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キャンピングカーは旅行の可能性を広げられるか ~子連れ体験レポート~

吉田大樹労働・子育てジャーナリスト/グリーンパパプロジェクト代表
キャンピングカーの活用で旅行の仕方に変化が生まれる!?(写真:アフロ)

キャンピングカーで1泊2日の旅行を敢行

約120cmの息子と比べる圧倒的な大きさだ。(撮影/吉田大樹)
約120cmの息子と比べる圧倒的な大きさだ。(撮影/吉田大樹)

キャンピングカーと聞くと、庶民には少々ハードルが高いというイメージが付きまとうが、キャンピングカーのレンタルも盛んに行われるようになってきた。また、最近では大型のキャンピングカーに比べると安価ということで軽のキャンピングカーにも注目が集まっている。

一般社団法人日本RV協会が公表している「キャンピングカー白書2014」によると、日本国内におけるキャンピングカーの総保有台数は約8万5,200台。これは2005年に比べて70%も増加している状況だ。

そこで今回は、キャンピングカーにどのような可能性があるのかを体感すべく、筆者自ら子連れでキャンピング―カーによる1泊2日の旅行を敢行した(7月28日29日)。協力してくれたのは、都内や関東などでキャンピングカーのレンタル事業などを行っている板谷俊明さん(39)。

今回使用したキャンピングカーは、「グランドハイエース4WD セキソウボディ グランドソウル」で、定員は10名。もちろん普通免許でも運転できる。

運転席から見た後部座席(写真提供/板谷俊明)
運転席から見た後部座席(写真提供/板谷俊明)

今回は、板谷さんと筆者を含め大人が3名、子どもが7名(5~12歳)でキャンピングカーに乗り込んだ。人数的には定員目いっぱいだが、子どもたちが多いのでスペース的にはまだまだ余裕がある感じだ。

半面、普通乗用車での旅行だとなかなかこうはいかない。狭い車内の中で、子どもが一度ぐずりだしたりするとそれをあやすためにクタクタになってしまうこともある。よくあるのは、ママが旅行中子どもを付きっ切りで子守をしなければならず、旅行で癒されるどころか満喫することなく疲れ切って帰ってきてしまうというパターンだ。

しかし、キャンピングカーであれば真ん中にテーブルを設置できるので、そのテーブルを使って、絵を描いたり、トランプやカードゲームなどもできる。また、テレビもあるので、テレビ番組を観たり、ゲームをすることも可能だ。車体重量が3.1tもあるので、安定していて運転もしやすく、乗り心地も上々だ。車内でも快適な時間を過ごせる。

後部座席を横にすれば3~4人が寝られる。(写真提供/板谷俊明)
後部座席を横にすれば3~4人が寝られる。(写真提供/板谷俊明)
運転席の上にある寝床も大人3人くらいはいけそうだ。(写真提供/板谷俊明)
運転席の上にある寝床も大人3人くらいはいけそうだ。(写真提供/板谷俊明)

キャンピングカーの最大の特徴と言えるのが、ベッドが平坦なので安心して寝られるということ。最近のミニバンでも座席のリクライニングを倒して平べったくはできるが、完全なフラットではないので、どうしても寝心地が気になってしまう。一方、今回使用したキャンピングカーであれば最大で7人が就寝可能。今回は運転席上の2階のベッドで、子どもたち4人が寝ていた。

2階では女の子トークで盛り上がっていた(写真一部加工)。(撮影/吉田大樹)
2階では女の子トークで盛り上がっていた(写真一部加工)。(撮影/吉田大樹)
子どもたちと屋根に登って高さを実感(写真一部加工)。(撮影/板谷俊明)
子どもたちと屋根に登って高さを実感(写真一部加工)。(撮影/板谷俊明)

キャンピングカーの利用で旅行にいろんなパターンが

想定できるキャンピングカーのレンタル例としては、10名定員なので、一家族だけではなく、複数の家族で借りるのもおススメだ。テントをうまく活用することで、全員の寝床を確保できる。今回もテントを活用して、下記の写真のような配置で組み合わせた。停泊するオートキャンプ場などの予約は必要にはなるが、料金も宿泊施設に比べれば格段に安く済む。電子レンジやコンロ、シンクもあるので、雨であればキャンピングカーの中で料理をするというのも1つの手であろう。大型のバッテリーを搭載しているので、暑い時期や寒い時期も冷暖房を入れて凌ぐことができる。

