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桜を愛でる「こころ」 福島県浜通り地方から春のお便り

吉川彰浩一般社団法人AFW 代表理事
福島県双葉郡富岡町 夜ノ森の桜

ここ数日の陽気は、こちら福島県浜通り地方にも急な春の便りを届けています。数日前まで5分咲き程度だったものがほぼ満開に咲き誇っています。

国道6号線を北上しながら、桜の写真を収めてきました。各地域の桜の模様をお届けします。撮影が筆者ですので、実物は更に5割増しだと思ってくださるとありがたいです。

広野町 二つ沼総合公園の桜 8分咲き
広野町 二つ沼総合公園の桜 8分咲き

まずはこちら双葉郡広野町「二つ沼総合公園に咲く桜」、浜通り最大級の公園です。園内にはパークゴルフ場も併設され、桜だけでなく、スポーツも出来る公園。桜を見ながら汗をかくのもお勧めです。

楢葉町 天神岬スポーツ公園の桜 5分咲き程度 まだまだ楽しめます
楢葉町 天神岬スポーツ公園の桜 5分咲き程度 まだまだ楽しめます

続いて、双葉郡楢葉町「天神岬スポーツ公園に咲く桜」、弥生時代の遺跡群天神原遺跡、オーシャンビューを楽しめる入浴施設「しおかぜ荘」、歴史と海と桜が楽しめるスポットです。

富岡町夜ノ森の桜。今が満開です。
富岡町夜ノ森の桜。今が満開です。

タイトル画像にも使わせて頂いた双葉郡富岡町夜ノ森地区の桜。こちらは桜のシーズンともなれば約10万人が訪れた浜通り最大の桜の名所です。シーズン中には夜にライトアップがされ、地域の若者たちのデートスポットでもありました。

浪江町 請戸川沿いの桜 ほぼ満開
浪江町 請戸川沿いの桜 ほぼ満開

双葉郡浪江町「請戸川沿いの桜」、川沿いを散策しながらの桜が楽しめます。シーズンには出店が並び、双葉郡地域の子供達が楽しむお祭りが開かれていました。そばを流れる請戸川は鮭が遡上し、やな場が有名です。

野山に自生する桜
野山に自生する桜

いかがでしょうか、福島県浜通り地方の桜も、皆さんがお住まいの地域と負けず劣らず綺麗ではありませんか。

こればかりではありません、阿武隈山脈と太平洋に挟まれたこの温暖な双葉郡は、野山の桜も見事です。ついつい目を奪われ足を止めてしまうことも度々です。

さて、ここまで書いてお気づきの方もいらしゃっると思います。文中に過去形の言葉がある、国道6号線を北上したのに、大熊町双葉町の写真がありません。お届けしたのは今も原発事故により避難区域が続いている福島県双葉郡の桜です。大熊町も双葉町も6号線沿いは帰還困難区域のため、咲き誇る桜は他の町と同じ様に美しく、是非ともお届けしたかったのですが、運転しながらの撮影は行えませんでした。

皆さまがお住まいの地域の桜を愛でるように、綺麗だなぁと読んでくださったと思います。しかし原発事故被災地域という事実がインプットされた時、見方が変わってしまったら。。。。

それは心で見方が変わるということを示しています。

とても意地悪なお届けだったかもしれません。しかしお伝えしたいのは、被災された地域でも同じように桜が咲くということです。全国へ避難された方々も、この時期ばかりは原発事故前を懐かしみ、多くの方が訪れます。

その気持ちは、故郷を思う桜を愛でたいそういった気持ちです。それは全国の皆さんと同じです。

桜を見る時、どんな考えごとをしますか?

皆さん、純粋な気持ちで眺めていらっしゃいます。筆者もただただ綺麗だと思うばかりです。

桜を愛でる「こころ」のように、そうした気持ちで双葉郡に接する。こうした当たり前は原発事故から6年目訪れてはいません。

今回のルポは特別な撮影申請、入域許可等はしていません。全国の皆さんと同じ条件で双葉郡を回ってきました。そうです。どなた様でも筆者と同じ体験は出来ます。撮影した場所は全て除染され、防護服等の放射線防護は不要です。

今週末が見ごろです。来週以降は散りゆく美しさが堪能できます。

一般社団法人AFW 代表理事

1980年生まれ。元東京電力社員、福島第一、第二原子力発電所に勤務。「次世代に託すことが出来るふるさとを創造する」をモットーに、一般社団法人AFWを設立。福島第一原発と隣合う暮らしの中で、福島第一原発の廃炉現場と地域(社会)とを繋ぐ取組を行っている。福島県内外の中学・高校・大学向けに廃炉現場理解講義や廃炉から社会課題を考える講義を展開。福島県双葉郡浪江町町民の視点を含め、原発事故被災地域のガイド・講話なども務める。双葉郡楢葉町で友人が運営する古民家を協働運営しながら、交流人口・関係人口拡大にも取り組む。福島県を楽しむイベント等も企画。春・夏は田んぼづくりに勤しんでいる。

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