硬度がちょうどいいのです。もちろん「軟水」よりも「硬水」のほうが万人受けしません。現在所属している組織の中で、特別視されることもあるでしょう。一部の人から誤解されることがあるかもしれません。しかし、カルシウムを豊富に取り入れたミネラルウォーターですから、骨のあるところを見せましょう。新入社員として入社した当時と同じように、色は無色透明のまま、それでも自分という「芯」をしっかりと持った人物であれば、多少周りから誤解されても問題はありません。2年目、3年目ぐらいに、存在感のある、一目置かれた人材になっていればいいのです。

東芝やシャープ、三菱自動車などの製造メーカー、電通といった学生に人気の高い大企業の不祥事が次々と明るみに出ています。そのような時代で、大企業へ就職し、そのやり方に染まれば人生は安泰だ、という思考を持つべきではありません。

「君の名は。」というピュアな純愛映画が空前の大ヒットをしています。若い人もみんな純粋な心を持っていて、昔抱いていたピュアな気持ちを忘れないでいたい、忘れちゃいけない、と心のどこかで思っているのです。社会に出てからは、吸収すべきことは吸収すべきですが、自分が持っている大事なピュアな部分は汚れないように自ら守っていかなければなりません。イメージとしては「エビアン」のようなミネラルウォーターです。少しクセがあっても、ミネラルの豊富な純水のような存在になることをお勧めします。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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