テントと組み合わせれば寝床も広々(撮影/吉田大樹)
テントと組み合わせれば寝床も広々(撮影/吉田大樹)

今回使用したキャンピングカーのレンタル料金は、1日につき、平日で20,000円、土日祝で25,000円、ハイシーズンで30,000円となっている。

例えば、家族3組で土日に2日間借りたとして5万円となるが、均等に割れば1組換算で約16,700円ほどになる。筆者が代表を務めているグリーンパパプロジェクトでは現在、パパと子どもだけで旅に出る「父子旅行」を推奨しているが、父子ペア5組で行くということも可能で、そうすると1家族1万円まで価格は抑えられる。こう考えるとずいぶんキャンピングカーのレンタルに対してリーズナブルなイメージを持てるのではないだろうか。

今回のキャンプ地は、長野県佐久市にある内山牧場のオートキャンプ場。都心からでも2~3時間で行け、晴れていれば群馬と長野の県境にある荒船山の絶景を見ることもできる筆者おススメのスポットだ。こうした場所に家族だけで楽しむのもいいが、複数の家族と行くことで、子ども同士が遊べるだけではなく、大人たちものんびりと、例えば自然を満喫したり、BBQをしたりしながら、旅行を存分に楽しむことができる。

今回協力してくれた板谷さんも家族でキャンピングカーを借りて九州旅行などをしたことがレンタル事業を始めた原点にあるという。

「キャンピングカーを有効に活用すればもっと旅行の可能性が広がると感じ、2014年5月から本格的にキャンピングカーのレンタル事業を始めた。キャンピングカーは一般の人とは縁遠いイメージもあるが、レンタルで借りられることでもっと一般的な乗り物にしていけるのではないかと感じている。現在、国内最大規模の15台のキャンピングカーを保有しているが、ハイシーズンや連休は予約で満杯状態が続いている。今後はレンタル事業だけではなく、中古のキャンピングカーのシェアリング事業なども展開していきたい」と板谷さんは意気込む。

また、板谷さんは「PAPA PRESENTS」というサイトを立ち上げ、パパに向けてキャンプの楽しみ方やキャンピングカーの活用法なども伝授している。

「パパにはもっとアクティブな旅行に挑戦してほしいと思い、このサイトを立ち上げた。キャンピングカーの利用を含めて、旅行を楽しむ要素をもっとパパたちに提供していくことでパパの活躍の場を確保していきたい。子どもたちからかっこいいと慕われるパパを増やしていければ」と板谷さん。

今回、キャンピングカーに乗ってみて筆者が一番に感じたことは、子どもたちが楽しそうに車内で過ごしていたことだ。車内が狭いと制限させることも多いが、キャンピングカーを活用することによって無用なストレスを溜め込むことなく、家族みんなで、または複数の家族で旅行を楽しむことができる。今後、旅行手段の1つとしてレンタルのキャンピングカーが認知されていくのではないかと実感した子連れ体験レポートとなった。

今後はレンタル事業のほかにシェアリング事業も展開していきたいと語る板谷さん。(撮影/吉田大樹)
今後はレンタル事業のほかにシェアリング事業も展開していきたいと語る板谷さん。(撮影/吉田大樹)
労働・子育てジャーナリスト/グリーンパパプロジェクト代表

1977年7月東京生まれ。2003年3月日本大学大学院法学研究科修士課程修了(政治学修士)。労働専門誌の記者を経て、12年7月から2年間ファザーリング・ジャパン代表。これまで内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚労省「イクメンプロジェクト推進委員会」委員を歴任。現在、内閣官房「「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会」委員、厚生労働省「子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員、東京都「子供・子育て会議」委員などを務める。3児のシングルファーザーで、小・中・高のPTA会長を経験し、現在は鴻巣市PTA連合会会長。著書「パパの働き方が社会を変える!」(労働調査会)。

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