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未就学児を持つ母親の8割は就業希望

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 手間のかかる未就業児を有していても働きたい女性は多い

今件調査はメディケア生命保険によって未就学児(初等教育機関の就学する年齢に満たない子供)を有する、あるいは間もなく出産予定の女性保護者を対象としたもの。

未就学児を持つ母親たちは、どのような様式の職につくこと、あるいは専業主婦であることを望んでいるのだろうか。調査対象母集団全体(回答時点で正規・非正規を問わず就業中の者は33.3%、就業者だが育児休業中が5.9%、非就業者は60.8%)、そして現在専業主婦の人(育児休業中の人を含む)・正社員(フルタイム)にある人限定で尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 現在の状況に関わらない、希望する就業形態(単一回答)
↑ 現在の状況に関わらない、希望する就業形態(単一回答)

自分の立場を考慮せず、「専業主婦」でいたい人は18.4%。切り口を変えれば、81.6%の人が何らかの形で就業したいと考えていることになる。現時点で「専業主婦」の人ですら75.2%の人が就業を望んでおり、未就業児を有する母親の就業意欲の高さが確認できる。特に「パート・アルバイト」の需要が高いのは、現在専業主婦でいる事情(子供が幼い、手間がかかる状態にある)により、フルタイムの就業が難しいからだろう。

全体でも「パート・アルバイト」を希望する人がもっとも多く44.5%、次いで「専業主婦」(非就業)が18.4%、「正社員(フルタイム)」が14.3%と続いている。ただし「正社員」は「フルタイム」と「時短勤務」が別個でカウントされているので、これを合わせると27.6%となり、「専業主婦」を抜いて第二位の希望就業形態となる。「派遣」や「専門職」は人気が無く、誤差のレベルの回答率でしかない。

また現在フルタイムで「正社員」として働いている人は、現状維持を望む人が54.2%ともっとも多い。「専業主婦」を希望する人は12.0%、「パート・アルバイト」は8.4%と、いずれも少数。ただし正社員で時短勤務を望む人が22.9%おり、フルタイムで働く正社員の未就学児を持つ女性の1/4近くは、今よりも就業時間を短縮し、家事や育児に充てたいと考えているようすがうかがえる。ただし現在正社員の人が、より一層時間の上での柔軟性が期待できる「パート・アルバイト」を望まないのは、現在の「正社員」という立ち位置を失いたくないという気持ちが強いからなのだろう。

個々の家庭の事情があるにせよ、未就学児を持つ母親の就業意欲は強い。就業中の子供の育児を任せられるような環境(保育園や幼稚園の充実)の整備が果たされれば、彼女らの希望もより一層かなえられるに違いない。

……もっとも就業事由の多くが家計の補助であることを考えると、就業するために費用を払って子供を預けるという、やや矛盾した状況になるのも問題ではあるのだが。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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