子どものための多角的な視点からのプログラミング学習とは
本日、Programming Education Gathering のサイトがオープンされ、またキックオフイベントが東京大学にて行われました。
S(サイエンス=科学)、T(テクノロジー=技術)、E(エンジニアリング=工学)、M(マセマティクス=数学)を合わせた、「STEM教育」が注目されている今。実際の教育現場ではどのような教育がされているのでしょうか?
スクラッチ(Scratch)を用いた教育
想像して、作って、見せて、シェアして、振り返って、・・・
このようなスパイラルを繰り返す、構成主義という考え方があります。
MITメディアラボにより開発されたスクラッチはまさに子どもたちでも簡単に使えて楽しめるプログラミング言語。すでに都内の小学校などをはじめ、様々な教育現場、コミュニティでスクラッチを導入した学びの場が提供されてきています。
しかし、すべての子どもたちがパソコンを持っているわけではありません。学びの場、ワークショップの場に来ているときは楽しい。しかし、帰ったらできない。もっと手軽にコンピュータを手に入れることはできないでしょうか。
手のひらサイズで安価なコンピュータ『ラズベリーパイ』
手のひらサイズのシングルボードコンピュータであるラズベリーパイは、「Model A」が25米ドル、「Model B」が35米ドルととっても安価。小さいけれどもLinux ベースでなんでも動きます。自分で変えていくことももちろん可能。外部出力端子があるため、ディスプレイやキーボード、ネットワークに接続できる他、例えば、レゴマインドストームなどに接続して、ワニの口がセンサーで開閉するおもちゃ、なんていうのも簡単にでき、可能性は広がります。
『PEGでは、このラズベリーパイを5000個用意して、こどもたちとプログラミングの幸せな出会い、その先にある可能性をみつめていきたい』とNPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子さんはおっしゃっていました。子どもたちのための継続的な学習環境の実現がすぐそこまできています。
新しい世界へのチャンスを義務教育の中にちりばめてほしい
「It is IT」というプログラミング啓蒙団体を立ち上げた、中学1年生の山内奏人さんは、大人から子どもに知識を伝える教育ではなく、子どもから子どもへ、楽しんでいるうちにスキルを学べる教育というのを大事にしたいとのこと。
親が教育熱心かどうか、また親の所得などでチャンスが制限されているのが現状です。ぜひ、新しい世界へのチャンスを義務教育の中にちりばめてほしい。こういう場、こういう世界がありますよ。やってみたい場合はこのようなチャンスがありますよ、という情報があるだけでも世界が変わります。プログラミング、語学、マスコミ、ロボット製作、経営学、・・・いろんな世界に続くドアを開けてみたい。また、子どもたちには平等にドアを開けてほしい。
適齢期になるまでは助走期間
それでは、小さな子どもにパソコンで自由に遊べる環境を作っておけば、子どもたちはプログラミングを身に着けられるのでしょうか?
河合塾学園ドルトンスクールの星合英二氏は、
子どもの発達段階の影響を考えると、ある程度自分のアイデアをまとまった形で表現していくことができるようになるのは小学校5~6年生、中学生くらいですね。少なくともプログラミングのロジックを理解するには2,3年生を待たないといけない。その適齢期になるまでは助走期間なんです。
とおっしゃっていました。
抽象的なものでは長続きしないし、子どもは興味を持たなくなるため、さまざまな周辺機器と組み合わせることもできる、スクラッチやラズベリーパイはそういった面からも相性が良く、魅力的だそうです。
プログラミングは教養?
宮城教育大学の安藤明伸氏は、プログラミングを「なくても困らないけれども、あったらいろんなことが豊かに見えるもの」と表現していました。今後、英会話のように持っておきたいスキルの1つになるかもしれません。
プログラミング教育に関するさまざまな情報をアップするサイトとしてオープンされた、このPEGのサイト。プログラミングの初心者から経験者まで、深く広く伝えていけるWEBサイトに。そして、悩み相談がインタラクティブにやりとりができる場として活用されることを期待している、とのことです。
少しでもご興味のある方はアクセスしてみてくださいね。