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LCC(格安航空会社)の活用が日本の若者のグローバル力を上げる

四方健太郎鎌倉インターナショナルFC代表取締役オーナー
オランダの格安航空会社トランサヴィア

いよいよLCC(格安航空会社)の日本展開が本格化してきました。

すでに外資系のLCCが日本にいくつか乗り入れてますが、日本の資本が入ったLCCもピーチアビエーションが運行を開始し、今後エアアジアジャパン、ジェットスタージャパンもスタートしましたので、今年は本当のLCC元年となりそうです。

各社、まずは日本国内線から運航をメインにはじまりましたが、今後は国際線の拡充を急いでいくでしょう。

この日本からのLCC国際線拡大は、日本人の旅行に大きな革命をもたらすと言われています。

そして僕は、このLCCの本格到来が、実は日本の若者たちのグローバル力向上に大きく関係していくと思っています。

アジアのLCC代表格エアアジア
アジアのLCC代表格エアアジア

というのも、現在多くの人たちが「海外旅行」として連想するのは、パッケージツアー。航空券とホテルがセットになり、旅程から現地での移動などもセットになっているものです。

HISなどが「格安航空券」と称して団体旅行用のディスカウントチケットだけを独立させて販売しており、徐々に「個人旅行」という形がメジャーになってきますが、現地空港からホテルまでの送迎サービス付きなどのものあり、完全に「個人自由旅行」というものではなかったりします。

はじめて海外に出てみる人たちや、一定の年齢に達した方々であれば、このような「手取り足とり系」のサービスでもいいかもしれません。

ですが、これからのグローバルな世界を前線で戦っていくような若い人たちには、ぜひ「個人旅行」で海外の現地の風を感じ取ってほしいと常々思っています。

いまや大手の旅行代理店を通さなくても航空券は簡単にインターネット上で購入可能です。(そして多くの場合、航空会社のウェブサイトで直接買う方が安かったりもします) また現地のホテルもネットで予約ができます。こちらは、直接予約よりもホテル予約サイトのほうが割引をやっているケースが多いのが僕の実感値ですが。

いずれにしても、自分で旅行の計画を立て、必要なチケットや予約を取り、現地の空港に降り立った後は、基本的にすべて自力で旅行を楽しんでみる、というのはいかがでしょうか。

パッケージツアーになっていると、そのコストの内訳も良く分からないまま買うことになってしまいます。ホテル代、航空券代、現地の食費・バス代などなど。

しかし、よく考えてみると、航空券代がその多くを占めているのが実情です。

特にアジアに旅行に行く場合、宿泊費を含め、現地でかかるコストが非常に安く、そして文化の違いなどから若いうちに行くには非常に経験になり、費用対効果のいいエリアなのですが、やはり比較すると航空券代が非常に高い。

もし東南アジアエリアに行けるLCCの国際線が多く展開し始めたら、もっと多くの若者が若いうちから(お金がないころから)海外に出かけるようになるのではないでしょうか。

エアアジアがマレーシアでサービスを開始した時のキャッチコピーは「Now everyone can fly」。今までは所得の高い層しか乗れなかった飛行機が、庶民の手に届くようになった、という意味です。

日本の若者が今まで飛行機に乗れなかった、とは言いませんが、確実に飛行機のチケットだけ取ってフラッと海外に出て行く人たちが増えるでしょう。

現にエアアジアXの国際線が日本にも飛んでいます。キャンペーン価格などを利用してエアアジアの本拠地でもあるマレーシアまでLCCで行ってしまえば、向こうはLCC天国。多くの土地に数千円程度で飛び回ることが可能です。

庶民が利用するバンコク市内の電車広告に
庶民が利用するバンコク市内の電車広告に

コスト削減のためにチケットの代理店販売(旅行会社などを通しての販売)をほとんど行っていないLCCを利用するとなると、現地でのホテルや移動手段などは自分で用意しないといけなくなります。(※中にはサイト上で追加サービス的に選べるようにはなっていますが)

航空券のチケットが安くなると同時に、いままで結構旅行代理店に丸投げになっていた各種手配を自分で行うことになります。

ここに、「旅の自己責任」の感覚が生まれてきます。

つまり「旅が充実するかどうかは自分のアクション次第」ということです。いままで旅行会社に任せていて、自分がコントロールできなかった分が必然的に自分の責任範囲内になってくるというわけです。

これにより、どうやったらより楽しめるかを真剣に考えるようになり、ひいては「現地ローカルのことをもっと知ってみたい」というような想いが新たに生まれてきます。

これがグローバル力の向上の第一歩です。

これで「グローバル力アンテナが立ってる状態」になりました。

これがパッケージツアーなどの、いわゆる過保護状態ツアーだと、なかなか立ちにくいんです。

旅行に行ってる間に起こることがすべて、ビンビン身体の中に入ってきて、自分で消化していきます。

自分で考えるからなんですね。自分で考えて行動するからなんです。

開国ジャパンでも定義している「グローバル力」には5つの要素に「経験」があります。留学や海外出張などもありますが、まず最初の一歩として踏み出して、大きくこのグローバル力アンテナを上げるキッカケとしやすいのが、旅行だと思います。

ちょっと話がそれますが、「ダイバーシティ(多様性)の受け入れが重要」なんて言葉を良く耳にしますが、僕としては「自分で考えて行動するようになるから」だと思ってるんです。

それは別のコラムで書いてみたいと思います。

鎌倉インターナショナルFC代表取締役オーナー

立教大学経済学部を卒業後、アクセンチュア株式会社の東京事務所にて、主に通信・ハイテク産業の業務改革・ITシステム構築に従事。2006年より中国(大連・上海)に業務拠点を移し、大中華圏の日系企業に対するコンサルティング業務にあたる。独立後、1年かけてW杯2010年大会に出場する32カ国を巡る『世界一蹴の旅』を遂行し、同名著書を上梓。(あわせて、経済界社より『世界はジャパンをどう見たか?』を上梓。)現在、東南アジアや南アジアなどでグローバル人材育成のための海外研修事業などを行う企業数社を経営。シンガポール在住で日本とアジア諸国をフィールドにしている。

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