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父親の育児参加を邪魔するのは女性の心理的な壁?!

五十嵐悠紀お茶の水女子大学 理学部 准教授

進学、進級して新学期がスタートした今、子どもたちはワクワク心を弾ませながら、ときには新しい友達ができるかドキドキしながら、過ごしていることでしょう。

そんな影で、ドキドキしているのは親も一緒。最初に役員決めが行われるクラス懇談会(父母会)があるからです。クラス替えがない進級するクラスなどはあらかじめ前年度のうちに役員を決めてしまうこともあるのですが、たいていは4月のこの時期に行われます。

新入学時の共働き世帯は入学式に引き続き、仕事の都合を付けたりとあれこれ大変な時期ですね。

「クラス懇親会の参加、お仕事どうするの?」と聞かれた働く母A子さんは、「我が家は父親が出ますよ」と言ったところ、専業主婦B美さんに「母親が出ないとだめよ。最初は役員決めもあるから、PTAの集まりに実際に来る人が出ないと仕事の説明とか二度手間でしょ?」と言われてしまいました。A子さんは軽い感じで「じゃぁ、ウチは役員になったらPTAの集まりに夫に出てもらおうかしら~?」と言ったところ、B美さんは渋い顔…。

こんなエピソードを体験したことのある方も多いのではないでしょうか? 男性・女性問わず、「クラス懇親会、役員は母親が都合を付けるべきもの」といった風潮がまだまだあるように思います。

特に最近感じるのは、父親が育児の場に参加しようとするのを阻むのは、女性の心理的な壁も大きいのではないか、ということ。父親が乳幼児を連れて児童館に遊ばせるために連れてくる姿も良く見かけるようになりましたが、まだまだ少数派のこういった親子にどう対応して良いかわからない女性たち。

以前だと、「PTA役員は母親、しかしPTA会長は男性」といった風景が常だったように思います。しかし、最近の小学校のPTA規約では、「児童の父母」と書かれていたりと、父親の参加を妨げるような規約にはなっていないことが多いですし、実際に女性がPTA会長をされている学校も多くなってきています。PTA役員だって家庭内で引き継ぎをきちんとすれば、母親と父親が交互に出たって良いのではないでしょうか。我が子が通う学校では「PTA会員は全保護者ですので、母親だけでなく、父親が活動に参加するなどの方法もご検討ください。」と記載されたプリントまで配布されました。

最近では専業主夫や育児休暇取得中の父親も増えてきており、PTA役員の仕事を母親たちと一緒になって父親が参加されている話も聞くようになりました。クラス懇談会にも父親が参加する世帯も増えてきたように思います。(それでも1クラスに1人2人いるかどうか、ですが。) 小学校・幼稚園・保育園などではPTA役員やクラス懇談会に出席するのは母親の仕事、との認識がまだまだ強いように思いますが、学童保育の役員の仕事では、父母が半々に参加されている世帯が多いよう。

共働きだからこそ、役員を引き受けることで子どもの学校での生活を垣間見ることができたり、子どもの友達の父兄と知り合いになれたりすることもあります。一昔前のように働くお母さんや未就学児のいるお母さんは役員除外、といったことが少なくなってきている今、クラス懇談会やPTA役員が「母たちの集まり」ではなく、「父母の集まり」として認識されるようになると、男性の育児参加がよりしやすくなる世の中になり、地域活性化にもつながるのではないでしょうか。

お茶の水女子大学 理学部 准教授

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員PD, RPD(筑波大学), 明治大学総合数理学部 専任講師,専任准教授を経て,現職.未踏ITのPM兼任.専門はヒューマンコンピュータインタラクションおよびコンピュータグラフィックス.子ども向けにITを使ったワークショップを行うなどアウトリーチ活動も行う.著書に「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新書),「スマホに振り回される子 スマホを使いこなす子 (ネット社会の子育て)」(ジアース教育新社),「縫うコンピュータグラフィックス」(オーム社)ほか.

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